CoinPostで今最も読まれています

DAOのハードルを解消 信用スコアの仕組みとは|Ontology寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DAOが抱える諸問題の解決策

米大手のテック系ベンチャーキャピタルとして有名なa16zは、最近ソーシャルDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)プロジェクトであるFWBへの投資など、DAOプロジェクトへの投資を通じてDAO分野への参入を進めています。

関連:米大手VC「a16z」、仮想通貨やブロックチェーンなどウェブ3.0を促進する政策提言

2020年以降、DAOは知名度を上げ、徐々にブロックチェーン業界の主流となりつつあります。最近では、複数の大手ベンチャーキャピタルがDAOプロジェクトに投資していることを公開し、メディアの注目を集めるようになりました。そのため、「2022年はDAO元年になる 」という見方もあります。

業界をリードする投資機関や関連メディアの関心を集めるDAOとは、一体どのようなものなのでしょうか。

関連:分散型投資プロトコル(DAO)Syndicate、大手VCのa16z主導で2000万ドル調達

DAOをまず理解する

人類はDAO時代に突入し、それは避けて通れない

  メタバースの父、ニール・スティーヴンスン

    

DAOの解釈は人それぞれですが、メンバーがコミュニティトークンで投票し、オープンソースのコードが投票結果を自動的に実行するというロジックは共通しています。この信頼性の高いシステムにより、人的ミスを排除し、メンバーは集団としてコミュニティの財政を管理できます。

関連:DAO(分散型自律組織)の仕組みや将来性とは|Nansen寄稿

現在、DAOはソーシャルメディア、契約プラットフォーム、そして複数のプロジェクトといった多くの媒体にまたがって発展しつつあります。実態的にはどちらかというとボトムアップ型の運営組織に近く、メンバーが個人の能力や主観的な推測を頼りに、分業してDAO全体を作り上げていきます。DAOは、メンバーの貢献度に応じて報酬を与えます。

これからのメタバースでは、ルール作りやガバナンスの権限をコミュニティに帰属させ、メタバースの完全な分散化を推進するDAOが、新しいガバナンスモデルの形成をリードしていく可能性があります。

関連:次世代の仮想空間サービス「メタバース」とは|ブロックチェーンとの関係も解説

まだ黎明期にあるDAO

DAOの提示するビジョンは素晴らしいものですが、まだその実現に向けて動き始めたばかりの段階です。確かにブロックチェーン領域ではDAOへの関心が高まってはいるものの、DAOの開発にはまだ困難が伴います。DAOのハードルは、以下の通りです。

低いメンバー参加率

ほとんどのDAOでは、メンバーの保有するデジタル資産を重要な指標としています。例えば、投票はトークンの数に基づいて行われ、報酬はデジタル資産の割合に基づいて行われます。

このアプローチは、DAOメンバーの発言力を阻害するだけでなく、保有トークンの割合が少ないメンバーにとっては投資リターンのバランスが悪いため、ガバナンスに対する時間とエネルギーの投資を躊躇させます。

中央集権化の危機

DAOが採用している上記のような仕組みは、「金持ちはいつまでも金持ちで、強者はいつまでも強い」という考え方が生まれやすくなります。

それは、発言権があれば自分にとってより有利なルールを設定できる権利が発生し、より大きな利益を得ることができるという単純な構造です。このため、多くのDAOは望まない中央集権的な状況に追い込まれています。

意思決定のバランスが難しい

完全自律型のDAOシステムにおける決定事項は、投票数に基づいて決められるべきです。しかし、開発チームの意見とコミュニティメンバーの利害が一致せず、対立することも想定されます。どうすれば良いバランスを保てるかは、多くのDAO組織にとって頭の痛い問題です。

時には、DAO開発チームがコミュニティの意見を無視することもあり、その結果、中央集権的だと非難されることもあります。その代替案としては、完全にDAOコミュニティに従うことですが、これでは建設的な意見が採用されないという結果を招くかもしれません。

「信用」を判断基準に

上記の問題は、本質的に、どのようなインセンティブを設定すべきかということが重要なポイントとなります。インセンティブは、分散性の要求や公平性を満たすだけでなく、DAOメンバーが積極的にガバナンスに参加することを促進するものでなければなりません。

オントロジーは、自社の技術力と過去のサービス実績から、次のような解決策を提案します。それは、「DAOの各メンバーに対して、信用スコアシステムを備えたDID(分散型ID)を設定する」ということです。

関連:Web 3.0により発揮されるインターネットの真価とは

信用スコアの検証方法

DAOに参加する際には、まずDIDを登録・所有し、オンチェーンおよびオフチェーン資産、同様の経験や能力があるかなど、一定の検証(プライバシー保護のため暗号化された認証作業)を行う必要があります。検証後に、DAOに参加しやすくするための初期値とマークが与えられます。

データの記録

DAOのガバナンスに参加する際、DIDはDAOでの実働時間や参加後の貢献度を記録することになります。貢献度には、投票、提案、運営作業の実績などが含まれます。また、このDIDを使って他のDAOのガバナンスに参加した場合は、それらのデータも同じDIDに記録されることで、データの多様性が増加します。

信用スコアの数値化

上記の基準をもとに、信用システムが総合的に数値化します。例えば、より多くのDAOに参加し、より長く、より活発に活動しているほど、スコアは高くなります。また、信用スコアモデルを設計する際には、例えば「資産の比率を下げ、参加の比率を上げる」といったように、数値化する信用基準の割合を設定することもできます。

分散化

信用スコアの度合いにより、DAOはそれに基づきダイナミックに権利を分割することができます。信用スコアが高ければ高いほど、より大きな力を持つことになります。信用スコアの高さは、より多くの投票権(発言権)やより多くのDAO配当金を得る権利として実現される可能性があります。

コミュニティによる貢献

これらを踏まえ、完全に分散化された理想的なDAO組織を、以下のように想定することができます。

  • 一般メンバーでも、権利や特典の獲得が容易である
  • 開発チームも一般メンバーと同様、発言権を得るためには貢献度が必要となる
  • メンバーの参加率と熱意を高めることが非常に重要である
  • まとめ

    DAOにDIDを導入することで、デジタル資産に基づく「中央集権制」をある程度、解消することができるようになります。DIDはDAOメンバーの積極性を促し、開発チームと一般メンバーによる意思決定のバランスをとることができます。

    DIDは現在のDAOが抱える問題のいくつかを解決するのに役立ちますが、これはまだ始まりに過ぎません。

    将来的には、DAOは分散型世界の主流な組織形態となるはずです。より多くのブロックチェーン技術がDAOに吸収され、エコシステムの迅速かつ健全な発展を可能にすることでしょう。

    関連:仮想通貨オントロジー、DeFiユーザー向けの身元認証ソリューションを開発

    CoinPost App DL
    注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
    07/27 土曜日
    08:10
    マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
    イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
    07:35
    BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
    仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
    07:05
    野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
    野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
    06:40
    米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
    仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
    06:20
    ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
    ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
    07/26 金曜日
    17:10
    「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
    トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
    17:10
    ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
    ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
    15:13
    ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
    株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
    14:43
    Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
    Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
    14:15
    カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
    PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
    12:55
    アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
    ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
    12:14
    仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
    昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
    11:00
    トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
    トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
    10:30
    BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
    仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
    10:00
    ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
    主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

    通貨データ

    グローバル情報
    一覧
    プロジェクト
    アナウンス
    上場/ペア