はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

金融庁「第7回仮想通貨研究会」ビットコイン取引規制など最新情報まとめ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デリバティブ取引のレバレッジ問題
金融庁にて19日、仮想通貨に関する討議が行われ、ビットコインなどのデリバティブ取引レバレッジは最大2倍にすべき、みなし事業者の「登録デッドライン」を3年にするのはどうかなどと言及。「資産保全」に関する提言もまとめた。

第7回『金融庁 仮想通貨研究会』

金融庁にて10月19日、関連業界の有識者が一同に介し、「仮想通貨を原資産とするデリバティブ取引」というテーマで討議を行なった。

信用取引とは、顧客が業者に補償金として金銭や仮想通貨を預託し、業者指定の倍率を上限に業者から仮想通貨を借り入れ、それを元手として仮想通貨の売買・交換を行う取引のことを指す。

数倍〜のレバレッジをかけることで、入金した原資(証拠金)の数倍規模の資金を動かすことができるため、ハイリスク・ハイリターンな投機需要として人気を博し、種銭の少ないトレーダーから大口トレーダーの資産運用まで幅広く重宝されている。

仮想通貨取引の証拠金倍率をFX同様の「最大25倍」に設定している業者もある中、仮想通貨の自主規制団体からは、1年間程度の経過措置を終えた後に「最大4倍」まで引き下げる規制案を提案していたが、委員からは、ボラティリティの大きさや海外の事例などを鑑みて、「最大2倍」が適切ではないかとの意見が相次いだ。

アメリカの例

アメリカでは、CME及びcboeがデリバティブ取引に関して「レバレッジ2倍」を規定している。これは機関投資家などプロのトレーダーでも、ボラティリティを踏まえて2倍が適切だと判断した結果であると言及した。

ヨーロッパの例

ヨーロッパでは、「ユーロ/BTC」ペアの日次変動率が5%程度になる確率を計算し、個人・法人問わず「レバレッジ2倍」までと規定しているなどと解説した。

低迷する仮想通貨市場の影響

現在、約半数の認可済み仮想通貨交換業者で仮想通貨の証拠金取引が提供されており、国内の仮想通貨取引全体の内、証拠金・信用 ・先物取引は実に81.61%を占めている。(現物取引は18.39%)

出典:金融庁研究会

2018年の仮想通貨市場は低迷を続けており、現物評価額が大幅に毀損する一方、売りポジションで利益を出すことが出来る「ビットコインFX」需要がより高まっているという現状もあるものと考えられる。

出典:金融庁研究会

そのような状況の中、「仮想通貨の売買・交換を業として行うことは、資金決済法の規制対象とされているが、仮想通貨信用取引自体に対する金融規制は設けられていない。」ことを問題点として挙げた。

国内において、金融商品取引法が定めるデリバティブ取引の原資産の中に仮想通貨が含まれていないことなどから、仮想通貨デリバティブ取引は、株式などの有価証券と異なり、金融規制の対象とされていない現状がある。

海外では、インターネットを通じてクロスボーダー取引が容易な環境にある中、仮想通貨デリバティブ取引を金融規制の対象としている。

そのほかの問題点

また金融庁の研究会では、「原資産のみの現物取引よりもハイレベルな知識が求められるにも関わらず、現状は、金融リテラシーの低い若年層の利用が目立つ。」点を指摘。委員の一人は、「大学生など若者の生活基盤崩壊や消費者クレームなどに繋がるケースもあり、利用者保護の観点からも望ましくない」などと言及した。

実際に、金融庁に相次いで寄せられているシステム上の不備やサービス内容の不明瞭さなどに起因する「利用者からの相談」は今年に入ってから急増しているという。問題点の一例は以下の通りだ。

ロスカットが機能しない

ネット上で注文ボタンを押すタイミングから、実際に注文が完了するまでに乖離がある

価格暴落局面で注文が殺到した場合、サーバシステムがダウンして約定しないなどのケースがある

サービス内容の不明瞭さ

途中でサービス内容が変更される

広告内容や取引規定と実際の対応に乖離がある

研究会の委員は、正式な認可を得ていない「みなし事業者」の業態でありながら、積極的にCM広告などを展開し、セキュリティ対策や経営体制の確保よりも優先して業容拡大を急いだ点についても、問題を拡大させたと指摘。

いずれにせよ、見通しのないまま「みなし事業者」の形態のまま長期化するのは望ましくないため、登録可能期間の「デッドライン」を定める必要があり、例えば「3年以内に資格を喪失(2017年4月に”改正資金決済法”が施行されて1年半)するなどの案も検討する必要がある」と言及した。

また、利用規約などの注意書きに関しても、小難しい文章でを書いても利用者はまず見ないので、”タバコのパッケージ”のような直感的に伝わる目立つアナウンスや、共通の「みなし事業者マーク」のようなものを作成して、ウェブサイトの目立つ場所に表示させるなどの方法が必要なのではないか。」と述べた。

委員の一人は、日本における仮想通貨市場に関する規制について、「限定的」なものか「包括的」なものか、どちらがより適切かどうかの議論はあるが、以下の2つの理由から後者が望ましいとした。

  • 海外では、包括的な規制が主流
  • 仮想通貨関連は技術の進歩が極めて早いため、限定的な規制だと後追いになってしまう

第6回・研究会の重要事項

なお、前回の金融庁仮想通貨研究会における重要事項は、以下のものが挙げられる。

匿名性通貨に関して

匿名性は顧客のプライバシー保護にも資するもの

日本で禁止した場合は海外に流れるリスクもあり、マネロン防止の観点からも、認可済みの交換業者で取引を認めるべきではないか

将来的に仮想通貨が、「日銀券」の代替として決済に広く利用されるようになった場合、匿名性のない仮想通貨が適当なのか

仮想通貨の保全について

  • 保全方法は、現実的に実施可能なものである必要がある。
  • オペレーションを考えると、信託について信託銀行などで受け入れ可能な仮想通貨は限定される。銀行などとの保全契約については、流出事案などからコストが高額になる可能性を懸念。

一般債務者と優先弁済権について

  • 現状では、司法上の位置付けが不明瞭なため、顧客への優先弁済権の付与については、交換事業者(仮想通貨取引所)破綻時の「倒産隔離」の方法として適当ではないか。他方、一般債務者との関係から慎重に議論する必要がある。
  • 優先弁済権を付与する場合、一般債権者とのバランスを踏まえると、交換業者が受託仮想通貨を分別管理するために設けたウォレット内の仮想通貨など、一定範囲に限定することも考えられる。

CoinPostの関連記事

新金融庁長官「仮想通貨を過剰に規制する意図はなく、規制下での成長を期待している」
大手メディアロイター通信は22日、金融庁の新長官に就任した遠藤 俊英氏に対するインタビューを実施。新金融庁長官は同インタビュー内にて、「(仮想通貨業界を)過剰に規制する意図はない。適切な規制の下、成長して欲しい。」とコメントした。
日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が、金融庁に対し認定資金決済事業者協会を申請
一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は、2018年8月2日付で、金融庁に対し仮想通貨交換業に係る認定資金決済事業者協会の認定申請書を提出しましたことを、発表した。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
16:50
「社会のジレンマを突破する」日本初のステーブルコイン発行ライセンス取得、JPYC岡部典孝氏が語る|独占インタビュー
JPYC株式会社が日本初の日本円建てステーブルコイン発行ライセンスを金融庁から取得。代表の岡部典孝氏が語る100万円制限の実態、3年後10兆円の発行目標、プログラマブルマネーがもたらす金融革命とは。
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧