ビットコイン管理のAIエージェントも作成可能
ビットコイン(BTC)の高速決済を可能にするセカンドレイヤー技術ライトニングネットワーク(LN)の開発を行うLightning Labs(ライトニングラボ)は6日、AI(人工知能)開発用に設計された新しい一連のツールを発表した。
開発者が、人間とエージェント(独立して動くプログラム)の両方にとって、よりアクセスしやすいAIインフラを構築できるようにするものだ。
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ライトニングネットワークとは
ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。ライトニングネットワークを導入すれば、混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。取引の高速化や手数料削減が実現すれば、少額決済が行えるようになるため、それによって新しい商品やサービスが生み出されることも期待されている。
▶️仮想通貨用語集
まず、AIエージェントの操作をシンプルにするライブラリ「Langchain」を使用した「LangChainBitcoin」がある。
これには、新しくリリースされたOpenAIのGPT関数を呼び出して活用できる一連のツール「LLM エージェント BitcoinTools」が含まれている。
これを使うと、ライトニングを活用してビットコインを管理するAIエージェントを作成することができる。ビットコイン残高を管理し、ライトニングネットワークでビットコインを送受信し、ライトニングのノードともやり取りできるようなエージェントが可能となる。
さらに、L402プロトコル関連のリバースプロキシ(クライアントとサーバーの間に配置される中間のプロキシサーバー)「Aperture」の最新版もリリース。あらゆるAPIを、従量制のリソースに変換し、ライトニングネットワーク上に配置できるものだ。
AI開発と仮想通貨
Lightning Labsは、なぜライトニングネットワークとAIを結びつけるか、その背景についても説明した。
まず、AIエージェント(自律して動くプログラム)は、「事業体」ではないため、法定通貨の決済システムにアクセスすることが難しい。一方で、AIエージェントも、APIや有料データソースの使用に関して、料金を支払う必要がある。
その際に、AIエージェントの作成者にとっては、世界中で許可なしで利用可能で、ほぼ瞬時に決済されるビットコインやライトニングネットワークなどによる支払いが魅力になるという。
また、多くの人が最新のAIモデルに公平にアクセスできるようになるためには、最先端のハードウェアを持たない人でも可能な新しい方法が必要だと続けた。
Lightning Labsは、こうした問題に対処できるL402プロトコルを2020年に開発。これは、インターネットに接続されたデバイスや、ビットコインを送受信する機能を持つ任意の主体が使用できるもので、即時に大量の支払いを処理できる。
Lightning Labsは、このL402プロトコルを更新して、AI開発者などに取ってより使いやすいものとしているところだ。
2022年に100億円を調達
Lightning Labsは、2016年より、ビットコインのL2ソリューション「ライトニングネットワーク」を開発してきた。
2022年4月には、ライトニングネットワークを使うアプリで、ステーブルコインの使用を可能にするプロダクト「Taro」を発表している。
この際には、シリーズB資金調達により、Valor Equity Partnersなどから約100億円(7,000万ドル)を調達した。