大規模なビットコイン送金
暗号資産(仮想通貨) ビットコイン(BTC)の高騰が続く中、米国政府に関連するウォレットから2月29日に、1,380億円相当のビットコインが送金されたことが明らかになった。
ブロックチェーン分析会社Arkham Intelligenceによると、二つのウォレットから合計15,086BTCが、2時間の間に4回に分けて、身元不明のウォレットに送付された。送金元のウォレットは、大手仮想通貨取引所Bitfinexのハッキング事件で米国政府が押収したビットコインを保有していたものだ。
政府の送金の意図は明らかではないが、仮想通貨メディアCoinDeskによると、政府当局者は合法的な法執行関連活動の一環として行われたと認めているという。
米国政府は、ダークウェブ「シルクロード(Silk Road)」の捜査やBitfinex関連捜査で押収した大量のビットコインを保有しており、米投資会社「21.co」がまとめたデータによると、現在の保有量は19万4,188BTC、執筆時の価格で約1兆7,782億円に相当する。
これは、現在流通している全BTCの約1%にあたり、米国は世界最大のビットコイン保有国の一つであると言える。
さらに、Arkham Intelligenceのデータによると、米国は284億円相当のイーサリアム(5万6,086ETH)をはじめ、USDCやUSDTなど他の仮想通貨も保有しており、その総額は現在の価格で、133.6億ドル(約2兆円)に上る。
押収した資産の処分は
巨額の仮想通貨を保有する米国政府が、その押収した資産をどのタイミングで処理するのかは、常に市場の関心の的となっている。
昨年3月、米国政府はシルクロードから窃取され、その後政府に押収された2億1,600万ドル相当の9,861BTCを売却。2023年内に残りの41,500BTCを4回に分け売却する方針が、裁判書類から明らかになった。
関連:米政府、合計1,560億円相当のビットコインを23年中に売却予定
また、今年1月、米司法省はシルクロードの麻薬密売業者から押収した268億円相当のビットコイン(2,933BTC)を売却する方針を発表した。
2016年8月に起きたハッキングで、Bitfinexから、およそ12万BTCが流出したが、米司法省は2022年、そのうちの9万5,000BTC(執筆時価格:約8,690億円)を押収し、資金洗浄に関与した2名を逮捕した。今回、大量送金が行われたのは、このBitfinex関連のウォレットで、今後どのように処理されるかが注目されるところだ。
Bitfinexは昨年7月、米国国土安全保障省よりハッキングで盗まれた資産の一部返還を受けたことから、約4,500万円をユーザーに償還すると発表した。
関連:Bitfinex、ハッキングで不正流出した4,500万円を被害者に償還へ
スノーデン氏の意味深な発言
米国政府によるビットコイン送金と時を同じくして、エドワード・スノーデン氏はXで、興味深い発言をしている。
Prediction: A national government will be revealed this year to have been buying Bitcoin—the modern replacement for monetary gold—without having disclosed that fact publicly.
— Edward Snowden (@Snowden) February 28, 2024
予測:今年、ある国家政府が、その事実を公にすることなく、現代の貨幣用の金に代わるビットコインを購入していたことが明らかになるだろう。
スノーデン氏は2013年、米政府の大量監視システムの存在を内部告発した人物。その後、米国からロシアに亡命した。
エルサルバドルの姿勢
2021年に、世界で初めてビットコインを法定通貨として定めたのは、エルサルバドルだが、先月再選されたナジブ・ブケレ大統領は、ビットコイン関連政策の継続を宣言している。
また、価格が急騰している現時点でも、同国が保有するビットコインを売却する計画はないとしており、ビットコインの価格下落時にエルサルバドルの政策を強く批判し、将来を危ぶんだ批評家やメディアが、今は沈黙していると揶揄した。
When #Bitcoin’s market price was low, they wrote literally thousands of articles about our supposed losses.
— Nayib Bukele (@nayibbukele) February 28, 2024
Now that #Bitcoin’s market price is way up, if we were to sell, we would make a profit of over 40% (just from the market purchases), and our main source of BTC is now our…
ビットコインの市場価格が低かったとき、彼らは文字通り何千もの記事で我々の含み損について書き立てた。ビットコインの市場価格はかなり上昇しており、もし我々が売却すれば、40%以上の利益を得ることができまる(市場での購入分のみ)。そして、我々のビットコインの調達元は現在、市民権プログラムとなっている。 もちろん、我々が売ることはない。結局1BTC=1BTCなのだ。(これは、市場価格が安かった時も今も同じだ)
エルサルバドル議会は昨年12月、同国の社会経済開発プログラムへのビットコイン「寄付」を行う外国人に対し、迅速な市民権付与を可能にする移民法案を可決した。具体的には、年間1,000人のビットコイン投資家に対し、100万ドル(1.5億円)の出資と引き換えに、居住ビザと市民権への道を提供する新しい投資による市民権プログラムとなっている。
関連:ビットコインで市民権を得る時代へ、エルサルバドルの新移民法ー報道