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コインベース、AIトークンの潜在的価値が過大評価されている可能性=レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

AI市場のニュースに反応

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは6日、AIトークンは、その潜在的価値が誇張されており、短中期的に見ると現在の需要を維持する牽引力に欠ける可能性があると述べた。

「仮想通貨のAI幻想」と題したレポートでコインベースは、AIトークンのパフォーマンスは、AI市場のトップ記事にサポートされてきたと指摘。特に生成AIの継続的な進歩により、AI業界の注目が高まり、その交差点に位置する仮想通貨プロジェクトにも(投機的な)チャンスがもたらされたと分析した。

レポートは、AIと仮想通貨の交差点には大きく分けて、AI製品が仮想通貨業界を改善するユースケースと、仮想通貨がコンピューティング、検証、アイデンティティなど分散型の手法でAIのパイプラインを激変させることを目指すユースケースの二つがあるとしている。

コインベースは、後者のカテゴリーが流動性のあるトークンを使用するのに適しているため、注目が集まっていると指摘。しかし、このカテゴリーの技術的な課題については解決できる可能性があるが、広範な市場と規制との戦いが大きな障害となると見ている。そのため、特に固定的なトークノミクス・モデルを採用しているAIトークンが、長期的に価値を生み出していくという道筋は不透明だと評価した。

しかし、取引可能なAIトークンが不足していることも影響して、投資家の投資意欲は削がれていないという。そのため、レポートでは、多くのAIトークンは「一般的にAIの進歩を表す代理品として取引され続ける可能性がある」との考えを示した。

仮想通貨がAIに与える影響

レポートでは、仮想通貨がAIに影響を与え得る段階を以下の4つに大別している。

  1. データの収集、保管とデータエンジニアリング
  2. モデルのトレーニングと推論
  3. モデルのアウトプットの検証
  4. AIモデルからのアウトプットの追跡

データ関連の仮想通貨プロジェクトとしてレポートは、未使用のインターネット通信帯域を取引する「Grass」、データを暗号化し分散して保存する分散型ストレージネットワークを提供する「Filecoin」、分散型ストレージ「Arweave」に言及した。

FilecoinやArweaveなどの分散型ストレージプラットフォームには、機密データをホストするための規制の枠組みがないことが課題となると、レポートは指摘。また、価格の面では、AWS、グーグルクラウド、マイクロソフトなどの主要クラウドプロバイダーと、低コストのクラウド企業が、既に市場シェアを競う状態となっており、分散型ストレージ企業が市場シェアを獲得するためには、独自の価値提案を打ち出すことが不可欠だと述べた。

関連:分散型物理インフラ「DePIN」として再注目されるプロジェクト3選

分散型コンピューティング

AIブームによるGPUの供給不足を背景に、集中型クラウドコンピューティングに代わる選択肢として、分散型コンピューティングというセクターも台頭してきている。

この分野の代表的なプロジェクトとして、レポートは「Akash」と「Render」を取り上げた。AkashとRenderは、分散型GPUレンダリング、および分散型クラウドコンピューティング・ネットワークで、DePIN(分散型物理インフラネットワーク)銘柄に分類される。

Akashは年初から現在まで、ストレージとコンピューティングの使用量の増加に伴い、ユーザー数が3倍に急増。先月末、コインベースへの上場検討が報じられると、価格が急騰した。

出典:コインベース

また、Renderの価格も1年で767%上昇するなど、注目度は非常に高い。

関連:分散型GPU・AIのRender Network フレーム数とRNDR使用量が前年比倍増

しかし、レポートでは、GPUの供給が需要を上回ったことから、ネットワーク手数料が低下したと指摘。GPUの需要と供給の関係で価格が左右されるネットワークで、どのようにしてネイティブトークンへの継続的な需要が発生するかは、明らかではないと、レポートはまとめた。

技術面では、分散型コンピューティングソリューションは、ネットワーク帯域幅の制限という課題がある。また、分散型コンピューティングとストレージが長期的に成功するには、集中型のクラウドサービスプロバイダーとの激しい競争に直面すると考えられることから、「困難な道のりになる」とコインベースは予想している。

分散化が目的では不十分

レポートは、生成AIモデルは、数年前から存在し、市場競争とオープンソースソフトウェアにより、既に一定レベルの分散化が達成されていると指摘。さらに集権型の開発は、分散型の開発よりも高速である場合が多く、特にAIのように急速に進化している分野では、分散型が不利になる可能性があると述べた。

このような点を考慮すると、AIと仮想通貨の重なり合う部分はまだ黎明期にあり、AIの発展に伴い、今後数年で急速に変化する可能性が高いとの見方を示すとともに、現在仮想通貨業界が思い描いているような、「分散型のAIの未来は保証されていない」と主張した。

そのため、どのようにしたら、仮想通貨基盤のソリューションが真に意味ある代替手段となるのかを、深く探っていくことが堅実だと総括した。

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