はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の分散型取引所(DEX)に潜むリスク|フロントランニングとは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DEXの問題点「フロントランニング」
フロントランニングとは、攻撃対象者のオーダーを見た攻撃者が先回りして自身のオーダーを処理することで、攻撃対象者をより不利なレートで取引させる攻撃手段。DEX自体の安全性を大きく揺るがす問題ではないものの、マイナーやユーザーが攻撃を仕掛けられる可能性が指摘されている。
フロントランニングの解決策
攻撃者がオーダーを先回りできないようなオーダー方式を設計したり、暗号技術を用いたりすることで、フロントランニングを防ぐことができる。予測市場プラットフォームであるGnosisは、DEXにおけるフロントランニングにいち早く注目しており、様々な解決策を考案している。
DEXとは
分散型暗号通貨取引所(Decentralized EXchange)のこと。 ブロックチェーン上の非中央集権型取引所であることで、高い安全性がメリットになる反面、割高な手数料や法定通貨が使用できない点、流動性及び利便性の低さがデメリット。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

フロントランニングとは
攻撃対象者のオーダーを見た攻撃者が先回りして自身のオーダーを処理することで、攻撃対象者をより不利なレートで取引させる手段。これによって攻撃者は利ざやを稼ぐことができる。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

数々の仮想通貨取引所のハッキング被害を受けて、比較的安全性の高い(DEX:decentralized exchange)に注目が集まっています。

DEXの問題点としては、やはり出来高の少なさが挙げられますが、最近はフィッシング詐欺のリスクや、「フロントランニング」についても重要な問題だと指摘されています。

そこで今回は、DEXにおけるフロントランニングのリスクと、その解決策について解説します。

分散型取引所(DEX)とは

分散型取引所(DEX)とは、中央管理者がいなくても仮想通貨の取引が可能な取引所の事です。

中央集権型取引所では、中央管理者がハッキングされ、ユーザーの「秘密鍵」を盗まれるリスクがありますが、DEXはこのようなハッキングに対して安全だと考えられています。

DEXに関する詳しい説明は、以下の記事も併せてご覧ください。

CoinPostの関連記事

分散型取引所(DEX)とは?/中央集権型取引所との違いについて解説
分散型取引所(DEX)についての解説記事です。EtherDeltaや注目ICO通貨であった0x、Kyber Network等様々な分散型取引所プロジェクトについても触れていきます。

フロントランニングとは

DEXのセキュリティは、狙われやすい中央集権取引所と比較して安全だとされていますが、現状ではいくつかのデメリットも指摘されています。

取引所の出来高が少ないことが主要なデメッリットとして議論されることが多いですが、「フロントランニング」もDEXが抱える重大な問題点の一つだと言えます。

フロントランニングとは、攻撃対象者のオーダーを見た攻撃者(以下、フロントランナーと呼ぶ)が先回りして自身のオーダーを処理することで、攻撃対象者をより不利なレートで取引させる手段です。

理論上、通常のDEXにおいてはマイナーとユーザーが、フロントランニングを仕掛けられます。

ユーザーによるフロントランニング

トランザクションがネットワークにブロードキャストされてから、そのトランザクションがブロックに組み込まれてマイニングされるまでには一定の時間差が存在します。

その期間、トランザクションは「pending transaction pool」でマイニングされるのを待ちます。

フロントランナーは、このpending transaction pool上のトランザクションを観察し、優先的にブロックに組み込まれる自身のトランザクションをブロードキャストすることで、ターゲットのトランザクションを妨害します。

具体的には、フロントランニングは次のような手順で進められます。

1. 1ETHを100EOSに替えるオーダーがpending transaction poolに存在するとする

2. ターゲットが100EOSを1ETHに替えるオーダーを送り、pending transaction pool組み込まれる

3. フロントランナーはpending transaction poolからこのオーダーを確認し、同じオーダー(100EOS→1ETH)を送信する(この際、ターゲットのトランザクションが設定したgas priceよりも高いgas priceを設定する)

4. 合理的なマイナーは、より多くの手数料報酬を得ることができる、gas priceの高いトランザクションを優先してブロックに取り込むため、フロントランナーのトランザクションが優先される

5. フロントランナーのオーダーが処理され(100EOS=1ETH)、ETHに対するEOSのレートが悪化する(101EOS=1ETH)

6. 本来なら100EOSで1ETHを得られたはずのターゲットは、1ETHを得るために101EOSを支払わなければならい

マイナーによるフロントランニング

フロントランナーがマイナーになると、さらに対処が難しくなります。

マイナーは「pending transaction pool」から、好きな順番でトランザクションを処理できます。

したがって、マイナーがフロントランナーである場合、自身のトランザクションを優先的に処理することでフロントランニングができます。

このようなマイナーによるフロントランニングは、ユーザーによるフロントランニングより対処が難しいです。

例えば、ユーザーによるフロントランニングであれば、gas priceに上限値を定めることで、ユーザーその上限値でオーダーを送信した時にフロントランナーがこのオーダーに回り込めなくなります。

しかし、マイナーによるフロントランニングでは、マイナーはgas priceに関係なく好きなようにトランザクションを順序づけることができてしまうので、gas priceに上限値を設けても、解決できません。

フロントランニングの解決策

フロントランニングの解決策としては、以下のようなものが考えられます。

バッチオークション

バッチオークションとは、通常の株式市場の連続的なオーダー方式とは異なり、一定時間ごとに取引を成立させるオークション方式です。

あらかじめ一定時間ごとにしかオーダーが成立しない設定にすることで、他人よりも先にオーダーを通すことによって得られるメリットを無くします。

バッチオークションによって、オークション参加者が他人を出し抜くための”取引スピード競争”に陥ることを未然に防ぐことができます。

ダッチオークション

出典:blog.gnosis.pm

ダッチオークションとは、最初に設定した価格から販売が終了するまで徐々に価格が下がっていくオークション方式です。

このオークション方式は、以下のような手順で進行します。

  1. オークションの開始後、買い手は買っても良いと思う金額になった時に入札を行う
  2. 即座に、入札者が入札した数量分だけ落札される
  3. 売りに出された数量分が全て落札された時点でオークションは終了する
  4. オークション終了時の価格を落札額とする

ダッチオークションを採用することで、常に同じ価格を利用者に与えることができるため、フロントランニングの防止につながります。

このオークション方式は、予測市場プラットフォームである、仮想通貨Gnosisが実装を進めているDEX(分散型取引所)でも採用されています。

CoinPostの関連記事

未来予測市場の需要とは? Gnosis:CTOにインタビュー
Gnosis:CTOに独占インタビューを実施。分散型未来予測市場を徹底調査しました。ダッチオークションを選んだ理由、Gnosis初の分散型取引所など今後知っておきたいことをインタビューさせていただきました。

秘密分散法

DEXにおけるフロントランニングは、フロントランナーがpending transaction poolのトランザクションを自由に観察できる点を突いていました。

したがって、pending transaction poolの観察自体を自由に行えなくすれば、フロントランニングの問題は解決されます。

秘密分散法は暗号技術の一種であり、フロントランニングを行いたい個人がブロックチェーン上のトランザクションを閲覧するのを防止します。

この技術のもとでは、まずDEX上のトランザクションの情報を複数個に分割して、集団内の各個人に分配します。

このトランザクションの情報を復元するためには、各個人に分配された情報を特定の数以上集める必要があり、1人(あるいは少数)の個人だけでは決してトランザクションの内容を把握することができません。

このようにして、DEX上で個人が発注内容を把握するのを防ぐことができます。

CoinPostの関連記事

これから主流になると予想される注目の分散型取引所(DEX)一覧まとめ
国自体の規制により取引所の閉鎖等のニュースが出て価格の乱降下が起きていますが、国家が規制をかけているのが中央集権型取引所であり、分散型取引所が閉鎖するような事態は考えにくいため、今後主要になるのがDEXと呼ばれる分散型取引所です。
XRP台帳はPoW台帳より「耐検閲性」が優れている|耐検閲性とは
「検閲」とは、「技術的な原因によらず、特定のトランザクションなどに差別的に障害を与えること」です。XRP台帳とBTCのPoWシステムはともに一定の「検閲」に対する耐性の基準を満たしていますが、XRP台帳はより小さな「検閲」の問題に対しても高い耐性を持ちます。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/14 土曜日
13:55
相次ぐ小規模企業による大規模な仮想通貨投資発表、VanEck専門家は株価操作の可能性を指摘
時価総額数億ドルの小規模上場企業が数百億ドル規模の仮想通貨アルトコイン購入計画を発表する事例が相次いでいる。VanEck専門家は一部を株価操作目的と分析し、投資家に注意を促している。
13:10
ビットコイン保有企業の増加でシステミックリスク上昇=コインベース分析
米コインベースが最新レポートで、現在228社が仮想通貨ビットコインを82万枚保有していると指摘し、こうした財務戦略でシステミックリスクも上昇していると説明した。
11:38
イーサリアム専門家らがETH価格を「大幅に過小評価」と主張、長期目標8万ドルも
イーサリアム技術者らが新報告書でETHを「デジタル石油」と位置付け、ビットコインとの比較で機関投資家向けに大幅な過小評価を訴える。ステーキング収益や供給上限機能により長期的な価値上昇を予測。
10:44
ブラジル下院委員会、ビットコイン戦略準備金法案を可決 
ブラジル下院委員会が仮想通貨ビットコイン戦略準備金法案を可決。外貨準備の最大5%をビットコインで保有する「RESBiT」創設を目指し、中央銀行デジタル通貨の担保活用も検討。
09:50
「ドン・キホーテ」運営のPPIH、オンチェーンでデジタル証券発行へ 若年層支援の仕組み
ドン・キホーテ運営のPPIHは、セキュリタイズジャパンと提携し若年層支援の仕組みを持つデジタル社債を発行する。majicaポイントなどで利息支払いし、若者に特典を付与する。
09:30
ソラナ現物ETF承認へ前進か、複数企業がSEC要請でS-1書類を修正提出
米SEC要請を受けフランクリン・テンプルトンやフィデリティなど複数企業がソラナ現物ETFのS-1書類を修正提出。ステーキング機能組み込みも検討され承認に向け前進。
08:20
ホスキンソン氏、エイダをビットコインやステーブルに替えることを提案
カルダノ創設者チャールズ・ホスキンソン氏は、1億ドル相当の仮想通貨エイダをビットコインや複数のステーブルコインに替えることを提案。背景や目的を説明し、売り圧を懸念する声にも応えている。
07:30
現在最注目の仮想通貨関連法案、来週火曜日に米上院で最終採決見込み
米上院が来週火曜日にステーブルコイン規制法案「GENIUS法」の最終採決を実施。米ドル裏付け義務化や年次監査要件など包括的な規制枠組みを設定する重要法案の行方に注目。
07:05
今年最大規模の流入、ビットコイン長期保有ウォレットに3万超BTC=アナリスト分析
月11日にビットコイン蓄積ウォレットへ3万BTC以上が流入。2025年最大規模で、史上最高値圏でも長期投資家の積極的な買い増しが継続している状況が明らかに。
06:30
ウォルマート・アマゾンが独自ステーブルコイン検討、競争激化でビザとマスターカード株価急落
米大手小売企業がステーブルコイン発行を検討中。年間数十億ドルの決済手数料削減が狙い。競争激化でビザ・マスターカード株価下落、大手銀行も共同発行で対抗策を模索している。
05:55
米ナスダック上場企業、1000億円規模のビットコイン購入を計画 SPAC調達で
著名仮想通貨投資家ポンプリアーノ氏がProCapBTCのCEO就任を協議中。SPAC合併により750億ドルを調達し、全額ビットコイン購入に充当する計画が明らかになった。
05:35
米SharpLink Gaming、670億円でETH大量購入 イーサリアム財団に次ぐ世界2位の保有企業に
米上場企業SharpLink GamingがETH176,270枚を670億円で購入し、イーサリアム財団に次ぐ世界第2位の保有企業となった。Consensys主導の私募増資で最大ETH保有戦略を推進。
06/13 金曜日
21:13
​​セガとDJTが満を持してリリースする『魁 三国志大戦』 BCGの新潮流を切り拓けるか?
セガの「三国志大戦」がWeb3テクノロジーを取り入れた新作『魁 三国志大戦』として生まれ変わった。CoinPostでは、開発を担うdouble jump.tokyoの創業者である上野 広伸氏にインタビューを実施。開発背景や作品の魅力を語ってもらった。
18:35
MEXC関連企業、ソラナ開発者育成で新プログラム アジア太平洋地域で展開
MEXC IgniteXとSuperteamが戦略的提携を発表。Solana Summit APACで「IgniteX Solana Talent Lab」を始動し、APAC地域のブロックチェーン人材育成を推進。
17:00
超富裕層の投資戦略が大転換、株式から仮想通貨などへシフト=BNYレポート
米大手金融機関BNY Mellonが公開した最新のファミリーオフィスの投資動向調査レポートで、超富裕層による投資戦略の大きな転換が明らかになった。上場株式への投資から、プライベート市場や仮想通貨を含むオルタナティブ投資へと積極的なシフトが進んでいる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧