3ACのNFT売却へ
破綻した暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)が保有するNFT(非代替性トークン)の一部が売却されることが22日に明らかになった。売却予定のNFTの推定資産価値は約20億円に及ぶ。
清算人を務めるTeneo社は、清算プロセスの一環で、NFTの価値を実現するために「押収した特定のNFTを売却する予定」と述べている。3ACの所有する特定のNFTの売却は、3月23日以降に開始される。
公開された書類によると、売却対象のNFTは数百個あり、ブルーチップ(優良)NFTの代表格CryptoPunksが11点(約15億円相当)、Art Blocksが約100点(約3億円相当)が含まれる。
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Teneoはまた、売却予定のNFTに、「Starry Night Capital」のNFTポートフォリオが含まれないことを明らかにした。Starry Night Capitalは、3ACが著名なNFTコレクターVincent Van Doughと提携して2021年8月に立ち上げたNFTファンドだ。
Starry Night Capitalのコレクションは22年10月にTeneoが管理するウォレットアドレスに移されていたが、「現在は英領バージン諸島の高等裁判所において東カリブ海最高裁判所への破産申請の対象とされる」とTeneoは加えた。
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3ACの資産価値
3ACは、テラ(LUNA/UST)エコシステムの崩壊などを受けて債務不履行に陥り、22年7月に米国で破産を申請した。
The Blockが22年12月に入手した文書によると、Teneoは22年7月時点で3ACの資産を約10億ドルと算出しており、NFTの資産価値としては約2,200万ドル相当と見積もった。30億ドルを超える3ACの負債をはるかに下回る規模だ。
さらに、仮想通貨市場のボラティリティ(価格変動幅)が激しいこと、3ACのポートフォリオのうち流動性の低い資産への投資割合が大きいことから、「清算の過程でどのレベルの回収が行われるかは不明である」とTeneoは述べていた。
Teneoは12月、破産裁判の公聴会で清算プロセスの進捗状況を報告。シンガポールの3ACの銀行口座から合計約48億円(3,560万ドル)の現金を掌握したと述べていた。その他に、投資の強制償還分の約3.7億円(約275万ドル)、Starkwareのトークン、3ACの取引所アカウント、各種仮想通貨、証券、NFT(非代替性トークン)を管理している状態だ。