デジタル資産の様々な法的枠組みを提案
ロシアの中央銀行は7日、暗号資産(仮想通貨)などデジタル資産規制についての協議書を発行。デジタル化証券やユーティリティートークンの課税や、NFT(非代替性トークン)発行に関する法的枠組みなど様々な事項を提案している。
ロシア中銀は、制御不能な金融リスクやサイバーセキュリティリスクを生じさせないことを前提として、「デジタル技術のさらなる発展」を強く支持すると述べた。また、デジタル資産を従来の金融商品のデジタル表現として認定することをせず、特別な法的地位のある別の規制対象として分離するとしている。
デジタル資産が、従来の証券と類似した性質を持つ場合は、同様に規制される可能性があるとした。同時に、その資産の基盤となる技術が、消費者リスクの制御を可能にするようなものである場合、それを考慮した新しい規制アプローチを構築することもできると指摘。
ロシア中銀は、まず投資家保護、デジタル資産の流通を認めるための規則の強化、デジタル資産発行者の認定、発行者が投資家に情報開示することなどに関する規制を確立することを優先すべきだと論じた。
スマートコントラクトがロシア国内で展開される前に監査を受けるようにすることも提案している。トークン化されたオフチェーン資産については、法的な所有権を保証するために法整備が必要だとも述べた。
NFTについては、一例として、地金貴金属や宝石の所有権を表わすトークンの発行が考えられると述べる。現行の規則では、そうしたトークンを発行できるのは法人または個人事業主のみであり、個人事業主でない個人がNFTを発行する可能性は排除されていると説明した。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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仮想通貨の国際決済利用
また、ロシアが国内市場を、外国の、特に「友好国」のデジタル資産発行者に対して、どのように開放するかも検討している。
これに関連して、ロシアの財務省と中央銀行は9月、仮想通貨を国際決済に利用できるようにする法案に概ね合意したところだ。
ロシアでは現在、仮想通貨の取引は認められているものの、決済利用は禁じられている。ただ、ウクライナ侵攻以降、ロシアに対する国際的な経済制裁が実施されており、これに対応する手段としても仮想通貨決済が注目されているところだ。
ステーブルコインを国際決済に利用するためのプラットフォーム構築に向けて、複数の友好国と共同作業を行っている可能性も浮上している。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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仮想通貨を規制する方向で意見統一か
ロシアではこれまで、政府内で仮想通貨をめぐる方針に対立が見られていた。規制しながら仮想通貨を認可したい財務省と、仮想通貨を禁止したい中央銀行で意見が対立し、法整備が進まない状況が存在していた。
しかし、特にウクライナ侵攻以降は、仮想通貨を規制する方向で議論が進んでいる模様だ。仮想通貨禁止を唱えてきたロシア中銀が、今回仮想通貨を含むデジタル資産規制についての協議書を発行したことにも、そうした変化が示されている。