クリエーター向けのVCファンドとラボの設立
ポルトガルのリスボンで11日より開催中の暗号資産(仮想通貨)NEARの年次カンフェレンス「NEARCON」で、エコシステムの成長を示唆する多くの動きが発表されている。12日に発表された内容で注目すべきものをまとめた。
クリエーター向けファンドの創設
NEAR財団は投資会社Caerus Venturesと戦略的パートナーシップを結び、140億円(1億ドル)規模のベンチャーキャピタルファンド及びベンチャーラボを立ち上げる。このファンドは、スポーツ、音楽、映画、ファッション、アートに焦点を当てたWeb3のイノベーションを促進するもので、そのクリエーターを支援するために使われる。
次世代プラットフォームの構想から認証、テストと構築を行うベンチャーラボに最初の投資を行うという。
NEAR財団のMarieke Flament最高経営責任者は、 「スポーツ、映画、音楽などの文化に対する情熱」がこれまで、多くの消費者を新たなテクノロジーに引き込むこと成功してきた歴史に言及。このような文化とエンターテイメントの力で、ブロックチェーンの大規模な普及も促進できると考えているようだ。
Caerusは、エンターテインメント業界で20年の経験を持つIMG/Endeavorの幹部であるNathan Pillai氏が設立。「Web3の技術は、文化体験、エンターテイメントの消費、価値の流通のあり方を変えるものだ」と同氏。さまざまな分野で新たなプラットフォームやアプリ、サービスを生み出す「革新的な触媒」となることで、クリエーターと消費者に「より高い公平性」をもたらすと述べた。
テザー社と提携
NEAR財団はステーブルコインUSDTを発行・管理するテザー社との提携を発表。NEARネットワーク上でUSDTの稼働が開始された。
USDTはイーサリアムやソラナなど他のブロックチェーンでも利用されており、NEARは11番目となる。
Senderウォレットが6.4億円調達
NEARプロトコルを基盤とするSender Walletは、仮想通貨投資企業Pantera Capitalが主導する投資ラウンドで、約6億4,000万円(450万ドル)を調達したと発表した。今回の資金調達は今年4月に、バイナンス・ラボが主導したシードラウンドの資金調達に続くものだ。
📢We are excited to announce our US $4.5 million private funding round led by Pantera @PanteraCapital
— Sender | Lisbon | Sept 11-14 (@SenderWallet) September 12, 2022
This milestone signals #Sender is closer to the goal of leading millions of users into the #NEAR ecosystem @NEARProtocol ✨
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Sender Walletは非カストディ型ウォレットで、仮想通貨の送受信だけではなく、スワップやステーキング、NFT(非代替性トークン)の保管も可能だ。現在、累計ダウンロード数(ブラウザ及びモバイル用)は50万超で、ハードウェアウォレットのLedger及びKeystoneにも接続可能。また、NEARエコシステムの30以上のプロジェクトと統合を完了したという。
Sender Lab創設者のKenny氏は、「来年、新たな市場のホットスポットが到来する頃には、Senderのユーザー数は1000万人を超えると予想している。」と語り、今後の展開に自信を見せた。
関連:「Near Protocol」基盤のウォレット、バイナンスなどから資金調達
NEARのDeFIアプリのアクセスを機関投資家に
NEAR財団はまた、仮想通貨のカストディ及び決済技術を提供するFireblocksがNEARへの統合を完了したと発表した。この統合により、BNYメロンやクレディ・スイスをはじめとする1,500社以上の機関投資家が、Fireblocks社のプラットフォームから直接、NEARアプリケーションへアクセスが可能になる。
Fireblocks社は現在、1,500以上の銀行、ヘッジファンド、金融機関を顧客に抱え、これまでに285兆円(2兆ドル)以上の仮想通貨の送金を実現してきたという。
機関投資家は、分散型金融(DeFi)エコシステムの革新的な製品に、ますます興味を持つようになっていると、Proximity社のKendall Coleディレクターはコメントし、NEARが提供するDeFi製品の多さに言及した。
学んで稼ぐ
さらに、米大手仮想通貨取引所コインベースとの提供により、Web3について学びながら稼ぐ「Learn2Earn」プログラムを提供すると発表した。NEARエコシステムとそのネイティブトークンの有用性についての教育プログラムで、NEARのステーキング報酬で資金を提供する。
「最高のWeb3のエントリーポイント」としてNEARの特徴をユーザーに知ってもらうプログラムとして、「Coinbasse Earn」の名称で提供されるという。
コインベースは1日、NEARの新規取扱を発表している。