はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

トークンアンロックと仮想通貨価格への影響は? TokenUnlocks報告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨のトークノミクス

暗号資産(仮想通貨)のべスティング情報を提供するTokenUnlocksは18日、主要なプロジェクトのトークンアンロックに関する分析レポートを発表した。

トークンアンロックとは、初期投資家や主要な開発貢献者に割り当てたトークンが、一定期間ロックアップされた後に放出されるイベント。一定期間経過した後に権利を確定させる契約条件は「べスティング」と呼ばれ、流動性の低い時期に大量の資産売却を避けるために設定されている。

四半期など数か月毎に一定量をリリースする「クリフ(崖)型」と、より頻繁に少量ずつ配布する「ライナー(直線)型」があり、クリフ型は特にトークン供給量が急に増えるためトークン価格に下落圧力を加えるものとして投資家に警戒される。

関連:エイプコイン(APE)、160億円相当のロックアップトークンを放出へ

価格への影響

TokenUnlocksは22年7月4日の設立以来、143のプロトコルについてトークノミクス(トークン経済)を分析。分析対象となったのは、DeFi(分散型金融)やDAO(分散型自律組織)、NFT(非代替性トークン)など7カテゴリーに属する主要143プロジェクト。発行済みトークンの合計時価総額は約3兆円で、仮想通貨市場規模(112兆円)の2.6%をカバーする(23年初頭時点)。

以下のグラフは、その中でも22年中に発生したアンロックイベントに関連した、トークン価格の変動率の統計だ。この変動率は市場内の変化を公平に反映するため、ビットコイン価格に対して算出されている。

出典:TokenUnlocks(以下全部同じ)

TokenUnlocksは、アンロックイベント前に「トークン価格が最大15%下がる傾向がある」こと、またアンロック後は「全体的に横ばいで推移する傾向がある」と指摘。30日前、15日前、7日前に空売りをした場合、「5%の損失が発生する確率は27%、10%の損失が発生する確率は20%、7%の損失が発生する確率は6%」だと結論づけている。

主なアンロック事例

TokenUnlocksはまた、価格変動が確認された4プロジェクトのトークンアンロックについて紹介している。

例えば、NFTゲーム「Axie Infinity(AXS)」は22年に4度のトークンアンロックを実施。特に10月26日には発行量の8%に相当する2,100万AXSを解放しており、市場のAXS流通量は1日で約15%増加した。

AXSの価格はイーサリアム建てで10月初旬の0.0086 ETHから10月26日の0.006 ETHまで約30%低下。なお、11月5日の急騰は小規模な取引所で起きたご発注が原因とされている。

次に、メタバース系分散型ブロックチェーンゲーム「ザ・サンドボックス(SAND)」の場合は、初期投資家、アドバイザー、チームに発行量の約40%を充てており、2024年まで半年毎にトークンをリリースしている。

2022年2月と8月のトークンアンロック前後でSANDはどちらもイーサリアム(ETH)のパフォーマンスを10%近く下回る傾向があった。また、オンチェーンデータから「アドバイザーとチームに取得されたトークンがすぐに取引所に送られる傾向」が確認されている。アンロックされたトークンが全て売却されると、ETH建てでSAND価格が回復する兆候が確認された。

また、イーサリアム(ETH)レイヤー2スケーリングソリューション「Immutable X(IMX)」の場合、プロジェクト開発とプライベートセール用に配分されたトークン(発行量の39%)が、22年11月から2025年10月まで毎月放出されている。

初回となった22年11月5日には発行量全体の約12%がアンロックされたことにより、IMX流通量は50%近く増加した。仮想通貨取引所FTXの破綻騒動の影響もあり、IMXの価格はトークンリリース後の2週間で対米ドルで最大50%、ETH建てで20%下落している。なお、ImmutableのRobbie Ferguson共同創業者はツイッターで、アンロックされたトークンの半分以上は少なくとも1年間再ロックすると約束していた。

関連:アクシー(AXS)、初期投資家向けのトークン配布が完了 売り圧懸念か

トークンアロケーション

さらにTokenUnlocksは、レイヤー1、レイヤー2、DEX(分散型取引所)、ゲームなど主要なトークン44を選出して、トークンアロケーション(配分)を分析。以下のデータは時価総額が高い順に並んでおり、色が濃いほど配分比率が高い。

この表からは、特にコア・チームと投資家へのトークン割り当てが高いほど、高い時価総額を実現している傾向が読み取れる。投資家グループにより多くのトークンを割り当てることで、プロジェクトが信頼性を獲得し、より多くの資本が投資されることになるとTokenUnlocksは分析している。

上記トークン配分の平均値について、時価総額を加味した加重平均値が算出されている。内訳は、コア開発/チーム(31.0%)、トレジャリー(24.8%)、初期投資家(10.7%)、コミュニティ(33.5%)となっている。

関連:米ゲームストップ、48億円のIMXトークンを売却

時価総額トップ300トークンの今後のアンロック

最後にToken Unlockは、市場サイトCoinGeckoにおける時価総額トップ300トークンについて、発行量全体の17.9%がロックアップされた状態であり、今後13.16兆円(102.1億ドル)相当のトークンがアンロックされることになると概算を示した。

2022年12月1日時点のデータに基づいて、流通済みトークンの時価総額合計は60.42兆円、未だ流通していないトークンを含む「完全希薄化後価値(FDV)」は73.58兆円となっている。*なお、統計データからはイーサリアム(ETH)やコスモス(ATOM)に代表される、発行上限のないトークンは除外されている。

2023年の展望としてTokenUnlocksは、「2021年に資金調達した多くのプロジェクトが、権利確定したトークンを現金化することで生き残りを図るだろう」と指摘。

参考データとして、推定されるロックアップトークンの価値が最も高い上位15プロジェクトを以下のように提示した。2023年だけではないが、今後それぞれのトークン排出計画に沿って、市場にリリースされることになると考えられる。

なお、TokenUnlocksは「トークンの最適な割り当て方法を判断する際には、プロジェクトのカテゴリー、業界の展望、プロダクトの実現可能性、トークンの将来的な成長性など、他の要素も加味して考慮する必要がある」と注記している。

関連:Lido(LDO)のトークンセール案、ロックアップ期間が無く批判続出

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
14:30
チェーンリンク現物ETF、初日に64億円の流入で好調 ソラナETFからは最大流出
仮想通貨チェーンリンク現物ETFの取引初日に64億円が流入し好調な滑り出しとなった。一方ソラナ現物ETFからは過去最大の資金流出があった。
14:00
国際通貨基金(IMF)、ステーブルコインの規制断片化に警鐘 
国際通貨基金が今週、ステーブルコイン市場の評価報告書を公開し、各国の規制枠組みの断片化が金融安定性を脅かし監視を弱体化させ、国境を越えた決済の発展を遅らせていると警告した。
13:30
CZとピーター・シフが激論交わす、ビットコインvs金「どちらが真の価値保存手段か」
バイナンス創設者CZ氏と金支持派エコノミストのシフ氏が4日、ドバイでビットコイン対トークン化金の討論を実施。金塊の真贋確認場面が話題となり、検証可能性や価値保存機能をめぐり対照的な見解を示した。
12:00
アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX2026」、チケット販売開始
アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX2026」が2026年7月13日・14日にザ・プリンスパークタワー東京で開催。本日よりVIP Pass、Business Pass、Booth Passのチケット販売を開始。開幕セール価格は2月28日まで。
11:52
ビットコイン、政府系ファンドは8万ドル台で買い増し 日銀政策と円キャリートレードにも注目
ブラックロックのフィンクCEOは、複数の政府系ファンドがビットコインの大幅下落局面で買い増していたことを明らかにした。一方、CryptoQuant CEOは2022年のような大暴落は起きにくいと分析。市場は12月の日銀政策決定に注目、円キャリートレードの動向がビットコイン含むリスク資産に影響を与える可能性を考察する。
11:20
「ストラテジー社は株価指数から除外されてもBTCを売却しないだろう」Bitwise
Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者は、ストラテジー社は株価指数から除外されてもビットコインは売却しないだろうとの見方を示した。その根拠を説明している。
10:15
XRPレジャーの流通速度が年間最高値を記録 オンチェーン活動が急増=CryptoQuant分析
XRPレジャーの流通速度流通速度が12月2日に年間最高値0.0324を記録。大口保有者による2100億円規模の買い増しや取引所準備金の減少など、オンチェーン活動の活発化が確認された。CryptoQuant分析。
10:05
年末にかけての下落リスクを軽減する価格帯は? ビットコイン最新市場分析=Glassnode
Glassnodeが仮想通貨ビットコイン市場の最新週間レポートを発表。需要低迷と含み損拡大の中、年末の下落リスクを抑える価格帯などを分析している。
08:55
JPモルガンがストラテジーのビットコイン売却回避能力を評価、「マイナーの動きより重要」
JPモルガンのアナリストが、ストラテジーのビットコイン売却回避能力がBTC価格の短期見通しにおいてマイナー活動より重要だと分析した。
08:20
21シェアーズ、米国初のスイ(SUI)連動2倍レバレッジETFを上場
21シェアーズが米国証券取引委員会の承認を得て、スイ(SUI)の価格に連動する初のレバレッジETFをナスダックに上場した。日次リターンの2倍を提供する商品で、スイエコシステムに関連する初のETFとなる。
08:10
「政府系ファンドは相場下落時にBTCを買い増し」ブラックロックのCEO
ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、複数の政府系ファンドが仮想通貨ビットコインを購入していると明かした。相場下落時に買い増ししている様子も伝えている。
07:25
ソラナとベース間ブリッジが稼働開始、チェーンリンクとコインベースが安全性確保
レイヤー2ベースチェーンがソラナとのブリッジをメインネットで正式稼働。チェーンリンクCCIPを採用し、両チェーン間でのトークン移動と取引が可能になった。
07:02
メタがメタバース予算を最大30%削減検討、VR・ホライゾン・ワールズが対象=報道
ザッカーバーグのメタ社がメタバース関連事業の予算を来年最大30%削減する検討を進めている。投資家から歓迎され株価が上昇した。
06:25
ロシアが仮想通貨マイニング収益の公式統計反映を検討、隠れた輸出として年間数千億円規模か
ロシア大統領府のオレシュキン副長官が仮想通貨マイニング収益を貿易収支に計上すべきだと提案した。マイニング収益は1日約10億ルーブルに達し、隠れた輸出として外国為替市場に影響を与えているという。
06:02
ソフトバンクなど出資のビットコイン企業「21キャピタル」、12月9日から「XXI」で取引開始
ビットコイン特化企業の21キャピタルとカンター・エクイティ・パートナーズの事業統合が株主承認を得た。ティッカーシンボル「XXI」として株式の取引を開始。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧