TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

Bitfinexの暗号資産ハッキング事件、容疑者夫妻の保釈判断分かれる

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

保釈の決定が覆される

米ワシントンDCの連邦地方裁判所は14日、暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinexの不正流出に関する資金洗浄容疑で逮捕されたIlya Lichtenstein夫妻の保釈聴聞会で、Lichtenstein被告に保釈を認めないという決定を下した。妻のHeather Morgan被告は、300万ドル(3億4,600万円相当)で保釈が認められた。

Lichtenstein夫妻は8日、Bitfinexのハッキングで流出した36億ドル(約4,155億円)相当のビットコイン(BTC)を洗浄しようとした容疑で、ニューヨーク市で逮捕された。同日、ニューヨーク連邦地方裁判所は、それぞれ500万ドル(5億7,700万円相当)と300万ドルで夫妻に保釈を認める決定を下したが、当日午後7時、ワシントンDC連邦地方裁判所主席判事のBeryl Howell裁判長は、保釈の決定を保留するよう緊急に求めた。両者に逃亡の恐れがあると判断されたようだ。

14日、対面審理のため両被告はワシントンDCに移送され、前出の判決が下された。Lichtenstein被告はビットコインの秘密鍵にアクセス可能であると裁判長は指摘。同被告は公判まで、ワシントンDCの拘置所に勾留される。

関連:Bitfinexの流出ビットコイン、米司法省が4,150億円相当を押収

事件の経緯

2016年8月に起こったハッキングでBitfinexから、およそ12万BTCが流出した。当時のレートは1BTC=約6万円で72億円相当だったが、現在の価格では約6,000億円に上る。米司法省は今回、そのうちの9万4,000BTCを押収したと発表。金融関連では司法省史上最高の押収額になるという。

Bitfinexから不正流出したビットコインの移動は幾度も、大口送金等を報告するSNSアカウント『Whale Alert』が観測、報告してきていた。逮捕の1週間前となる2月1日には、合計6万4,643BTCが不明なウォレットに、21回に分けて送金されたと発表。また、ブロックチェーン分析企業Ellipticは「23回に分け、94,643BTCが移動した」と別の時間軸から分析していた。

被害にあったBitfinexは、2020年8月には、取り戻した資産の5%を貢献者に与える報奨金制度を発表するなど、世界の法執行機関や取引所、ウォレット企業と協力し、盗まれたビットコインを取り戻す努力を重ねてきたようだ。2月上旬時点で合計50BTCが戻っていると報告していた。

関連:「盗んだビットコインを返して」 Bitfinex、ハッキング事件解決に420億円の報酬

BitfinexはLichtenstein夫妻の逮捕後も、引き続き当局と連携するとともに、法的な手続きに従ってビットコインの返還を求めていくとしている。なお、今後ビットコインが回収できた場合、その8割を売却し、プラットフォームトークンLEOの買い戻し及び焼却(バーン)を実施すると発表している。

資金洗浄の入念な計画

米内国歳入庁(IRS)のChristopher Janczewski特別捜査官の宣誓供述書によると、夫妻は盗まれたビットコインを「何千ものトランザクションを通じて、自分の名前や会社の十数個の口座に移動させた」という。

逮捕のきっかけとなったのは、Lichtenstein被告が使用していたクラウドストーレージのアカウントを当局が突き止めたことだった。政府が解読したファイルには、2,000を超えるアドレスと、その秘密鍵のリストが含まれていた。これらのほとんどがBitfinex事件に関連しており、Morgan被告所有の団体を経由していたことも明らかになった。

司法当局は秘密鍵を取得後、ウォレットにあった9万4,000BTC超の押収に成功。一方、残りの2万5,000BTCについては、両被告によってアクセス可能であると当局は主張している。

被告は架空のIDによるインターネットアカウント作成、トラザクションの自動化プログラムの使用、短時間で大量の取引実行など、高度な手口を使って資金洗浄していたようだ。取引所以外にもダークマーケット経由で、ビットコインを複数の銘柄に交換していたとされる。

換金は困難

仮想通貨は資金洗浄の道具として、規制当局から槍玉に挙げられることが多い。

しかし、資金移動の履歴が残る仮想通貨を法定通貨や他の資産と交換することは容易ではないことが、9万4,000超のビットコインが6年近く手付かずであったことからも推測できる。

米連邦捜査局(FBI)副局長は、今回の逮捕劇に関して「犯罪者が残した足跡」は当局が保有するツールで、どこまでも追跡できると自信を見せるコメントを寄せている。

関連:Netflix、Bitfinex不正流出事件のドキュメンタリー化を決定

容疑者の素顔とは

31歳のHeather Morgan被告は、「Razzlekhan」という名で動画を投稿するラッパーとしての顔も持っており、ソーシャルメディア上でも独特の存在として異彩を放っていた。一方、Eメールを使った勧誘手法の専門家として講演したり、フリーのコラムニストとして米フォーブス誌に寄稿するなど、多才でリスクを取ることを恐れない性格が、夫となるLichtenstein被告に「強烈で、才気に溢れ、集中力がある」と印象付けたようだ。

一方のLichtenstein被告(34歳)は、ウィスコンシン大学卒業後、シリコンバレーでさまざまな分野のサイトの立ち上げたが軌道に乗ることはなかったようだ。しかし、共同創業者としてデータ駆動型のマーケティングのスタートアップ「MixRank」を立ち上げると、2011年にはスタートアップ支援の大手ベンチャーキャピタル「Y Combinator」のアクセラレータープログラムに認められ、成功を収めた。MixRankの初期の支援者には、米著名起業家で仮想通貨投資家でもあるMark Cuban氏も含まれていた。(NBA ダラス・マーベリックスのオーナーでビットコイン・ドージコイン支持派としても知られる)

その後、夫妻はブロックチェーン基盤のサイバーセキュリティ企業や投資事業を設立。スタートアップ企業への投資を行うまでになる。二人はニューヨークの高級住宅地のマンションに住み、ソーシャルメディアには贅沢なライフスタイルを感じさせる写真を投稿していた。夫妻を知る人々は、今回の逮捕にショックを隠せないようだ。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。
16:59
バイナンス、5種類の仮想通貨取引ペアを11月22日に取扱い中止
大手取引所バイナンスが、THETA/ETHやRARE/BRLなど5種類の仮想通貨取引ペアの取扱い中止を発表。11月22日12時より取引停止へ。各トークンは他の取引ペアで継続取引可能で、価格への影響も限定的。スポット取引ボットサービスも同時終了。
15:27
ビットコイン1500万円突破 ETFオプション解禁で資金流入加速
ビットコインが史上初めて1500万円を突破した。米国でETFオプション取引が解禁され、機関投資家の参入が加速。IBITへの1日1000億円規模の資金流入が継続する中、トランプ政権への期待も相場を押し上げる。バーンスタインは3100万円到達の強気予想を見立てている。
13:10
ソラナPhantomウォレット、米AppStoreの無料ユーティリティアプリ部門でトップに
ソラナ基盤のPhantomウォレットが米AppStoreで無料ユーティリティアプリ部門1位を獲得。無料アプリの総合部門でも5位に躍進した。
11:25
半導体大手エヌビディア決算報告 過去最高の売上高
エヌビディアが8~10月期決算を発表。売上高は再び過去最高を記録した。AI需要拡大で業績好調も、成長率の鈍化予想で株価は下落している。
11:05
米SEC、仮想通貨指数ETFの上場判断を延期
ゲンスラー率いる米国証券取引委員会は、米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンの仮想通貨指数ETF「EZPZ」の承認判断を延期した。
09:40
「仮想通貨は申告分離課税で20%に」国民民主党の玉木代表が与党に要望
国民民主党の玉木代表が仮想通貨税制改正を与党に要望した。雑所得から申告分離課税にすることを提案している。
07:50
テザーUSDTが3000億円分新規発行、市場に流動性注入
今週仮想通貨ビットコインの上昇に際し、ステーブルコインのテザー(USDT)が大量に発行されたことが明らかになった。
06:50
米上場のバイオ企業、ビットコイン財務戦略を採用
米上場のバイオ医薬品企業のHoth Therapeuticsは、最大100万ドル相当の仮想通貨ビットコイン購入を取締役会で承認した。
06:40
トランプ次期政権、史上初の仮想通貨特命官ポストを検討
トランプ次期大統領の移行チームは仮想通貨政策に特化した史上初の常勤のホワイトハウスポジションの設置を積極的に検討しているようだ。
06:20
マイクロストラテジー時価総額が米国トップ100に、ビットコイン史上最高値更新受け
仮想通貨ビットコイン続伸を受け、BTCを大量に保有する米マイクロストラテジー社の株価も続伸し、史上最高値となる504.7ドルに到達し米国で時価総額トップ100にランクインした。
11/20 水曜日
17:03
韓国の仮想通貨課税、2025年1月から導入見込み
韓国政府が2025年初頭から実施予定の仮想通貨課税について解説。免税限度額を250万ウォンから5000万ウォンへ大幅引き上げで、年間利益560万円未満は非課税に。取得価格不明時の代替計算方法導入など、投資家に配慮した新制度の詳細を紹介。11月下旬の法案可決を目指す。
14:00
BONK急騰、アップビットでウォンペア提供開始
韓国最大の仮想通貨取引所Upbitは20日にソラナ基盤の犬系ミームコイン「BONK」の新規上場を実施し、韓国ウォンの通貨ペアを新たに提供し始めた。
13:57
Ledger Stax・Flex完全ガイド|仮想通貨の高性能ハードウェアウォレットを徹底比較
10周年を迎えたLedgerの次世代ハードウェアウォレット「Stax」と「Flex」を詳しく解説。大画面タッチパネル搭載の最新モデルの特徴から、定番のNanoシリーズとの違いまで完全網羅。セキュリティと使いやすさを兼ね備えたウォレットの全貌を紹介しています。
13:20
マイクロストラテジー会長、マイクロソフト株主総会でビットコイン投資を提案へ
米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長が、マイクロソフト株主総会で3分間のビットコイン投資プレゼンを実施すると発表。ビットコイン投資は株主にとっても、株価を左右する重要な議題であり、総会で議論されるべきだと述べた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧