ユーザーの未回収金多数
異なるブロックチェーン間で暗号資産(仮想通貨)を移動する際に使用する「ブリッジ」について、多くのユーザーが資金を回収し忘れていることが明らかになった。
ウォレットプロバイダーZenGoのレポートによると、ポリゴン(MATIC)とイーサリアム(ETH)をつなぐ「Polygon bridge」には11月25日時点に合計約37億円(2,700万ドル)の未請求資金が残されていることが示されている。
原因はあくまでもユーザー側の見落としである。ユーザーが最初に行うケースが多い、イーサリアムからポリゴンへの資金移動は、1つのトランザクションで完了する。
一方、ポリゴンからイーサリアムチェーンへ資金を移す際、2つのトランザクションを発行する必要がある。ブリッジを介してポリゴン上のトークンの「焼却」と、イーサリアム側で原資産の「請求(出金)」を行うためだ。ポイントは、多くのユーザーが後者(請求)を忘れている、もしくは後回しにしているということだ。
以下の表は、Polygon bridgeにロックされている資産価値(TVL)について、イーサリアム側とポリゴン側の差を示したもの。主要なステーブルコインとETHで1%程の差が生じている。Dune Analyticsの統計データによると、テザー(USDT)の未請求取引だけで約3,000件に上る。
ZenGoは28日の本レポート公開前に、ユーザーの未請求取引についてポリゴン開発チームと共有。
ポリゴンチームは回収作業を実演するため、ブリッジ上で約2.7億円(200万ドル)もの資金を5月から未請求のままにしていたユーザーアドレス(0x007..)を選び、ユーザーに代わって請求トランザクションを発行。
拘留していたポリゴン流通用のビットコイン(WBTC)とイーサリアム(WETH)が、0x007ユーザーに送られた(仕組み上、請求取引自体は第三者がガス代を支払って発行できる)。
ZenGoのTal Be’ery最高技術責任者(CTO)は、こうした事態についてポリゴンに過失が無いことを強調しつつ、ブロックチェーン産業全体でユーザーエクスペリエンスをさらに向上する重要性を訴えた。
一方、ポリゴンのMudit Gupta最高情報セキュリティ責任者は、Coinpost提携メディアThe Blockに対し、必ずしも約37億円の資金全てが忘れられているわけではないことを強調。一部は、イーサリアムチェーンに出金している最中かもしれないことを示唆している。
ポリゴンとは
ポリゴン(MATIC)はイーサリアムのスケーリングソリューションとして高い存在感を示しており、DeFillamaによるとTVLは約1,400億円(10億ドル)。主要なイーサリアムスケーリングソリューション「Arbitrum」や「Optimism」を上回っている。
22年2月に4.5億ドル(640億円)相当の資金調達を実施したポリゴン(MATIC)は、豊富な資金力を活かして技術リソースを積極的に買収してエコシステムに取り入れてきた。
昨年末にはゼロ知識証明(ZK)の技術を開発する「Plonky2(旧Mir)」を買収し、イーサリアムの仮想マシン(EVM)と等価性(EVM-equivalent)を持つL2ソリューション「Polygon Zero」プロジェクトを進めている。
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10月には、Polygon Zeroとは別のプロジェクトであるZKロールアップ型のL2ソリューション「Polygon zkEVM」のパブリックテストネットをローンチ。最終的なメインネットのローンチは、2023年初頭を目指している。
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