はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

『各国規制面の進展はデジタル資産の信頼回復に貢献した』PwCが2023年を総括

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨の信頼回復に貢献

世界4大会計・コンサルティング会社のプライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)は、世界の暗号資産(仮想通貨)の規制状況に関するレポートを公開。2023年を通して、世界の仮想通貨規制において注目すべき進展が見られたと総括した。

PwC米国のWeb3/デジタル資産リーダーのマット・ブルメンフェフド氏は、「この1年間の規制と法的枠組みの整備は、デジタル資産に対する信頼回復に貢献した」と指摘し、2024年の展望について、次のように述べた。

世界中の業界関係者にとって、2024年は単に難局を乗り越えることではない。明確な規制指針が新たな安定の礎として機能する、繁栄するエコシステムの基盤を構築することだ。

レポートでは、大きな進展の一つとして欧州連合(EU)の暗号資産市場規制「MiCAR 」(The Markets in Crypto-Assets Regulation)を取り上げている。MiCARは、EU加盟各国の法域を超えた、包括的な規制と監督の枠組みで、2023年6月に正式承認された。

関連:EU、包括的な仮想通貨規制案MiCAを正式承認 段階的発効へ

またレポートは世界43カ国の規制状況を評価するとともに、各国の状況について個別に概説した。

規制整備が進んでいる国々

PwCは、2024年1月時点の仮想通貨規制の枠組み、ライセンス/登録導入、トラベル・ルール、ステーブルコインの4項目について、43カ国の状況を一覧表にまとめた。なお、各国の状況にはEUのMiCARの影響が反映されている。

4項目全てをクリアした国は、日本を含む次の24カ国となっている。

オーストリア、バハマ、ブルガリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スエーデン、スイス

ステーブルコインに関する規制整備のみが確立していない国/地域は、香港、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、モーリシャスだった。

仮想通貨の世界的ハブを目指す香港は、ステーブルコイン発行者向けのガイドラインを2024年半ばまでには整えたい方針を示している。

関連:香港のステーブルコイン発行ガイドライン、来年公開目指す

シンガポールでは中央銀行が今年8月に、ステーブルコインの最終的な規制のアプローチについて発表。シンガポールで発行されるシンガポールドル、あるいはG10通貨の価値と紐づけられた、単一通貨ステーブルコインに適用される。

関連:シンガポール中銀、ステーブルコインの規制枠組み発表

上記のように香港、シンガポール、モーリシャスでは、すでにステーブルコイン規制についての議論や審議など、規制整備に向けての活動が行われている状況である一方、UAEでは、規制枠組みの策定や検討が開始されていないようだ。

なお、EUでは、MiCARのステーブルコインに関する規制は、2024年7月に発効される予定となっている。

G10通貨とは

国際的な金融市場でのトレードや為替取引、国際取引の決済などに最も使用されている通貨のこと。米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英国ポンド(GBP)、日本円(JPY)、豪ドル(AUD)、ニュージーランドドル(NZD)、カナダドル(CAD)、スイスフラン(CHF)、ノルウェークローネ(NOK)、スウェーデンクローナ(SEK)が挙げられる。

▶️仮想通貨用語集

遅れをとる米英、カナダ

PwCによると、米国、英国、カナダでは、大枠となる規制の枠組みおよびステーブルコイン規制が未整備の状況である。

米国には、包括的でまとまったデジタル資産の連邦免許・登録プロセスがない。免許および/または登録に関するガイダンスの多くは、訴訟が解決され判決が下されることで、裁判所によって提供されている。

米国では、特に規制当局である証券取引委員会(SEC)に対して、仮想通貨についての明確な規制ガイドラインを提供しないまま、取り締まりを行っているとの批判が高まっている。11月には、トム・エマー下院議員がSECの法的執行から仮想通貨業界を保護する法案を提出。下院を通過した。

関連:「SECの仮想通貨企業取り締まり資金の使用を禁止」米下院が業界保護法案を可決

規制が整備されていない一方で、米ドル建てのステーブルコインは、仮想通貨市場の主要部分を構成しており、ステーブルコインの時価総額は、今年史上最高値を更新し18.6兆円(1,310億ドル)に達している。(Coingeckoデータ)

米国では今年7月に「決済用ステーブルコインの明確化に関する法案」が議会に提出され、同月末には下院金融サービス委員会を通過したが、連邦準備制度理事会(FRB)は8月、ステーブルコイン取扱について銀行に対する監督強化を発表。法案を提出した議員らが、FRBに抗議する書簡を送るなど、法案成立の見通しは立っていない。

関連:米下院議員ら、仮想通貨ステーブルコイン規制強化めぐりFRBに抗議

12月6日に発表された、2024会計年度(2023年10月~2024年9月)国防予算の枠組みを決める国防権限法では、仮想通貨に関する条項は一切含まれておらず、国防予算の割り当てから外される形となった。

関連:米国議会、国防権限法で仮想通貨関連条項を不採用

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/29 土曜日
13:45
イーサリアム創設者ヴィタリック、L2セキュリティの進化と「2-of-3」証明システムを提案
ヴィタリック・ブテリン氏が新たなブログで、L2セキュリティの現状と将来展望を公開。ブロブスペース拡張、ZK・OP・TEEを組み合わせた「2-of-3」証明システム、証明集約レイヤーの必要性について詳細に解説。
12:55
南カロライナ州で新たにビットコイン準備金法案提出 対コインベース訴訟取り下げも
米国サウスカロライナ州が、コインベースへのステーキング関連訴訟を取り下げた。また同日には州がビットコインなど仮想通貨の準備金を持てるようにする法案が提出されている。
10:45
ブラックロックのビットコインETFを保有、トランプ大統領の息子が顧問の米上場企業
米ドミナリ・ホールディングス社がビットコイン保有戦略を開始し、ブラックロックのETFを購入。機関投資家の仮想通貨投資最新動向は。
10:00
欧州保険・年金機構(EIOPA)、保険会社が仮想通貨を100%裏付ける義務提案
EIOPAが保険会社の仮想通貨保有に100%の資本要件を提案。高リスクに対応するためとしている。欧州では特にルクセンブルクで保険会社の仮想通貨エクスポージャーが確認されている。 。
09:30
SEC、イーロン率いる政府効率化省(DOGE)と連携開始
米証券取引委員会(SEC)がイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)との連携を開始。トランプ政権下での規制機関改革と仮想通貨政策転換の最新動向を解説。
08:30
ビットコイン80万円下落、BTCメジャーSQ通過で需給悪化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時80万円の下落となった。アルトコイン市場も、ビットコインの急落に連動するかたちでほぼ全面安の展開となった。
07:45
トランプ大統領、仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者3名に恩赦
トランプ大統領は、アーサー・ヘイズ氏ら仮想通貨取引所BitMEXの3名の共同創設者に恩赦を与えたことがわかった。同氏らは、意図的にマネーロンダリング対策を導入せず銀行秘密法に違反したと告発されていた。
07:15
アバランチ現物ETF、米グレースケールも申請
VanEckの後に申請 米ナスダックは3月27日、グレースケールのアバランチ(AVAX)現物ETFに関する19b-4申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。この申請は、既…
07:02
ブラジル政府高官「ビットコイン準備金は国の繁栄に不可欠」
ブラジル副大統領首席補佐官がビットコインを「デジタルゴールド」と評価し、国際準備金の5%をビットコインに投資する法案を支持する。
06:40
イーロン・マスク氏、人工知能開発のXAIがX社を買収と発表 企業価値16兆円超の巨大統合に
イーロン・マスク氏が率いるAI企業XAIが旧ツイッター社X社を全株式交換で買収。XAIを800億ドル、X社を330億ドルと評価する統合により、AIとソーシャルメディアの融合を目指す。
06:15
Bybitハッカー、40億円相当のイーサリアムを売却 ETH価格は前日比6%安
Bybitハッキング犯による40億規模のイーサリアム大量売却が仮想通貨に影響。ETHが前日比-6.3%。
03/28 金曜日
13:15
イーサリアム「ペクトラ」の実装日が4月30日と仮決定、次期「フサカ」の動向は?
カオスつうかイーサリアムのコア開発者ティム・ベイコ氏が「ペクトラ」アップグレードの実装日を4月30日と仮決定。次期開発に関しても進捗が確認された。
11:30
米司法省、ハマス関連の仮想通貨約3000万円を押収 資金調達を阻止
米司法省が、イスラム系組織ハマスからUSDTなどの仮想通貨を20万ドル相当押収した。ハマスは仮想通貨による寄付募集やマネロンを行っていたとみられる。
10:50
リップル社、アフリカの決済企業Chipper Cashと提携
リップル社は、アフリカの決済企業Chipper Cashとパートナーシップを締結。仮想通貨を活用するリップルペイメントを導入し、アフリカにおける国際送金の速さやコスト効率を向上させる。
10:45
トランプ指名のアトキンス氏が仮想通貨規制方針示す SEC委員長指名公聴会で
米上院銀行委員会が、次期SEC委員長候補ポール・アトキンス氏の公聴会を開催した。ウォーレン議員が利益相反の可能性を追及した他、仮想通貨関連の議題も俎上に上った。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧