譲渡不可能なNFTを活用
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は、譲渡不可能なNFT(非代替性トークン)である「Soulbound Token(SBT)」を、本人確認などの証明に活用する実証実験を開始することがわかった。日経新聞が7日に報じた。
ブロックチェーンやNFTの事業を展開するHashPort(ハッシュポート)と協業し、22年度中に実験を開始。23年度には、顧客獲得を想定した他社との実験に移る。商用化を念頭にしたSBTの発行は日本の銀行では初事例となる。
HashPortの吉田世博CEOも以下のようにコメントした。
三井住友銀行様と、譲渡不可のNFTである「SBT(SoulBound Token)」を活用したWeb3インフラの実証実験を2022年度(2023年3月期)中に実施します。
— 吉田 世博 Seihaku Yoshida | HashPort | HashPalette (@seihakuyoshida) December 7, 2022
2023年度には商用利用を想定した運用検証を進めて参ります。
詳細は明日のプレスリリースにてご報告をさせていただきます。https://t.co/IfvK1rDpoz
今回の実験では、ファンビジネスでSBTを活用を検討していく。活用事例としては、音楽ファンがライブへ参加した回数をSBTに記録し、回数に応じて特典を与えることなどを想定している。
SMBCグループと連結子会社の三井住友銀行、HashPortは今年7月、NFTビジネスの協議を開始するための基本合意書を締結したばかり。「NFTを活用したトークンビジネスにおける協業」を目的としていたものだ。
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SMBCグループはこれまでもWeb3事業に高い関心を示している。先月には、三菱UFJ信託銀行が、同社主催の「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」に、「パーミッションレス型ステーブルコイン・ワーキンググループ」を設置したことを発表。
このワーキンググループは、グローバルな競争力を持つ国産ステーブルコインの導入および普及を目的としたもので、三井住友銀行も参加している。
Web3とは
「次世代のインターネット」とも呼ばれ、ブロックチェーンを基盤とする非中央集権型のネットワークを指す。具体的にはNFTや暗号資産(仮想通貨)などを含む。
情報の流れが一方通行だった初期のインターネットは「Web1」、現状の中央集権体制のインターネットは「Web2」と呼ぶ。
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SBTとは
ソウルバウンドトークン(Soundbound Token)は、イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が仮想通貨の次のテーマとして2022年初頭にコンセプトを発表し、注目度が高まりつつある技術だの1つだ。
SBTは従来のNFTとは違い、譲渡不可能なもので、一度受信したらデジタルウォレットの外に移すことができない特性を持つ。想定されるユースケースには資格、職歴、プロジェクトへの貢献、ユーザー認証情報、ローン履歴など、個人の信用に関連するデータの記録などが挙げられている。
ブテリン氏は今週5日にも自身が期待の寄せるイーサリアム活用方法の1つとしてSBTやPOAPなど「デジタル・アイデンティティ」を注目分野だと述べていた。これらの特徴から、Web3時代におけるアイデンティティ(ID)の構成要素になることが期待されている。
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大手仮想通貨取引所バイナンスは、すでにSBT技術の活用を開始。今年9月には、独自のSBT「Binance Account Bound(BAB)」の保有者に向けた特典を付与している。