エルサルバドルの仮想通貨状況を調査へ
米国の超党派議員ら3名は16日、米国務省にエルサルバドルのビットコイン(BTC)の法定通貨化についての調査・報告を義務付けるための法案を提出した。
可決した場合、暗号資産(仮想通貨)採択のメリットや進捗、および米国への金融リスクを調査し、米議会に報告することが求められる。また、米政府への影響を最小限に留める施策も提案する形となる。
法案名はACES法(Accountability for Cryptocurrency in El Salvador Act)。
世界で初めて仮想通貨を法定通貨に定めたビットコイン法(Ley Bitcoin)に係る影響のほか、米国に対して想定されるリスクなどの広範な調査を米国務省や政府機関に指示する。
ビットコイン法とは
エルサルバドルのブケレ大統領が推進した法案。ビットコインを米ドルとともに国の法定通貨として認め、国内の決済利用を念頭に定めたもの。2021年6月9日に議会によって可決された。ビットコインが国の法定通貨として正式に認められる初事例となった。
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法案の詳細
法案を提出したのは、上院外交委員会の会長などを含む3議員。
民主党所属のBob Menendez議員と共和党のJim Risch議員とBill Cassidy議員らは、エルサルバドルのビットコイン採択は「経済の安定性に重大な影響を及ぼしかねない」と懸念。
将来的に米国の課す経済制裁を弱める可能性もあると指摘し、米経済への潜在的リスクをより詳しく洗い出すべきだと述べている。
調査対象は以下の通り。エルサルバドルにおける仮想通貨の普及率やその影響、そして米国政府への長期的な影響を分析する。
- ビットコイン法の施行に至るまでのプロセス
- 法定通貨としての仮想通貨普及に関する法的枠組み
- 仮想通貨の金融リスク・サイバーセキュリティー面のリスクに対する取り組み
- 同国の法的枠組みがFATFの基準に見合うか
- ビットコイン導入による企業や個人への影響
- 課税などマクロ経済と民主的ガバナンスへの影響
- アンバンクト(銀行口座を持たない人口)層への影響
- 米国からエルサルバドルへの送金額
- IMFや世銀など、国際金融機関との関係性への影響
- 国際犯罪の阻止に対する取り組みへの影響
- 米国との2カ国間関係への影響および米ドル利用率低下の可能性
- 経済制裁を回避する手段としての仮想通貨利用のリスク
- エルサルバドルにおける仮想通貨の普及率
法案によれば可決から60日以内にレポートの初稿提出を国務省などに課す。さらに、それから90日以内に米経済への影響を最小限に留める方法を米議会に提出することを義務付ける。
エルサルバドル大統領も反応
法案の提出について、調査対象として名指しされたエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領が見解を示し、「独立国家であるため、米国による内政干渉になりかねない」と批判した。
OK boomers…
— Nayib Bukele 🇸🇻 (@nayibbukele) February 16, 2022
You have 0 jurisdiction on a sovereign and independent nation.
We are not your colony, your back yard or your front yard.
Stay out of our internal affairs.
Don’t try to control something you can’t control 😉
https://t.co/pkejw6dtYn
なお、エルサルバドルでは現在、仮想通貨推進特区の設立を目的としたビットコイン債券の発行に向けた法整備を準備中。財務大臣によれば、3月中の実現を目指すとしている。
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