SECが召喚状を送付か
米証券取引委員会(SEC)が過去数ヶ月に渡り、NFT(非代替性トークン)プロジェクトの有価証券性を調査していることがわかった。関係筋の話としてブルームバーグが報じた。
関係者によれば、SECは直近数ヶ月間で、複数のプロジェクトに召喚状を発令した模様。アートやコレクタブルをNFT化して販売する行為が、証券法に該当する可能性があるとして、調査を行っているという。
また、調査の一部では、トークンの分割販売および所有が可能となる「フラクショナルNFT」も分析されている。なお、SECからの情報提供の依頼は、必ずしも取り締まりにつながるものではない。
ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長は常々、仮想通貨の銘柄の多くが有価証券に該当するという見解を明らかにしており、規制当局として仮想通貨に対する監督責任の拡大を示唆している。
SECはこの件についてのコメントは控えているが、規制当局からの情報提供要請は、必ずも強制捜査に結びつくものではない点は留意しておきたい。
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証券に分類される可能性
仮想通貨支持派として「クリプトママ」の愛称で知られる、SECのHester Peirce委員は昨年12月末、SECがNFTの精査を開始する可能性を警告していた。
米仮想通貨メディア「CoinDesk」のTV番組に出演したPeirce委員は、「NFT領域の広さを考慮すると、そのいくらかはSECの管轄に入るかもしれない」と述べ、一部のNFTが証券法に抵触する可能性があることを示唆した。
米ニューヨークに拠点を置くDilendorf弁護士事務所は昨年3月、NFTがSECの規制対象である証券と見做されるかどうかについての考察を発表。全てではないが、「特定のNFTが証券と見なされる可能性はかなり高い」と指摘していた。
同事務所の見解は以下の通りだ。
- デジタルアート・収集品・ゲームのアイテムなどの真正性の証明としてNFTが機能する場合においては、証券と見做される可能性は低い。
- 発行者によるサービスの継続及び流動性を約束し、一般消費者に提供され、価値が上昇している場合は、投資契約と見なされ証券となる可能性が高い。
SECや内国歳入庁(IRS)などの政府機関は、証券に該当するか否かの判断には、「投資商品の形式ではなく、経済的実質に注目」するHoweyテストを用いることから、NFTにも同様の判断基準が適用されると、同事務所は説明した。
ハウィーテスト(Howey Test)
ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。
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他国の事例
一方、シンガポールの金融管理局(MAS)は2月に現時点でNFTを規制する計画はないと発表。MASのターマン・シャンムガラトナム担当大臣は、NFT投資のリスクを警告する一方で、全ての投資対象を取り締まることは、MASの権限ではないとした。
ただし、「フラクショナルNFTのような投資」に関しては、MASが規制対象とする可能性もある認め、さらにNFTが「上場株式のポートフォリオの権利」を体現するものとして作成された場合は、規制要件の対象となると発言していた。
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