テザーを担保にUSNを発行
暗号資産(仮想通貨)ニア(NEAR)基盤のネイティブ・ステーブルコイン「USN」について、発行メカニズムを再設計する方針が示された。
6月30日からUSNの担保資産としてのニア(NEAR)の使用が停止され、ステーブルコインUSDTのみを担保に発行する仕組みにシフトしている。
USNは米ドルの価値にペッグされたステーブルコインで、スケーラブルなL1ブロックチェーンNear Protocol上で22年4月にローンチされた。
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これまで(バージョン1.0)は、アルゴリズムを活用し、NEARとUSNをそれぞれ発行・バーン(焼却)することで供給量を調節し、価格を維持する仕組みを採っていた。加えて、ディペッグが生じた際に利用する「自己調節型準備金」にUSDTとNEARが配備された。
この発行メカニズムは、LUNAを担保にTerraUSD(USD)を発行・バーンし、ビットコイン準備金を擁したテラ・エコシステムと同様だ。テラはUSTのディペッグをきっかけに担保資産(LUNA)も急落し、売りが売りを呼ぶ負の連鎖(デス・スパイラル)が生じて5月に崩壊した。
USNのプロトコル開発を主導するDecentral Bank DAO(自律分散型組織)は、テラ崩壊と最近の市場環境を評価して、USNの発行メカニズムを再設計したと説明している。
この弱気市場がいつまで続くかという不確実性と、マクロ環境の金融引き締めによって引き起こされる売り圧力を考慮すると、v1.0は潜在的にNEARの価格変動からUSNの担保不足に陥るリスクを引き起こす可能性があると結論付けた。
ディペッグ
米ドルなどの通貨とのペッグを目指す、ある通貨の価格レートが参照価格から乖離した状態。ステーブルコインの準備資産が十分でなかったり、需要が極端に高まった(または低下した)場合等に、ペッグを維持できなくなり、デペッグが発生することがある。
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USNバージョン2
v2.0は、過酷な市場環境に適応すること、そして市場の回復期に優位に立つことを目的に、2つのフェーズで構成されている。
根底にある考え方は、市場の需要に対応し柔軟性を持たせることで、USNを真に安定したステーブルコインにすること、とDecentral Bank DAOは強調している。
例えば、仮想通貨を担保にステーブルコインを発行する仕組みは弱気相場にそぐわない。「市場の低迷期に、ユーザーは清算される可能性のある担保をロックすることに消極的になる」ため、供給量が劇的に減少する傾向があるからだ。
弱気相場モードとなるフェーズ1は、担保不足のリスク解消と利回りの安定化を優先する。この間、USNはUSDTで100%裏付けられ、ユーザーはUSDTでのみUSNを発行できる。準備金に配備されたNEARや助成金は、今後もUSNの利回りの発生源として維持される。22年7・8月にはNEAR基盤のDeFiプラットフォーム「Ref Finance」を通じて、以前の倍となる月間100万USNの報酬が配布される。
強気相場モードとなるフェーズ2では、NEARを再導入し、より高い利回りを追求する。USNの発行に使用されたNEARはネットワークにステークされ、さらなるUSNの金利を生成する。「良好な市場環境下でNEARトークンを担保として再度受け入れることで、NEARの強力な価値創出につながる可能性がある」と説明されている。
各フェーズでは他の資産を担保に加えるオプションもあるようだ。詳細は近日公開される「USNのバージョン2(v2.0)」ホワイトペーパーで説明される。
イーサリアム(ETH)を担保に発行されるステーブルコインとして当初設計されたDAIは、担保にステーブルコインUSDCを導入して急成長を遂げた。現在、DAIの裏付け資産40億ドルのうちUSDCは50%を占めている。今週、MakerDAOは5億ドル分のUSDCを使って米国短期債などに投資するプランについて、コミュニティ投票を開始した。
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