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ビットコイン初期開発者、裁判の過程で「サトシ・ナカモト」のメールを公開 2100万枚の発行上限や匿名性にも言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインの生みの親を巡る訴訟

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の生みの親であるサトシ・ナカモトの260通に及ぶEメールが、ビットコイン初期開発者であり貢献者でもあるマルティ・マルミ氏によって、23日に公開された。

これらのメールは、 仮想通貨企業による非営利団体「仮想通貨オープン特許同盟」(COPA=Cryptocurrency Open Patent Alliance)が、ビットコインのホワイトペーパーの著作権が自分にあると主張するクレイグ・ライト氏に対し提起した訴訟の一環として公開された。

マルミ氏は、個人的なメールのやり取りを共有することには抵抗があったが、英国ロンドンで行われているCOPA訴訟で証人として出廷するため、公開に踏み切ったという。

ライト氏は2021年、ビットコインの開発・維持に携わっているBitcoin.orgなどに対し、著作権侵害を主張しホワイトペーパーの掲載を取り下げるように要請する訴訟を起こした。

これに対して異議を唱えるべく、COPAはライト氏の権限を制限することを目的に、訴訟を起こした経緯がある。

ライト氏が勝訴した場合、ビットコインに対する知的財産権を持つことになり、開発者らに対しビットコインのコードベースの使用を制限したり、システムの使用条件を決定することも可能になるリスクがあると見られ、裁判の行方は大きな注目を集めている。

関連:仮想通貨特許同盟COPAがクレイグ・ライト氏を提訴、ビットコイン「ホワイトペーパー」著作権巡り

ビットコインの設計

マルミ氏が公開したメールのやり取りによって、サトシ・ナカモトのビットコイン設計に対する思想について、新たに明らかになった側面もある。

ビットコイン・マイニングのエネルギー消費量に関するものでは「経済的自由と自然保護のどちらかを選ばなければならないとしたら、皮肉なものだ。」と書いている。

ナカモト氏は、ビットコインのコンセンサスメカニズムであるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、ネットワークを調整し二重支払いを防ぐための基盤であり、「信頼できる第三者機関なしにP2Pの電子キャッシュを機能させるための唯一の解決策」であると主張している。

しかし、PoWによるエネルギー消費量が増加した場合でも、「レンガ造りの建物や高層ビルで労働力や資源を大量消費する従来の銀行業務よりは、無駄が少ない」との考えを示した。

2,100万BTCという発行上限

また、ビットコインの供給量の上限を2,100万BTCに設定したことについても言及されている。

ナカモト氏は、ビットコインの発行枚数と流通に関するスケジュールについて、「経験に基づく推測」から決定したと述べた。既存の通貨と類似した価格となるようなものを選びたかったが、将来を見通すことができないため、最終的に中間的なものを選んだという。

ビットコインの使用が小さな特定の分野に限定されるならば、1BTCあたりの価格は既存の通貨よりも低くなるが、世界の商取引の一部で使用された場合、2,100万枚しか存在しないため、1BTCあたりの価格は遥かに高くなると説明。

価格が小さくなったとしても、その値は小数点以下8桁の64ビットの整数で表現できることから、精度に関する余裕は十分にあるとの認識を示した。

ビットコインの値については、小数点以下8桁の64ビット整数であるため、1コインは内部的には100,000,000として表されるとも記している。これは、ビットコインが小数点以下8桁まで分割可能であることを意味し、最小単位の1サトシがビットコインの最小の取引単位であり、1ビットコインは1億サトシに相当することを示す。

この設計は、大規模取引だけでなく小規模取引にも利用できるようにするためのもので、ビットコインの価値が上昇しても日常生活での利用やマイクロペイメントも実現可能にした。

匿名性について

さらに、ナカモト氏は当時のメールで、ビットコインについて匿名性を強調しない方が良いと指摘した。

IPではなく、ビットコインアドレスが普及しているため、自動的に匿名であるという印象を与えることはできない。偽名とすることは可能だが、注意する必要がある。

さらに同氏は後々、ビットコインの取引履歴が追跡され、完全な匿名性を保つことは難しいと述べており、ブロックチェーンを悪用した犯罪が起きた場合を予見していたようだ。匿名だと思っていた情報が暴露された場合を予測して、事前に注意を払う必要があると警告することが大事だと主張している。

関連:サトシ・ナカモトに1億7千万円相当のビットコイン献上か、記念碑的アドレスに謎の送金

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