TOEICスコアをブロックチェーンに記録
日本でTOEICテストを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は31日、TOEIC® Program公開テストスコアに、ブロックチェーン技術を活用したデジタル公式認定証を導入することを発表した。
IIBCによると、大規模な検定試験におけるデジタル公式認定証の発行は日本初となる。デジタル公式認定証(Official Score Certificate)の配布は、2023年4月実施の公開テストの結果から開始予定。
ブロックチェーン技術の導入により、TOEICテストのスコアを改ざんできない形でデジタル化でき、企業応募時のスキル証明などのスコア提出についてオンラインのみで完結するなど、TOEICの利便性向上につながることが期待される。
デジタル公式認定証の導入に先立ち、2023年11月の公開テストより紙の公式認定証は廃止され、デジタル公式認定証のみ発行する予定。これにより紙の公式認定証に必要な紙資源や、印刷・郵送に伴う排出ガスが削減され、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する利点もある。
本取り組みは株式会社サイバーリンクスが提供する、ブロックチェーンベースのデジタル証明書発行サービス「CloudCerts®」を採用。
CloudCerts®は、ブロックチェーン証明書の世界標準規格「Blockcerts」に準拠。データが改ざんされていないこと(完全性)と、発行元との結びつき(真正性)を担保する。
CloudCerts®の採用により、暗号化された公式認定証がブロックチェーン上に記録され、改ざんできないデジタル公式認定証の付与が実現。受験者や受験者からデジタル公式認定証を受け取る企業や学校は、オンラインで正確なTOEICスコアの確認が可能となる。
トヨタのブロックチェーン導入例
TOEICスコアがブロックチェーン技術を活用したデジタル公式認定証を取り入れる動きは、新しいテクノロジーを活用し、企業を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)化の最新事例となる。
DXは2020年のコロナショックをきっかけに流行語となり、AI、IoT、ビッグデータやXR(VR、AR)に加えてブロックチェーンの活用が一気に注目を集めるようになった。
22年10月には、岸田文雄内閣総理大臣が所信表明で、「DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資」の目標の一つとして「Web3(分散型ウェブ)サービスの利用拡大」を指摘。メタバース、NFTを活用したWeb3サービスの利用拡大に焦点を当てた発言だ。
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ブロックチェーンは分散型システムと呼ばれ、セキュリティに対する信頼性をネットワーク参加者が自律して取引履歴のコピーを共有し続ける仕組みで担保する。こうした特性は、企業のDX化において重要な役割を担っている。
2022年4月には、トヨタ自動車株式会社が知財管理にブロックチェーン技術を活用する、デジタルトランスフォーメーション (DX) プラットフォーム ”Proof Chain of Evidence (PCE)”の試験運用を開始した。
PCEは最初のユースケースとして、発明に対する「先使用権」の証明のための電子データの保全から開始。以下の情報をグローバル (日本、中国、欧州、米国) における裁判の証拠として提出できる形で保全することで、知財係争訴訟への対応力を強化する。
- 電子データがいつ存在していたのか (WHEN)
- 電子データがどの順序で存在していたのか (SEQUENCE)
- 電子データが存在していた時点から、これまで改ざんされていないのか (WHAT)
- 上記について、10 年を越えて証明する (LONG-TERM)
先使用権とは、他者がした特許出願の時点で、その特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた者に認められる権利。先使用権によって事業を守るという観点から、事業化の可能性が高い技術については研究開発段階から十分に資料を収集しておくことが重要となる。
PCEは、スタートアップ企業株式会社Scalarが提供する分散型台帳ソフトウェア「Scalar DL」の改ざん検知機能を利用。Microsoft Azure上に構築された。
将来的には、競争が求められる技術領域において、外部企業と共同研究開発を行う際に問題となるノウハウを含む知財のコンタミネーション (複数の企業の知財が混ざってしまい、どちらの知財なのかがわからなくなる状態) を回避するために利用する予定だ。
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