米Wyre社が事業縮小へ
暗号資産(仮想通貨)の送金ソリューションなどを提供する米Wyre社について、事業縮小の方針を固めたことが4日に明らかになった。
Wyreは、法定通貨を仮想通貨に変換するソリューションや、決済インフラを提供する企業。主要なイーサリアム系仮想通貨ウォレット「MetaMask」のアプリ内購入機能に統合されたことで知られる。
2人の元社員の情報提供に基づいて海外メディアAxioが4日に報じた内容によると、Wyreは全社員を解雇する計画について12月30日に社内メールで告知したという。また、1月中にもサービスを終了する予定であると、元社員は証言している。
一方、同社CEOのIoannis Giannaros氏はAxios宛てのEメールで、「次のステップを計画するために規模を縮小する予定だが、まだ事業は継続している」とだけ述べている。
企業データサイトCrunchbaseによると、2013年に設立されたWyreは9回の資金調達ラウンドで2,910万ドル以上を調達。Samsung Next Ventures、Pantera Capital、Kraken、ステラ開発財団など、仮想通貨事業者を中心に支援を受けた。
Wyreは22年4月以降、ワンクリック決済サービスを提供する新興企業Boltによる約2,000億円(15億ドル)での買収交渉が進行していたが、22年9月に破談となった。
その後Wyreは新たな資金調達を模索したが、仮想通貨市場の弱気相場とFTX破綻などの影響で実現しなかったと、元社員は述べている。
21年8月にWyreは、決済大手VisaのFintech Fast Track Program(フィンテック・ファストトラックプログラム)に加入し、Visaデビットカードを介した仮想通貨決済や、仮想通貨を法定通貨建ての銀行口座に即時に振り替えるサービスを開始していた。
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仮想通貨の弱気相場
仮想通貨市場の弱気相場が長期化する「冬の時代」に、関連企業による破産申請や事業縮小、買収を通した業界再編が進行している。
22年夏に仮想通貨レンディング企業セルシウスやヘッジファンドのThreeArrowsCapitalなどの業界大手が破産申請を提出。債務不履行により、各国の仮想通貨取引所やレンディングプラットフォームの出金停止や、連鎖的な破綻も相次いだ。
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22年下半期に、ビットコイン価格低迷の長期化の影響を受けてマイニング企業の資金繰りが悪化。一部では、マイニング企業の負債額は22年9月末時点で約5,400億円(40億ドル)以上とされ、米ナスダック上場企業でビットコイン採掘大手のCore Scientific、最大のマイニング事業者の1つであるCompute Northなどが破産申請を行ってきた。
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直近数か月間には、冬の時代を生き抜くために自主的に事業のスリム化を図る事業者が増加している。NEARプロトコル(NEAR)のエコシステムにて、相互運用性ソリューションを構築するOctopus Network(OCT)は年末に、運営体制の大規模なリストラ計画を発表した。
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11月には、LINE株式会社が運営する米国の仮想通貨プラットフォーム「Bitfront」を翌年3月までに全サービスを停止する計画を発表。理由について同社は、不正企業で告発された特定の取引所の問題とは無関係だと述べた。
11月に破産を申請した仮想通貨取引所FTX(.com)の負債総額は、100億ドル(約1.3兆円)~500億ドル(約6.9兆円)と報告されている。
年末には、国内で仮想通貨取引所クラーケン・ジャパンを運営するPayward Asia株式会社が23年1月31日をもって日本事業を撤退する方針を明らかにした。
同社は現在の日本市場を取り巻く情勢と、世界的な仮想通貨市場の低迷を撤退理由に挙げ、グローバル戦略における成長分野に資源を集中させる方針を示していた。
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