経産省の2023年度当初予算案
23日に閣議決定した2023年度当初予算案で、経済産業省は1兆6896億円を計上した。22年度当初予算に対して4662億円増となる。
主なテック関連としては、GX(グリーントランスフォーメーション)」戦略の支援関連に4896億円を計上。デジタル変革(DX)推進含む「デジタル社会の実現」に531億円(前年比4.5%増)、量子・AI・バイオ技術など社会実装を目指す「科学技術・イノベーションへの投資」に1139億円(5.4%)を計上した。
また、挑戦を後押しする基盤整備として、人材支援(77億円)、スタートアップ育成(42億円)を計上。若手起業家の海外留学支援や、人材発掘プログラムの実施、グローバル展開を目指す国内スタートアップへ投資を行うベンチャーキャピタルへの出資などを行う。
経産省の2023年度当初予算案は、アート・コンテンツ・スポーツ・教育等における文化づくりへの投資促進・基盤整備等を行う「文化経済産業政策の推進」分野に36億円を見込む。
うち、2025年大阪・関西万博の日本政府館(日本館)の会場建設、及び参加国・地域の招聘イベント等の開催費用に24億円を充てる。経産省が大阪万博での飛行を目指す「空飛ぶクルマ」やドローン、自動配送ロボットの活用を含む物流・人流分野のデジタル化・標準化に計113億円を盛り込む。
Web3.0政策推進室
経済産業省は22年7月、省内横断組織としてWeb3.0(分散型ウェブ)に関連する事業環境課題を検討する「大臣官房Web3.0政策推進室」を設置した。
資金調達や税制、事業体などを担う事業環境担当課室や、コンテンツ・スポーツ・ファッション・アートなどを担う業種担当課室が一体となり、デジタル庁等の関係省庁と協働している。
大臣官房Web3.0政策推進室室長 浅野 大介氏が国内メディア環境ビジネスに語った内容によると、同組織の短期的な焦点はweb3ビジネスの「税制・会計基準など事業環境の整備」にある。
国内では暗号資産(仮想通貨)に係る会計基準が曖昧で、暗号資産を保有する企業は監査法人によるチェックが受けられないため、上場企業の参入が困難な状況だ。
23日に閣議決定された23年度税制改正大綱のうち、経済産業省関係では、企業が自社で発行した暗号資産を期末時価評価課税の対象から除外するルールが盛り込まれた。
現行法では企業が仮想通貨を保有している場合、期末時に含み益に課税される。このルールが企業の負担になり、ブロックチェーンのイノベーションを阻害していると長期に渡って指摘されてきた。今回の税制改正では、財務省や金融庁も自社発行分の対象除外を要望していた経緯がある。
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浅野氏はまたWeb3に関する制度改革のスピード感について「3~5年」を目途としており、中・長期的にブロックチェーン技術などweb3の在り方について検討を行い、投資を行っていく構えを示していた。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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