マクロ経済と金融市場
9日の米NY株式市場では、ダウは前日比646ドル(2.0%)安の大幅反落で取引を終えた。
2024年の大統領選の前哨戦となる米中間選挙の開票が進む中、株高期待のある共和党の上・下院勝利シナリオ見込みが後退したほか、CPI(米消費者物価指数)発表を控え、利益確定売りが優勢となった。
また、暗号資産市場の大混乱も関連企業を中心に株式市場に波及しているとの観測もある。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比9.7%安の16,440ドル。
業界最大手取引所バイナンスによるFTXの買収断念が伝わり、一段安となった。
As a result of corporate due diligence, as well as the latest news reports regarding mishandled customer funds and alleged US agency investigations, we have decided that we will not pursue the potential acquisition of https://t.co/FQ3MIG381f.
— Binance (@binance) November 9, 2022
一時15,512ドルまで下げたが、その後下げ過ぎの反動によるリバウンドで若干持ち直した。先物市場では昨日に引き続く大規模ロスカット(強制清算)が発生している。
BTC価格は5日時点で21,500ドルだったが、今回のアラメダショックを受け前週比20%以上暴落。アルトコインも全面安となり、イーサリアム(ETH)は前日比10.3%安となった。
バイナンスは窮地に立たされた競合のFTX救済のため、買収の基本合意書に署名していたが、デューデリジェンス(経営・財務調査)の結果、「支援可能な範疇を超えていた」としてこれを撤回。
想定を大幅に上回る債務超過に陥っている可能性を示唆した。
暗号資産取引所として業界第2位の規模にあったFTXの買収が実現した場合、米国などで独占禁止法に抵触するとの指摘もあり、顧客資産の管理方法米規制機関の動向も加味した苦渋の決断であったと述べている。
今回の騒動の発端となったのは、FTXの姉妹企業アラメダ・リサーチの貸借対照表(B/S)が漏洩し、FTX発行トークンに依存する債務超過リスクが急浮上したことがある。FTTなどの保有トークンを担保に多額の資金借入を行なっていたとの指摘もある。
さらに7日、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOが、保有分のFTTを売却する方針を表明したことでパニック売りにつながった。
As part of Binance’s exit from FTX equity last year, Binance received roughly $2.1 billion USD equivalent in cash (BUSD and FTT). Due to recent revelations that have came to light, we have decided to liquidate any remaining FTT on our books. 1/4
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) November 6, 2022
ブルームバーグの報じたところによれば、バイナンスは7日時点で5億2,900万ドル相当の2300万FTTを保有していた。
今年6月には、テラ(LUNA)の価格崩壊の影響でレンディング大手セルシウスやベンチャーキャピタル大手「Three Arrows Capital(3AC)」などが相次いで破綻していたことも記憶に新しく、投資家の狼狽売りを招いた。
9日未明にかけて(FTT)が一時前日比86%安の2.91ドルと暴落。FTXからは顧客の預かり資産の引き出しが殺到し、重大な流動性危機に直面した。
これを受け、バイナンスは保険基金セキュア・アセット・ファンド(SAFU:Secure Asset Fund for Users)を再び10億ドル(1460億円)規模まで増やしたことを発表。顧客の不安解消に努めた。
To adjust to recent price fluctuations, #Binance has topped up the #SAFU insurance fund to $1 billion USD equivalent again.
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) November 9, 2022
BUSD AND BNB address about 700m: https://t.co/OMoB6HeR6r
BTC address 300m: https://t.co/6kOJ1MZhMM
Transparency. 1/2
2018年7月に顧客の利益を守るため、取引手数料の10%を積み立てる形で設立された。
関連市場への影響
企業データサイトCrunchbaseのデータによれば、これまでに計185件の投資を行っており、32件のリードインベスターを務めてきた。主な投資先としては、流動性ステーキングのLido Finance(LDO)、ソラナベースのDEX(分散型取引所Serum(SRM)、L1ブロックチェーンのソラナ(SOL)などがある。
ブルームバーグが報じたところによると、FTXのサム・バンクマン・フリードCEOは9日までに、このまま資本調達ができなかった場合は破綻(破産法の適用申請)を免れない見通しであることを投資家に対し報告。最大80億ドル(1.17兆円)規模の資金不足に陥っているとした。
そうなれば保有資産の清算やFTTを担保とした融資の債務不履行などが発生、関連企業に広範な影響を及ぼすおそれが高い。アラメダリサーチはソラナ(SOL)の初期投資家でもあり、エコシステムへの影響が懸念される。
なお、SOL系プロジェクトのDeFi(分散型金融)市場の預入総額を示すTotal Value Locked(TVL)は、わずか1日で33%減少。大幅減となったのは、DeFiプロトコルでレンディングサービスを提供するSolend、分散型取引所のRaydium、Serum、Orcaなど多岐にわたる。
ソラナチェーン基盤のNFT市場でも投げ売りが目立った。
時価総額TOP10常連だったソラナ(SOL)は前日比36.7%安、前週比55.3%安と急落し、時価総額15位まで後退。FTX Token (FTT)は、前週比91%安となっている。
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