オントロジーインタビュー
オントロジー(Ontology)は、「信用の再定義」をミッションに掲げ、Web3時代に向けた分散型アイデンティティ(DID)とデータソリューションを開発・提供する分散型プラットフォームだ。個人情報と資産を一元管理できるONTOアプリなど、信用問題を解決する様々なプロダクトを提供している。
今回、オントロジーのエコシステム・パートナーシップ担当チーフであるGloria Wu(グロリア・ウー)氏にインタビューを実施した。
Gloria Wu氏は、オントロジーで自己主権的なID、信用スコア、プライバシー、そしてデータ管理のための分散型テクノロジー領域において、これまで熱心な活動を行ってきた担当者だ。
1)自己紹介
それでは、Gloriaさんのこれまでの経歴についてまず教えてください
まず私は、分散型IDとデータソリューションを通じて、Web3 に信頼・プライバシー・セキュリティをもたらすプロジェクトであるオントロジーのエコシステム・パートナーシップの担当チーフを務めています。
これまでにコンサルティング、プロダクトマーケティングやオペレーション、ソーシャルエンタープライズなどの業種を経験しました。またマーケットプレイス・レンディング投資のBlue Elephant Capitalで、投資およびアクセラレーション部門のVPを務めたこともあり、そこでは初期段階のEdTechインキュベーション、アクセラレーション、シード投資に力を注いできました。
また、世界最大の物流企業であるDHLや、世界最大の青少年育成組織であるアイセックでは、グローバル・プロダクトマネジメントおよびマーケティングのディレクターとして、上級職を歴任しました。他にも、未来志向をテーマとした思想家として、非階層的な組織の成功や分散型コラボレーションのエンパワーメントをテーマとした研究も行っています。
経営コンサルタントやグローバル非営利団体でのキャリアは、これらのテーマにおける重要な洞察力と経験をもたらしてくれました。また、アルゴリズムによる男女平等とプライバシーの保護を目指す「マナデータ財団」のアドバイザーも兼任しています。
2)オントロジー設立の背景
オントロジー設立の背景はどのようなものだったのでしょう?
リ・ジュンによって設立されたオントロジーは、Web3への信頼できるアクセスを提供するインフラを構築しています。技術者としてのバックグラウンドを持ち合せる哲学者リ・ジュンは、このオントロジー・プロジェクトの名付け親でもあります。
哲学用語では、オントロジーは「存在論」を指し、ものごとの存在そのものに関する現実的概念を追求する哲学の一分野です。また、セマンティックウェブの文脈でもオントロジーという根本的プロトコルが存在しています。オントロジーは技術や哲学の障壁を超えた物事の基本的なインフラのことを指しており、分散型かつ信用ベースのインフラを構築するという我々のビジョンとマッチしています。
セマンティックウェブとは
セマンティックウェブとは、ウェブサイト上の情報などに意味(Semantics)を持たせることで、コンピュータがより正確な情報を分析し、再利用や提供できるようになることを目指す構想やプロジェクトのこと。
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3)日本での上場について
次に、日本での上場についてお話を聞かせてください
ONT(オントロジーが発行する独自ユーティリティトークン)は、日本の暗号資産取引所ディーカレットに上場を果たしました。
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これは、日本におけるONT初の上場であり、オントロジーと成長する日本のコミュニティにとって大きなマイルストーンとなりました。ONT/JPY取引ペアは2021年7月19日に稼働し、最初の数時間で40,000(当時のレートで約265万円)を超えるONT取引量が実現しました。2021年8月12日、ONTはもう一つの日本の取引所であるHuobi Japanにも上場されました。
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日本での上場は、オントロジーのビジネスにどのような影響を与えたのでしょうか?
2021年に、オントロジーのONTトークンが2ヶ所の暗号資産取引所に上場したことは、日本の皆様が安心のできるプラットフォームでONTを取引できるようになったことを意味するだけでなく、日本の暗号資産に対する規制は比較的厳しいことから、オントロジーに信頼性と合法性を提供しています。
実際、市場に存在する数千ものコインやトークンの中で、ホワイトリストに登録されている仮想通貨はONTを含め、わずか約40種類に過ぎません。
日本でのユースケースを拡大する計画はありますか?
オントロジーはこれまでにも日本でのパートナーシップを成功させており、製品の実際のユースケースを示しました。例えば、ZAICO社(本社:山形県)とのパートナーシップは、同社の在庫管理システムを強化し、トレーサビリティ、透明性、信頼性を向上させることに成功しています。
この成功に基づき、日本で幅広いユースケースを作り、普及させていくため、いくつかの企業とパートナーシップの可能性について協議しているところです。
これからメディアなどを通じて共同でプロモーションを行い、ユーザーが実際にオントロジーの高性能でビジネスに適したパブリックブロックチェーンの恩恵を受けられる製品を開発・リリースしていきます。まずはオントロジーのユニークなDIDである「ONT ID」を法人の顧客に実装して頂き、より多くのユーザー層へ訴求していく予定です。
4)オントロジーのDIDについて
ONT IDについて言及されましたが、その特徴はどういったところにあるのでしょうか?
ONT IDは、オントロジーの分散型IDソリューションで、高い信頼性を持ちつつプライバシーを守る製品として設計されており、ユーザーに力を与えることが目的です。これは、分散型識別子と検証可能なクレデンシャルのためのW3Cの推奨規格に準拠した分散型IDフレームワークです。
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ブロックチェーンおよび暗号技術に基づき、ONT IDは人・データ・サービスを迅速に識別し、結びつけることができます。ONT IDの主要な機能は、分散化、自己管理、プライバシー保護、および使いやすさを目指しており、ユーザーが自らのデータとアイデンティティを完全にコントロールすることを保証します。
拡大を続けるユーザーベースを促進するため、ONT IDは2021年9月にアップグレードを行い、ユーザー体験を改善し、開発者がONT IDを通じて洗練されたアプリや実世界でのユースケースを簡単に構築できるようにしました。これらには以下のようなものがあります。
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オントロジーのDIDは、今後どのような分野での活用・普及が期待されますか?
ONT IDは、現在までにメルセデス・ベンツのメーカーであるダイムラー社傘下のダイムラーモビリティ、Microworkers、bloXmove、ROCKIなどとの提携により、多くの有力製品に実装されています。現在、150万人以上のユーザーがONT IDを利用してデジタルIDを管理しています。
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3月2日に正式ローンチされたばかりの「オントロジーEVM」は、オントロジーの利点を多くのユーザーに新たに提供することになるでしょう。より多くのアプリケーションがオントロジーネットワーク上に構築され、開発者やユーザーの可能性が拡大されることになるはずです。オントロジーのアプローチの関連性と応用性は、チェーンや業界に関係なく、Web3全体に及ぶことになります。
5)オントロジーのDAO化はあるのか
今後、オントロジーのDAO化はあるのしょうか?
DAOは必然的に分散型世界の組織形態となり、より多くのブロックチェーン技術がDAOに吸収され、エコシステムの迅速かつ健全な発展が可能になります。
分散型IDとデータソリューションを通じてWeb3に信頼、プライバシー、セキュリティをもたらすプロジェクトとして、オントロジーのDIDは、デジタル資産に基づく「中央集権性」をある程度排除することができるだけでなく、DAOメンバーの積極性を促し、開発チームと一般メンバーの意思決定のバランスを図ることができます。
オントロジーを実装したクレジットベースのクロスチェーン分散型融資プラットフォームである「Wing Finance」は、そのDAOコミュニティをフルに活用しています。WINGトークン保有者は、新製品の発売、WINGトークンの製品適用ルール、Wing DAOコミュニティファンドの配分、そしてコミュニティが検討すべき新しいガバナンス提案の投票など、ガバナンスに参加することもできます。
我々は、特にオントロジー・ブロックチェーン上のEVMの統合が来ることで、オントロジー上に構築するDAOがますます増えていくことを嬉しく思っています。
DAOとは
DAOは「Decentralized Autonomous Organization(自律分散型組織)」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。
6)日本の読者へのメッセージ
最後に、日本の読者へのメッセージをお願いします
日本市場はブロックチェーン業界に対して厳しいルールを設けており、オントロジーは関連するすべての規制を完全に遵守することを約束します。
オントロジーチームは、日本におけるブロックチェーンエコシステムを可能な限り革新的なものにするために尽力しています。今後、より多くの日本の公的機関や民間企業に、オントロジー独自の分散型ソリューションを提供できることを楽しみにしています。
さらに、より多くの日本の取引所にONTとONGを追加することにも取り組んでおり、暗号資産ネイティブと従来のビジネスベンチャーの両方に対し、さらに利益をもたらす新しいトークン使用事例を模索しています。言うまでもなく、日本におけるオントロジーの未来は明るいものであると確信しています。
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