はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン過去最高値更新でアルト市場に資金流入、相場の乱高下に警戒感も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨市場の値動き

21日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格が続伸し、今年4月の過去最高値64,900ドルを約半年ぶりに更新した。

BTC/USD日足

その後67,000ドルまで続伸するも一服。64,110ドルまで下落する場面があった。

過去最高値更新の達成感に加え、前月比+60%まで高騰していたことで足元の過熱感が強まり利益確定売りを誘った。「ビットコインETF」の材料を手がかりにBTCドミナンスが上昇していたこともあり、アルト市場への資金移動も確認されている。

過熱感のある高値圏でチャートが崩れれば、当面荒れる可能性もあり注意したい。その一方、ビットコインETFの歴史的認可で、これまで一貫して厳しい規制を敷いてきたSEC(米証券取引委員会)の軟化姿勢が確認された。中・長期的な機関投資家(及び上場企業)の市場参加・流入が期待できるほか、6ヶ月ぶりに過去最高値を更新したことでチャート上の青天井が示唆されることから、急落時の下値(押し目)は買われやすい局面と言えるだろう。

モルガン・クリーク・キャピタル・マネジメントの最高経営責任者兼最高投資責任者であるユスコ氏は米CNBCに対し、「ビットコイン市場で多少の調整があっても驚かない」と述べ、ETFの承認に「興奮している」と付け加えた。

ビットコインETFが承認された18日以降、噂を買って事実で売る「セル・ザ・ファクト」が取り沙汰されてきたが、今年4月のコインベース上場時や6月のエルサルバドルのビットコイン法定通貨法案可決時とは異なる側面もある。今回は材料の”持続性”が評価され、18日時点で6万ドル前後を推移していたBTC価格が、一時6万7000ドルまで続伸したものと認められる。

承認が報じられて即座に「材料出尽くし」とならなかった背景には、相場が6ヶ月ぶりのATH(過去最高値)目前であったこと、機関投資家主体の相場のため過去相場比較でデリバティブ市場の過熱感が限定的なこと、SECの姿勢軟化により今後の展望が期待されること、今後本命視される現物「ビットコインETF」への思惑が継続しやすかったこと、などの要因が考えられる。

関連:ビットコイン過去最高値更新 米仮想通貨ETF動向まとめ

先物ETFと現物ETF

ビットコインの現物ETFは、証券法(Securities Act of 1933)によって規制されており、原資産市場が相場操縦の対象でないことを示す必要がある。

対照的に、先物ベースのETFは、投資会社法(Investment Company Act of 1940)によって規制されている。ProSharesのビットコイン先物契約の場合、ルールを設定したのは商品先物取引委員会(CFTC)だ。「現時点で、暗号資産(仮想通貨)の現物市場の規制は不十分である一方で、先物市場の規制はある程​​度の明確さを示している」との見方も少なくない。

したがって、今回認可された金融商品は、CMEのビットコイン先物価格(CME CFビットコイン参照レート:BRR)に連動したものであり、完全に”理想の形”ではない。同先物価格は、ビットスタンプ、コインベース、ジェミニ、クラーケンを含む、米主要取引所の平均取引価格に基づく「価格指数」に基づいている。

CoinPostに寄稿する、先物(金、原油)の元プロップトレーダーのつきらいん氏は20日、「決済期日の迫った期近の買いポジションを決済し、より決済期日の遠い期先に新たに買いポジションを建てる”ロールオーバー”の圧力は、機関投資家の資金流入によりETFの純資産残高が大きくなっていくにつれて強くなる」と指摘。「長期的なリターンでみると現物とETFで比較すると現物のリターンが上回る可能性がある」と考察した。

詳細:米国初の「ビットコイン先物ETF」上場で今後の影響は|先物の元プロが解説

機関投資家の見立て

BitwiseInvestのMatt Hougan CIO(最高情報責任者)によると、ファイナンシャルアドバイザーは米国の全資産の内40%を管理しているが、現在の規制下では、投資家に代わってビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)に投資することは許可されていない。

そのため、「ビットコイン先物ETF」の認可は、資金力のある機関投資家が、証券取引所を介して証券市場で取引可能になったことを意味し、ひとつのターニングポイントが訪れたと言える。

アクティブ債券を中心に運用する最大手資産運用会社のPIMCOは、米CNBCのインタビューに対し、「トレンドフォロー、及びクオンツ指向の投資戦略」の一環として、ビットコインなど暗号資産クラスへのエクスポージャー拡大計画を明かした。同社の運用資産は、20年末時点で2兆6,300億ドルを超える。

アルトシーズン再来の兆しか

ビットコイン(BTC)高騰の影響はアルト市場にも波及している。

21日にかけて、イーサリアム(ETH)が前日比+8.39%の4,200ドルまで上昇したほか、ソラナ(SOL)が前日比+20.9%の190ドル台まで急騰するなど、過去繰り返してきた相場サイクルを見越して、アルト市場にも資金が再び流れ込んでいる様子が伺える。

イーサリアム(ETH)の過去最高値は、今年5月のアルトシーズンで記録した4,380ドル。

ETH/USD日足

そのほか国内上場銘柄では、ネム(XEM)の新通貨ジム(XYM)が、前週比+20%、前月比+200%と高騰している。

急騰の反動安とGMOコイン上場でスナップショット付与分が売り圧力となりここ数日間は反落したものの、国内大手のbitbankに続き、アルトコインの国内出来高上位の取引所で相次いで上場したことが好感された。

19日には、シンボル(XYM)誕生前からスナップショットを見越してネム(XEM)の大量保有を明かしていた投資家の与沢翼氏が、現在、およそ2670万XYM(10億円相当)を大量保有していることが明らかとなった。スナップショットで付与された分が大半とみられる。

長期保有前提だとして、Symbol対応XEMBookでウォレットアドレスを公開しており、アドレス及びトランザクション(取引履歴)をオープンにすることで大口保有者による短期売り抜け目的でないとの信頼を得るとともに、XYMの特長である「ハーベスティング(Harvest_Fee)」の利点を伝え、エコシステムの認知を広げる狙いがあるものと考えられる。

10,000XYM以上の保有者は、ブロックチェーンが正常に機能するためのエコシステムの維持に対し、収穫を意味する「ハーベスティング(委任ハーベスト)」によってノード及びネットワークに貢献することで、ステーキングのようなリワード報酬を不定期に得ることができる。

関連:仮想通貨シンボル(XYM)とは|初心者でもわかる重要ポイントと将来性

マクロ経済状況は

好材料の目立つ仮想通貨市場を後目に、テーパリング(量的緩和縮小)を控える伝統金融市場では、さまざまな懸念が深刻化しつつある。

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことによる世界的な経済活動再開に伴い、ニューヨーク原油先物(WTI)相場が7年ぶりの高値に達した。石油輸出国機構とロシアなどの非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が原油の追加増産を見送ったことなどが背景にあり、先進国はOPECへの働きかけを強める。

IMF(国際通貨基金)は6日、景気減速と物価上昇が並行して進む「スタグフレーション」のリスクについて警鐘を鳴らした。原油高騰によるコスト増の影響は多岐に及び、企業業績が悪化するとの懸念が広がっているほか、ガソリン価格の上昇や世界各国で石油を生産過程で使った工業製品や食料品などの物価上昇が顕在化しつつある。

大規模金融緩和(無制限の量的緩和)局面において、世界基軸通貨である米ドルの希釈化、及び長期的な通貨安懸念も取り沙汰されており、昨今のビットコイン(BTC)上昇は、インフレヘッジ需要で白羽の矢が立っていることも寄与している、との指摘も少なくない。

法定通貨と異なりビットコインの最大発行数は2100万枚と定められている。20年5月の半減期を経て、市場に出回る供給量が大幅減少するなか、機関投資家需要が大幅に増加していることで、市場に流通する浮動BTC数は、ますます希少価値を増している。

中国関連では、経営危機に陥る中国不動産大手の中国恒大グループの動向が注目される。恒大グループは20日、傘下の不動産管理会社の株式売却日ついて計画が頓挫したことを発表した。

中国の不動産バブル時の積極投資で急成長してきた同グループは、ここ数年のバブル崩壊や中国当局の規制強化などの影響で資金繰りが急悪化。巨額の債務を抱えており、デフォルト(債務不履行)は時間の問題とみられる。

中国人民銀行(中央銀行)は17日、懸念を表明した上で、個別事案の負債リスク分散を根拠に「経済・金融システムに及ぼすリスクは封じ込めることができる」などと主張。システミック・リスクは限定的だと判断した。

一方でこれは、政府による救済の否定とも受け取れる。同グループが経営破綻した場合、不動産業界や銀行、債券相場などに幅広く波及するおそれがあるため、市場に重大な懸念をもたらしている。

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/21 金曜日
17:25
米ビットコインETF、1週間で大規模な資金流出が2回
11月20日、米ビットコイン現物ETFは9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。1週間前の記録を更新。ブラックロック、グレースケール、フィデリティの主要3ファンドで流出の大部分を占め、全ETFで純流入ゼロという異例の事態に。
16:38
予測市場が急成長 カルシ(Kalshi)が1500億円調達と報道も
予測市場カルシが2ヶ月で評価額2倍超の110億ドルで10億ドル調達。取引量は10月に過去最高の44億ドルを記録。競合ポリマーケットも120億〜150億ドルでの追加調達を協議中で、予測市場への投資が加速。
16:33
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント|Aerial Partners寄稿
仮想通貨の申告分離課税が現実味を帯びてきた今、投資家が知っておくべき税制変更のポイントを解説。税率の一定化、損益通算、特定口座の導入可能性など、制度導入後の注意点と準備すべきことをわかりやすく紹介します。
16:10
CAICAテクノロジーズ、JPYC決済ソリューションの提供を開始
CAICAテクノロジーズが日本円ステーブルコインJPYCの決済ソリューション提供を開始。企業向けにコンサルティングサービスと決済モジュールを提供し、ステーブルコイン決済の導入を支援する。
16:03
ナッジ、ステーブルコイン決済・還元対応クレカ「HashPortカード」発行開始
HashPortとナッジが日本初となる後払い型クリプトクレジットカード「HashPortカード」を発行開始。ステーブルコインJPYCで決済・還元が可能で、利用額の0.3%をJPYCで還元。年会費無料、カード発行手数料2,500円。
15:44
金融庁が語る暗号資産規制改革の全貌──銀行参入、インサイダー規制、DEX対応の狙い|独占取材
金融庁独占取材。暗号資産規制の金商法移行について、銀行グループ子会社の参入、インサイダー取引規制導入、分散型取引所(DEX)対応の狙いを詳しく聞く。投資家保護と健全なイノベーション両立への取り組みを解説。
13:55
Bitcoin Core、史上初の公開セキュリティ監査をクリア 「重大な脆弱性なし」
ビットコインの基盤ソフトウェアBitcoin Coreが16年の歴史で初となる第三者セキュリティ監査を完了した。Quarkslabによる4ヶ月間の徹底調査で致命的な脆弱性は発見されず、300兆円規模のネットワークの安全性が裏付けられた。
13:30
金融安定理事会、ステーブルコイン監視強化を表明 G20サミット前に警告
金融安定理事会(FSB)のベイリー議長がG20首脳会議を前にステーブルコイン規制強化を表明。市場規模3000億ドル突破を受け、ECBも警戒。2026年作業計画で国際協力推進。
13:05
仮想通貨団体ら、税制改正などをトランプ大統領に要望
ソラナ政策研究所など65以上の仮想通貨団体がトランプ大統領に書簡を提出。税制の改善、規制の明確化、イノベーションや開発者保護の取り組みを求めた。
13:00
Secured Finance CEOが語るJPYC固定金利レンディングの挑戦|独占インタビュー
Secured Finance菊池氏が語るJPYC固定金利レンディングの全貌。日本円を世界の金利ベンチマークにする構想、RWA担保展開、x402対応など最新戦略を独占取材。
11:25
米SEC、今年度の仮想通貨含む執行件数が3割減 アトキンス委員長就任後は記録的低水準に=報告
米SECの2025年度執行件数が30%減の56件、金銭的和解額も45%減の8億ドルと記録的低水準に。トランプ政権下でアトキンス委員長が就任し、仮想通貨規制を大幅緩和。前政権の「執行による規制」から明確なルール作りへ方針転換。
11:02
アバランチ財務企業「AVAX One」、最大63億円規模の自社株買いを承認
仮想通貨アバランチの財務企業AVAX Oneは、取締役会が最大で約63億円規模の自社株買いを承認したと発表。また、購入規模を増やしたり、購入期間を延長したりしていく可能性があるとも説明している。
10:30
バイナンスジャパン、PayPayで暗号資産購入が可能に
Binance JapanとPayPayが連携サービスを開始。PayPayマネーから1,000円で暗号資産を購入可能に。入金手数料無料、24時間365日利用可能、PayPayポイントも使える新サービス。
10:20
ビットコイン続落、トレジャリー企業の売り懸念とFOMC利下げ不透明感で市場心理最悪に|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは続落基調が止まらず、一時は7か月ぶりとなる8万5000ドル台まで下落。背景には、世界最大のビットコイントレジャリー企業であるストラテジー社が、MSCIやナスダック100といった主要株価指数から除外される可能性がある。
10:05
コインベース、イーサリアム担保ローンを開始 最大約1.57億円まで借入可能
大手仮想通貨取引所コインベースがイーサリアム担保ローンサービスを開始。最大100万ドルのUSDC借入が可能に。Morphoプロトコル活用でBase上で運用。ニューヨーク州を除く米国ユーザーが利用可能。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧