マクロ経済と金融市場
14日の米NY株式市場では、ダウは前日比211ドル(0.63%)安で取引を終えた。
利上げ減速期待が相場を支えるも、依然としてインフレ高進への警戒は燻る。
関連:15日朝の金融市場短観|NYダウ底堅い、仮想通貨TWTは前週比+150%
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比4.0%高の16,799ドル。
アルト相場でも急落していた銘柄を中心に反発している。
短期的に売られ過ぎ水準にあったことに加え、業界最大手取引所のバイナンスが救済策の一環として「リカバリー(事業再生)ファンド」設立を発表したことなどが好感された。
To reduce further cascading negative effects of FTX, Binance is forming an industry recovery fund, to help projects who are otherwise strong, but in a liquidity crisis. More details to come soon. In the meantime, please contact Binance Labs if you think you qualify. 1/2
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) November 14, 2022
アラメダ・リサーチおよびFTXグループ企業保有トークンの強制清算や投資先企業の影響が懸念される一方、業界復興に向けた動きも出始めた格好だ。ベンチャーキャピタル部門「バイナンスラボ」を通じ、流動性危機に陥った有望プロジェクトに対して一定の条件付きで資本性支援や融資などを行うものとみられる。
FTX関連企業の被害の全貌が明らかになるまでには数週間〜数ヶ月間かかる見込みで、今後さまざまな問題が表面化する可能性は否めない。
今年5月に発生したUST(TerraUSD)およびテラ(LUNA)崩壊の影響で暗号資産(仮想通貨)市場が暴落。今年7月には大手ベンチャーキャピタルThree Arrows Capital(3AC)が破綻した。
負の連鎖で3ACに貸付を行っていたBlockFiなども財務難に陥り、FTX USから救済措置を受ける形となった。
この際、FTX USはリボルビング・クレジット・ファシリティ(信用供与契約)と特定条件下で発動する買収オプション締結の方針を示していた。
Yesterday we signed definitive agreements, subject to shareholder approval, with FTX US for:
— Zac Prince (@BlockFiZac) July 1, 2022
1. A $400M revolving credit facility which is subordinate to all client funds, and
2. An option to acquire BlockFi at a variable price of up to $240M based on performance triggers.
一方、FTX関連の投資会社であるアラメダリサーチも5〜6月時点ですでに深刻な財務状況の悪化を経験していたことが想定される。この点についてGlassnodeは、FTXで保有されているETHの供給量が、今年6月と先週の2回に渡って大幅減少していたと指摘した。
Crypto Fund ResearchのJosh Gnaizda CEOは、破綻したFTXに対するヘッジファンドのエクスポージャーは、運用資産平均7%〜12%に上る。
米仮想通貨レンディング企業BlockFiは、FTXに対して重大なエクスポージャーを有していることを認めた。同社はFTX騒動を受け11日までに顧客の出金を停止。FTX.com、FTX US、およびアラメダの状況を鑑みて、通常営業が困難としている。
— BlockFi (@BlockFi) November 11, 2022
オンチェーンデータ分析企業Glassnodeは週次レポートで、FTXおよびFTTトークンの崩壊ともに急落したBTCやETHの値動きをプロットした。
ここ数日では、DeFi(分散型金融)やコールドウォレット運用などセルフカストディに対する関心が急増している。
デジタルウォレットのMetaMaskやTrust Walletに改めて注目が向いたほか、ネット環境から物理的に切り離した状態で暗号資産を保管可能な「ハードウェアウォレット」のGoogle検索数は、90日ぶりの高水準に達した。
関連:「MetaMask(メタマスク)」とは|月間2000万人超が利用の仮想通貨ウォレット
相場の不確実性上昇と恐怖の蔓延により、主要仮想通貨取引所からは7日間で72,900BTCが減少した。
このような状況において、独立した会計事務所によって監査された保有資産の残高確認「Proof of Reserves(プルーフ・オブ・リザーブ)」の需要が高まっている。日本法人では、クラーケンジャパンが透明性へのコミットメントとして行なってきたものだ。
関連:分散型取引所がFTXの後釜に、GMXやDYDXの関連トークンが高騰
流入超過に転じる
一方、資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、4,200 万ドルの流入超過に転じた。
過去14週間での最大規模となり、市場からの撤退を決断した投資家も数多くいる中、買い向かった投資家の存在を示している。地域別データでは、米国、ブラジル、カナダが流入上位を占めた。
Glassnodeのデータでも、ビットコイン保有量1BTC未満から1000BTCを超える”クジラ(大口投資家)”に至るまで、FTX崩壊の影響で相場が急落する中、純残高の増加を記録している。
この水準の残高流入は史上2番目に大きく、2017年の強気相場のピークを上回っているという。