仮想通貨法案の提出がないまま閉会
インドの今年度の国会は、暗号資産(仮想通貨)法案が提出されないまま閉会した。
2021年の法案として議題に挙げられていたものの、延期された格好だ。2022年2月から開かれる次の国会で議論されるかもまだ不明である。
同国インターネットセクターの業界組織IndiaTechのRameesh Kailasam代表は、Business Insider Indiaに対して、仮想通貨について既存の法律の修正で間に合う場合は、政府が仮想通貨に特化した法律を作成しない可能性もあると話した。
しかし、仮想通貨に特化した法律を作るのであれば「起草、法務省の承認、閣議決定、国会への提出、両院での議論と通過、大統領の承認」というプロセスを経てようやく形になるものであり、まだしばらく時間がかかる見通しだという。
また、仮想通貨法案について政府に助言してきたTanvi Ratna氏によると、政府内では、法案の範囲、つまりウォレットやカストディアンなどに対する規制の方法や、そもそも仮想通貨に特化した規制が必要かどうかなどについての議論がまだ続いている模様だ。
関係筋は、現行の草案では、仮想通貨取引と、仮想通貨取引所の規制方法のみしか取り上げられていないとしている。その他のユースケースについては言及していないことも法案の課題になっている側面がありそうだ。
カストディとは
投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。
▶️仮想通貨用語集
国際社会とも足並みを揃える姿勢か
インドは、仮想通貨に関しては国際社会と足並みを揃えていく姿勢も示している。
インドのナレンドラ・モディ首相は10日、米バイデン大統領が主催したバーチャルサミットの席で、「仮想通貨のような新興技術について世界的な規範が必要」だと発言していた。
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また、政府関係者が「仮想通貨についてのいかなる法律も、グローバルな枠組みと連動していなければならないと考えられる」「この分野が世界的にどのように発展していくかを観察しながら待つのが、より良い戦略かもしれない」と話したことも報じられている。
コインデスクの報道によると、IMFのチーフエコノミストであるGita Gopinath氏は、今月初めにインドを訪れた際、仮想通貨の禁止ではなく、規制を求めたという。
関係筋は、Gopinath氏は、モディ首相など政府高官やインド政府の公共政策シンクタンクの関係者と、仮想通貨規制の枠組みについて議論したと述べている。
また、インド政府とインド準備銀行(RBI)は、国際決済銀行(BIS)にコンタクトを取って、仮想通貨セクターについての知識を得ているところだ。