- すべての流動性を可視化するDEX
- ブロックチェーン専門企業Paradigmが開発を主導する新たなDEX、既存のDEXの欠点「出来高と板の薄さ」を根本から解消させるプロトコルの開発へ動いている様だ。ハッキングにも強い分散型の取引所で、この問題が解決された場合、状況を大きく好転させる可能性がある。
すべての流動性を可視化するDEXとは
大手仮想通貨メディアCoindeskの 独占取材 によると、DEX(分散型取引所)のプロトコルを開発する専門企業Paradigm財団を始め、ブロックチェンファンドPolychain Capital PartnersとChapter One、投資銀行のDragonfly Capital Partnersも参画した新たなDEX構築のプロジェクトで約100万ドルのラウンドを調達したと事が判明した。
このDEXの最大の特徴は、仮想通貨トレーダーに『一つの注文板で、全世界の売り買いの注文』が公開されるというポイントで、名称は「分散型注文板(decentralized order book)」となる様だ。
このプロジェクトを主導したParadigm財団のCEOであるLiam Kovatch氏は共同創設者のHenry Harder氏は共にColumbia大学の教授を務めており、現在開発中という段階で、年末にはβ版を公開する予定だそうだ。
Kovatch氏によると、
DEXは徐々に市場で足場を固めつつあるが、中央集権型取引所のような流動性を持っていないのが現実だ。すなわち、売り注文を出しても買い手がいない=『注文板の厚さが欠如』していることだ。
トレーダーにとって、一つの注文板だけで全世界の売り手と買い手が見れるシステムはもっとも理想的だと言えるだろう。Kayakのようなサービスキュレーターではなく、Paradigmは各データを一つのプラットフォームに可視化するとのことだ。
さらに、Kovatch氏は、「Paradigmは単純に、売り手と買い手の出会いの場所を提供する」と述べた。
中央集権型のライバルとなるか
Dragonfly Capitalは、まさに「大手仮想通貨取引所の壁が崩壊することにかけている」とCoindeskは語っている。
同投資銀行は最近1億ドルの仮想通貨ファンドを設立した。また、すでにいくつかの大手取引所に出資している。
そしていくつかの取引所はすでにDEXを構築しており、つまり、そのようなDEXがParadigmのプラットフォームに参加するのは時間の問題だとされている。
最近ではDEXのトレンドが見えてきており、大手取引所Binance、Bithumb、BitfinexもDEXを新規事業の一環として注力しており、また、ブロックチェーンプロジェクトStellarもStellarXというDEXを開設した。
DEXにおける競争が激しくなると思われる一方で、Paradigmでは取引所だけでなく、個人でも注文板のデータを掲載することができ、Paradigmのメリットはわずかな手数料にあるとKovatch氏は語った。
DEXが直面する挑戦
なお、現在、DEXは多く存在するが、ハッキングされにくいというメリットと引き替えて、決済速度の遅さが挙げられる。
Binanceのような既存の大手中央集権型取引所側が秘密鍵を所有しているため、板注文のマッチングを処理する速度がDEXよりはるかに速いとされている。
その速さに敵うためには、Paradigmはスピードの開発(サイドチェーンなど)に力を入れている様だ。
このような一元化したDEXが近い将来、既存の取引所のライバルとなり、主流となると言えるかもしれない。