11月の仮想通貨動向
11月第1週の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は61,000ドル台前後で横ばいの推移が続き、その後8日にかけて大きく上昇した。
ニューヨーク市長選で当選したEric Adams次期市長が先週5日、マイアミのFrancis Suarez市長に対抗する形で、ビットコインでの給与受け取りを宣言するなど、米国の政局関係者にも暗号資産(仮想通貨)が浸透しつつある。
関連:次期ニューヨーク市長、給与のビットコイン受け取りを宣言 マイアミ市長に続く
時価総額2位のイーサリアム(ETH)は8日、4,700ドルを突破するなど先週に続きATH(過去最高値)更新となった。バーン量は80万ETHに達しており、1週間で約9万ETHがバーンされている。(WatchTheBurn参照)
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(7日時点:ステーブルコイン除く)
- アバランチ(AVAX)+36.43%
- バイナンスコイン(BNB)+24.05%
- ソラナ(SOL)+23.42%
- ポルカドット(DOT)+22.31%
- テラ(LUNA)+18.01%
ソラナは7日、過去最高値(ATH)を更新。時価総額ランキングでもバイナンスコイン(BNB)に次ぐ4位に浮上した。
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
仮想通貨市場の時価総額、過去最高更新
仮想通貨市場の時価総額は8日、3兆ドル(340兆円)の大台を初めて突破した。(CoinGecko参照)
仮想通貨市場の合計時価総額が3兆ドル(約340兆円)を更新しました🚀🚀https://t.co/ePXeGidBGt pic.twitter.com/t4ItdkqRpE
— CoinGecko Japan (@CoinGeckoJapan) November 8, 2021
テザー発行量
ステーブルコインの最大手銘柄であるテザー(USDT)は7日、発行量が721億ドル(8.2兆円)に達した。
This is the absolute truth
— Matthew Hyland (@Parabolic_Matt) November 6, 2021
This range since breaking above $60,000 has been misdirection after misdirection when in reality we are just consolidating
Volatility will return but overall if you zoom out #Bitcoin is extremely bullish & healthy looking so its only a matter of time https://t.co/9zGOtBiWvJ
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
Taproot実装まで1週間切る
2017年のSegWit以来となるビットコインの大型アップグレード「Taproot」(タップルート)実装まで残り6日となった。現時点では14日から15日頃の実装が見込まれる。
Taprootではシュノア署名やMAST(マークル化抽象構文木)を導入することで、ビットコインネットワークのスマートコントラクト機能の強化、プライバシー機能および処理速度の向上などがメリットが期待されている。
シュノア署名とは
現行の署名アルゴリズムに代わる新たな署名スキーム。単独の受信者のトランザクションの署名を一つにまとめることが可能で、データサイズの削減や、ケーラビリティの改善が見込まれている。
▶️仮想通貨用語集
センチメントは一時悪化
仮想通貨分析サイトSantimentによれば、過去10日間ビットコインが60万ドル台前半を推移していることから、投資家のセンチメントでは歯痒さが増し、悲観的な投稿が増えていると指摘。
ただ、悲観的な投稿が増加するほど、BTC価格が上昇する機会も増えると分析した。
📊 As traders have watched #Bitcoin remain in the low $60k range the past 10 days, there appears to be a shift in optimism, as many become impatient with the stagnancy. A shift toward negative sentiment implies a greater chance of $BTC price rises. https://t.co/KOPQvZEwk9 pic.twitter.com/a9VqRynA67
— Santiment (@santimentfeed) November 7, 2021
センチメント分析とは
AI(人工知能)などの機械学習モデルを利用し、ツイッター上のデータから文字情報を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し、点数化する分析手法。これまでの傾向では、価格上昇に伴い楽観系ツイートが増加し、下落に伴い悲観的な投稿が増加する傾向がある。
▶️仮想通貨用語集
中長期でポジティブ
横ばいの推移が続くビットコイン市場だが、著名オンチェーンアナリストのMatthew Hyland氏は、長期目線ではポジティブだと楽観的だ。
現在60,000ドル以上のレンジを推移するビットコインにおいて、コンソリデーションが続いていると分析。下位足でこそボラティリティが目立つとした上で、ポジティブな見解を示した。
This is the absolute truth
— Matthew Hyland (@Parabolic_Matt) November 6, 2021
This range since breaking above $60,000 has been misdirection after misdirection when in reality we are just consolidating
Volatility will return but overall if you zoom out #Bitcoin is extremely bullish & healthy looking so its only a matter of time https://t.co/9zGOtBiWvJ
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:820万ETH(前週比+11万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
バーン量
イーサリアムのバーン量は、大型アップグレード「ロンドン」の実装以降、80万ETHを突破した(前週比+10万ETH)。
バーン(焼却)とは
株式の「自社株買い」に近い形で仮想通貨の供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。
需要と供給の影響により、トークンをバーンすることで、流通するETHの一枚あたりの価値が高まることになる。
▶️仮想通貨用語集
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは8日時点で2,682億ドル(30.4兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
NFT
10月のNFTマーケットプレイス取引高は2700億円(23.9億ドル)を記録。依然としてOpenSeaが9割以上を占めている。また、8月以降は2ヶ月連続で取引高が減少した。
クリプト指標
日程 | 指標 |
---|---|
11/7~/11/10 |
Solana Breakpoint カンファレンス開催 |
11/8 |
Crypto.com Coin 「Cronos」メインネットアップグレード |
11/9~11/10 |
Ripple Swell Global 2021 |
11/9 |
Secret Network Supernovaアップグレード予定 |
11/11~11/18 |
Polkadot パラチェーンオークション 1回目 |
11/11〜12 |
シンボルの「Cyprus」ハードフォーク予定日 |
11/12 |
Boba Network エアドロップのスナップショット取得日 |
リップル社が毎年開催する年次イベントSwellが日本時間9日から開始する。昨年に続き、オンライン開催となる。
大手仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマン・フリードCEOなどもパネルで登壇を予定している。
関連:リップル社の大型イベント「Swell 2021」開幕間近 注目ポイントとスケジュールまとめ
前回の週次レポートはこちら:ビットコインとイーサリアムのオンチェーン取引量、10月は歴代2位を記録
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人