谷を渡る
米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、今年1月に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことで、機関投資家にとってビットコイン投資の地位が確固たるものとなったと、その重要性を強調した。
ポッドキャスト「What Bitcoin Did」に出演したセイラー氏は、2020年に資本配分戦略の一環として2億5000万ドル相当のビットコイン購入で開始した自社の大胆なビットコイン投資の歴史を振り返る中で、「今年1月中旬に世界は変わった」と米証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物ETF承認に言及した。
今回のエピックで最も重要なことは、ビットコインETFが承認されたことだ。 これは基本的に、ビットコインが数千億ドルの資産クラスではなく、ビットコインが10兆ドルから100兆ドルの資産クラスと認識されるためのキャズムを超えるものだった。
セイラー氏は、暗号資産(仮想通貨)業界に対して「妨害的」なアプローチをとるゲンスラーSEC委員長を批判しつつも、SEC委員長に就任後、ビットコインをドルと競合するデジタル通貨(=禁止すべきもの)としてではなく、デジタル商品であり資産である(=禁止は不要)という認識を定着させたことについては評価。
そして、時間はかかったもののビットコイン現物ETFを承認したことが最大の功績だとした。
しかし、ビットコイン投資の正当性を認めたとはいえ、SECが許容する受け入れ態勢は「最小限」であり、銀行によるビットコインの保管や、オプション取引、ビットコイン現物とETFの直接交換などは否定されている(現金償還に限定される)ため、「現物ETFとしては不十分な点もある」と指摘した。
イーサリアム現物ETFの承認
セイラー氏はビットコインに対して非常に強気な姿勢で知られており、イーサリアム現物ETFについては、「イーサリアムは商品ではない(ビットコインと異なり、証券判断があり得る)」ため承認されないだろうとの立場を表明していた。
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しかし、同氏をはじめとする業界識者の大半の予想に反して、SECは23日、イーサリアム現物ETFを突如承認するに至った。その背景には政治的な風向きの変化があると見られている。
セイラー氏はイーサリアム現物ETFの承認は、「ビットコインの新たな防衛線として機能」し、仮想通貨の正当性を強化することになるため、ビットコインにとって朗報だと述べた。また、これまで仮想通貨に対して警戒心を抱いていた投資家も、合法的な資産クラスとして仮想通貨を認識し始め、機関投資家の参入が加速する可能性が高いと見ている。
主流の投資家は、こう言うだろう。仮想通貨の資産クラスがあるな。5%か10%を仮想通貨資産クラスに配分しよう。ビットコインはその60%か70%にしよう。
セイラー氏は今後、より「オープンな視点から」仮想通貨のユースケースなどについて検討されることが多々あるが、ビットコインは仮想通貨分野のリーダーとなるだろうと述べた。
仮想通貨にとって幸先の良い年
セイラー氏は、米国の仮想通貨に対する政治的風景が、実にこの週末でガラリと変わったと指摘した。
この週末、政治の風向きが変わるのが見えたと思う。これは政治的問題になった。
大統領選が行われる今年、仮想通貨に対し抑圧的・敵対的な政策を進めてきたバイデン政権は、対立候補のトランプ前大統領が仮想通貨に対する絶大な支持を表明したことに加え、連邦議会で仮想通貨支持が広まっていることで、このまま「8,000万人の軍隊」を支える仮想通貨コミュニティを敵に回すことは得策ではないと悟ったようだ。
仮想通貨を「熱狂的に」支持する共和党と、責任のある仮想通貨政策に転換つつある民主党という新たな「公平な条件」の下、米国の仮想通貨を取り巻く環境は大きく変化すると同氏は見ている。そして、米国でのトレンドは、世界に波及するため、2024年は仮想通貨にとって「歴史的に重要な年」となり、ビットコインの普及にとって非常に幸先の良い状況だと主張した。