マクロ経済と金融市場
20日の米NY株式市場は、ダウ平均株価は前日比196.8ドル(0.49%)安、ナスダック指数は1108.9ポイント(0.65%)高で取引を終えた。
日本時間23日には、AI(人工知能)セクターを牽引する米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えている。OpenAIの開発するChatGPTの急台頭など世界的な半導体需要の高まりを受け、市場心理への影響や日米株価指数への寄与度も高いことから注目される。
米国株の暗号資産(仮想通貨)関連銘柄では、コインベースが前日比8.4%高の225.1ドル、マイクロストラテジーが9.0%高の1727.2ドルに。ビットコイン高騰に伴い、マイニング銘柄も物色され、マラソンデジタルが14.7%高の22.3ドル、ライオットが8.9%高の10.9ドルと急騰した。
東京株式市場では、日経平均株価(前引け)は、前日比66.2円(0.17%)高の3万9135円。仮想通貨関連銘柄では、コインチェック親会社のマネックスやビットバンク関連会社のセレスが買われた。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比6.7%高の1BTC=71,192ドルに。
4月12日以来に7万ドルの大台を超え、過去最高値の73,835ドル更新が射程圏に入った。
ビットコイン上昇に伴い、先物市場では2.5億ドル規模の仮想通貨のショートポジションが焼かれ、ロスカット(強制清算)された。
米SEC(証券取引委員会)の動向などこれまでの経緯から期待感の後退していたイーサリアム現物ETF(上場投資信託)について、専門家の承期予想が「75%」まで急上昇したことを受け、イーサリアム(ETH)が高騰したことが市場の追い風となった。
Update: @JSeyff and I are increasing our odds of spot Ether ETF approval to 75% (up from 25%), hearing chatter this afternoon that SEC could be doing a 180 on this (increasingly political issue), so now everyone scrambling (like us everyone else assumed they'd be denied). See… https://t.co/gcxgYHz3om
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) May 20, 2024
イーサリアム現物ETFは、最大手資産運用会社ブラックロックを含む複数社が申請を出している。
承認の最終判断期日を5月23日に迎える中、大統領選挙が間近に迫る政治的背景もあり、SECの態度に変化が見受けられるという。
関連:最終判断期限迫るイーサリアム現物ETF、予想外の進展で承認観測強まる
ETHの市場価格は下降ウェッジを上抜け前日比20%高の1ETH=3667ドルまで高騰し、アルト相場をけん引した。ポリゴン(MATIC)、Uniswap(UNI)、イーサリアムクラシック(ETC)、Optimism(OP)、Arbitrum(ARB)など、イーサリアム関連銘柄が軒並み物色されている。
3月上旬の年初来高値1ETH=4093ドルを上抜けた場合、21年11月に記録した過去最高値の4867ドル更新が視野に入る。
インジケーターでは、MACDライン(青)とシグナルライン(オレンジ)の週足が24年4月半ばにデッドクロスし弱気サインを示していたが、これを否定。ヒストグラムはボトムアウトして正の領域に転換しつつあることから、強気トレンドが続く可能性を示唆している。
先んじて現物ETF(上場投資信託)が承認されたビットコイン(BTC)は、今年3月に(21年11月の)過去最高値69,000ドルを更新していたが、イーサリアム(ETH)など他の主要銘柄は出遅れていた。
ビットコイン建てのETH/BTCの推移を辿ると明白だ。
24年5月21日現在の1ETH=0.051BTCは、22年9月の1ETH=0.085BTCから大きく後退しており、ビットコインのリターンに対して右肩下がりだった。過去の相場サイクルでは、ETH/BTCが上昇すると、アルトコイン相場に資金が循環するアルトシーズンが発生する傾向にある。
足元のイーサリアム高騰の背景には、ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏とジェームス・セイファート氏が、非承認濃厚だと思われていたイーサリアム現物ETFの承認確率を一気に引き上げたことがある。
エリック・バルチュナス氏らによれば、米SEC(証券取引委員会)が180度方向転換する可能性があるという。
イーサリアム現物ETFが非承認となれば反動で急反落するおそれがある一方で、早期承認されればポジティブサプライズであり、暗号資産(仮想通貨)相場がリスクオンに傾く可能性も考えられる。今後のSECの規制アプローチや暗号資産(仮想通貨)の証券性が争われる裁判の司法判断にも優位に働く可能性も指摘されるところだ。
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