マイニングの環境問題を懸念
米議会が近々、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニングが環境に与える影響について公聴会を開く予定であることが判明した。関係筋の話としてCoinPost提携メディアのThe Blockが報じた。
早くて1月中に公聴会の開催を目指すのは米下院のエネルギー・商業委員会の監視・調査小委員会。ビットコイン(BTC)を筆頭としたPoW銘柄のマイニングの電力消費に関する証人を多数用意しているという。
PoWとは
PoW(プルーフオブワーク)とは、コンピューターで計算(マイニング)を行うことによって、ブロックを新たに承認・生成するコンセンサス(合意形成)アルゴリズムの総称。代表例ではビットコインやモネロ(XMR)などがある。
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英ケンブリッジ大学の研究によれば、ビットコイン・ネットワークにおける米国のハッシュレート(採掘速度)シェアは7月以降、初めて1位に躍り出た。21年5月の中国政府による仮想通貨禁止令でマイニングが禁止された事を受け、中国大手マイナーの移転先として米国や近隣国のカザフスタンなどに白羽の矢が立った。
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しかし、米国では連邦政府が一貫性のある仮想通貨規制を打ち出していないため、各州が独自に法整備を整える動きが目立っている。結果的に、安価な電力コストや広大な土地などの好要素を持つテキサス州やケンタッキー州、ニューヨーク州などが採掘拠点として注目を集めた。
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一方で、規制面での優遇が目立った州とは裏腹に、ニューヨーク州では老朽化した発電所をマイニング拠点に改築する事業者が注目を浴び、二酸化炭素(Co2)排出量への懸念などが浮上。州議会やメディアから悲観的な意見が集まったため、関係者によれば今度開催される公聴会ではこれが主な議題となる見込みだという。
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仮想通貨の環境負荷議論
仮想通貨のマイニングが大量に電力を消費することが取り沙汰されたのは21年2月。英大手メディアBBCなどがビットコイン・ネットワークのマイニングに消費される電力量は世界の国家と比べると30位の規模に匹敵するという統計データを取り上げた。
また、21年以前はマイニングの一大拠点として確固たる地位を築いていた中国では、四川省など水力発電を主とする地域と共に、環境負荷の多い石炭による火力発電を主体とした地域もあり、環境への影響を重視したESG型投資家からの懸念が高まっていた。
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ESGとは
環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の略称。事業面のポテンシャルだけではなく、多角的な側面から産業の影響を考慮した上で、環境問題や社会問題、国連の持続可能な開発目標(SDGs)などに貢献することが企業責任となりつつある。
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その後、21年5月には大手企業としてのビットコイン購入に進んだテスラ社がテスラ車の購入時におけるビットコイン決済の対応を中止。環境面への負荷を考慮しての決断だったため、マイニングの悪影響を懸念する動きが再び強まっていた経緯がある。
肯定派の主張
一方で、肯定派からはビットコイン・ネットワークは持続可能(サスティナブル)な再生可能エネルギーの利用をインセンティブ化する構造があるという意見が根強い。世界で初めてビットコインを法定通貨として迎え入れたエルサルバドルでは、同国が多く抱える火山の地熱を利用した「ボルケーノ・マイニング」と称される計画も進行中。
昨年10月にはすでに、初のビットコインを採掘したことを報告していた。
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また、米国の大手マイニング企業は21年6月に「ビットコインマイニング評議会(BMC)」を設立した。ビットコイン・ネットワークに参加するマイニング企業の56%が再生可能エネルギーを利用しているとのデータを公表。
BMC加盟企業に至っては、再生可能エネルギーの利用率は67.6%と、いずれも従来産業の数値を上回っていた。
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