Web3関連のファンドで出資
バンダイナムコエンターテインメントは1日、ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開するGaudiy(ガウディ)に出資したことを発表した。
同社はGaudiyについて、ファンの熱量を最大化するWeb3(分散型ウェブ)時代のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を開発・提供しており、エンターテインメント領域でのブロックチェーン技術の活用や、ファンに寄り添う体験設計をはじめとするコミュニティー運営の知見を有していると評価。今回の出資を通じてGaudiyの知見を取り入れ、「IP(知的財産権)メタバース」をはじめとする新たなファン体験の創出を目指すとしている。
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今回の出資は、スタートアップ投資ファンド「Bandai Namco Entertainment 021 Fund」を通じて実施。このファンドは、国内外のブロックチェーン企業、Web3やメタバースに関連した事業を行うスタートアップ企業らに出資するもので、4月に設立が発表されていた。
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バンダイナムコグループについては今年2月、22年4月から25年3月までの中期計画が発表されている。メタバース構想をデジタル事業の重点戦略のひとつとして位置付け、開発のため150億円を投資する計画も公表されていた。
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同社は今回の公式発表で、以下のように説明している。
当社は、バンダイナムコグループパーパス「Fun for All into the Future」のもと、中期計画では、IPを軸に世界中のIPファン、あらゆるパートナー、グループ社員、そして社会と常に向き合い、深く、広く、複雑につながる存在を目指し、ファンとつながるための新しい仕組みとして、IPごとのメタバースの開発に着手いたします。
Gaudiyは25億円の資金を調達
バンダイナムコエンターテインメントが出資した金額は発表されていないが、同日にGaudiyが、同社らからシリーズBのラウンド(1stクローズ)で25億円の資金を調達したことを発表。今回の資金調達はSTRIVEとJAFCOの既存投資家に加え、SBIインベストメント、KDDI、バンダイナムコエンターテインメントの3社が新たに参加したと述べている。
Gaudiyは調達した資金をもとに、国内外での人材採用、本格的なグローバル展開、コミュニティサービスの拡充、Web3メタバース事業の開発に注力すると説明。日本が誇るエンターテインメント産業と、Web3の技術領域を掛け合わせ、世界を代表する企業を目指すとした。
今回の発表で、SBIインベストメントの投資部のマネージャーは以下のようにコメントしている。
昨今、デジタル技術やゲーム・コンテンツ産業の発展に伴い、デジタル空間での交流や取引が普及する中で、デジタル空間での経済活動が現実世界に与える影響は大きくなることが考えられます。
Gaudiy石川CEOが掲げている「Web3×エンタメ領域」というコンセプトで、日本が誇る一大産業であるエンタメコンテンツを以て世界を狙う、という壮大なビジョンに共感するとともに、SBIグループがこれまで培ってきた金融事業のノウハウを活用し、デジタル空間でのエンタメ金融をGaudiy社と共に推進していくことに期待を込め、今回のラウンドにて出資させていただきました。
また、KDDIの事業創造本部の副本部長は、次のようにコメントを寄せている。
今まさにWeb3というインターネット誕生以来の大きな波がきています。石川さんをはじめとしたGaudiy社はWeb3ネイティブな企業で、その変革を実現するための思想からテクノロジーまでの全てを持ち合わせています。
今回の出資を契機に、KDDIはGaudiy社の事業成長及びグローバル展開への支援を通じて、新しいインターネットのスタンダードを共に創りあげていきたいと考えています。
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Gaudiyの累計資金調達額は今回のラウンドで28億円になった。今夏には2ndクローズで追加の資金調達を予定しているという。