「未来的な」働き方と規制当局への対応
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの共同設立者で同社のマーケティングの指揮を取るYi He氏は、オンラインメディアMarkets Insiderのインタビューで、仮想通貨関連の法整備が進んでいる国を本社設置の候補として考えていると語った。
He氏は具体的な内容についてはコメントを控えたが、現在、バイナンス本社の候補地としてはヨーロッパを含む5カ国に絞られているという。最終的には、仮想通貨に特化した法律があるか否かが決め手になるようだ。
バイナンスは2017年の創設当初から、従業員の遠隔勤務を認めてきた。今でこそ自宅で仕事をするスタイルが普及してきたが、He氏は同社の従業員の働き方は、時代を先取りした「未来的な」ものだったかもしれないと述べている。
Changpeng Zhao最高経営責任者(通称、CZ)も、これまで本社を構えなかったのは「様々な場所にチームを配置して、分散型のモデルで運営していきたいと考えていた」と説明している。
しかし、バイナンスは今年に入り、日本の金融庁を含む世界各国の規制当局から厳しい警告を受けており、複数の国で一部のサービス提供停止などが相次いだ。
中央的な管理拠点として正式な本部を置いていないことが、規制機関に不信感を抱かせる要因となったと、CZ氏は9月のインタビューで語り、当局と円滑な協力関係を築くためには、本社を構える必要があるとの認識に至ったと述べている。
常に挑戦する姿勢
バイナンスはその創設から6ヶ月という速さで、業界トップの取引所となった経緯を持つ。He氏は同社の成功の鍵は、ユーザー第一主義を貫くこと、そして常に自社の限界に挑戦し続けることだと述べている。
過去のバイナンスを葬って、より良いものにアップグレードするというプロセスを繰り返している。
インターネットは「情報の自由」を実現したが、バイナンスが目指すのは「価値の自由」を実現することであり、誰でも価値へ自由にアクセスできるようにすることだと同氏は語った。
分散型モデルを貫いてきたバイナンスが、世界で規制強化が進む今日、改めて中央集権的なネットワークを再構築しようとするのも、自分自身への挑戦を続ける姿勢の一環なのかもしれない。
直近では、バインナンスはフランスの非営利団体「France FinTech」との提携を発表。欧州に仮想通貨エコシステムの研究開発拠点を設立するなどの活動に、1億ユーロ(約130億円)を拠出する「Objective Moon」プロジェクトを開始するとのことだ。
仮想通貨保有について
自身の仮想通貨保有の状況について尋ねられると、He氏はバイナンスの独自トークンであるバイナンス・コイン(BNB)のみを保有していると答えた。過去のインタビューでは、全資産をBNBで保有することは、「全力を傾けている優秀なバイナンスチームに対する多大な信頼の証である」とコメントしていた。
バイナンスコインとは
世界最大手の仮想通貨取引所バイナンスの独自トークン。バイナンスでの取引手数料割引などの特典に加え、一定期間ごとにバーンされ、希少性を高める仕組みがあり高い需要がある。
▶️仮想通貨用語集
また、現在注目されているドージコイン(DOGE)や柴犬コイン(SHIB)などのミームコインについては、チャンスを逃すことへの不安(FOMO)の問題であって、長期的な投資としては懐疑的であり、ユーザーに慎重に行動することが大切だと呼びかけた。
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