TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

EUイノベーションハブ報告書、匿名銘柄や仮想通貨ミキサーで犯罪捜査が困難に ゼロ知識証明とレイヤー2ソリューションの普及にも懸念

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

初の暗号化レポート

欧州連合(EU)域内安全保障イノベーションハブ(以下、EUイノベーションハブと表記)は、初の暗号化レポートを公開。暗号資産(仮想通貨)に関するセクションでは、犯罪収益のマネロンに仮想通貨が広く使用されていると指摘し、ゼロ知識証明とレイヤー2ソリューションが普及すると、資金の追跡がより困難になると懸念を表明した。

EUイノベーションハブは、欧州刑事警察機構(ユーロポール)や欧州司法機構(ユーロジャスト)をはじめとする欧州連合の機関と加盟国のメンバーが参加するイニシアチブ。最新のイノベーションに関する情報と効果的なソリューションを提供するイノベーションラボを統合する共同ネットワークだ。

レポートは、犯罪捜査・訴追を可能にしつつ、市民のプライバシーや権利を保護するためのバランスの取れた解決策を見出すため、暗号技術を使用する様々なテクノロジーについて検証している。

マイニングと犯罪

レポートはまず、様々な形態のマイニングが異なる犯罪者を惹きつけていると指摘した。

その一つの例が、マイニングファームの利用で、犯罪の収益をマイニング機器購入に当てたり、資金が合法的に獲得されたように見せかけるという手法がある。またマイニングによる利益がもたらされることもある。

他者のコンピューターの帯域幅や処理能力を悪用するボットネットマイニング・クリプトジャッキングは、5年以上に渡り観測されているという。

さらにプールマイニングへの参加を呼びかける出資金詐欺も横行しており、数億ユーロの被害が発生した。

ブロックチェーンの可視化を阻害

レポートは仮想通貨の取引やデータの大部分はブロックチェーンで公開されている一方で、(匿名性を持つ)プライバシーコインと呼ばれる一部の仮想通貨ではそのような可視性が隠されていると指摘。例としてモネロ(XMR)、Zキャッシュ(ZEC)、グリン(GRIN)、ダッシュ(DASH)を取り上げた。

また、プライベートなトランザクションを可能にするものとして、ライトコイン(LTC)でオプション機能として実装されているMimblewimbleに言及。

Mimblewimbleはマルチ署名モデルを使用し、複数の入力と出力をブロックにまとめることで、すべての取引当事者の集約を可能にするため、トランザクションの合計のみを検証すれば良くなる。そのため、個々のアドレスと金額が紐づけられなくなる。

さらに、ゼロ知識証明とレイヤー2ソリューションにより、トランザクションデータの一部を公開することなく、取引実行が可能になる。ゼロ知識証明によって情報を公開せずに、検証が可能になるためだ。(Zキャッシュで使用)

そのほかに、ゼロ知識証明を利用しているのが、仮想通貨ミキサーの「トルネードキャッシュ」で、ユーザーは元の預金額を明かすことなく、ミキサーから資金を引き出すことが可能となっている。

レイヤー2ソリューション

レポートでは「レイヤー2」ソリューションの、最もよく知られた例として、ビットコインのライトニングネットワークに言及。「二者間のマルチ署名支払いチャンネル」が作成されることで、すべての取引ではなく、チャネルの開始と終了のみがブロードキャストされ、速度の向上と支払い手数料の削減につながる。

レイヤー2(L2)

レイヤー2とは、「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。

▶️仮想通貨用語集

法執行機関への影響

法執行機関はほとんどの場合、パブリックブロックチェーンのアドレスを調査するが、上記のような「仮想通貨取引の可視性を不明瞭にすることを目的とした傾向」について批判している。

ミキサーやプライバシーコインは長年にわたり追跡を困難にしてきた。しかし、比較的新しく開発されたMimblewimbleやゼロ知識証明は、仮想通貨のアドレス、残高、取引の可視性を不透明にすることもできる。

また、ライトニングネットワークなどのレイヤー2ソリューションも「犯罪者に悪用される可能性がある」と警告した。

さらにビットコイン改善提案(BIP)3830で、ニーモニックコードによる秘密鍵に加え追加のパスワードが使えるようになったことにより、法執行機関によるウォレットへの合法的なアクセスを困難にする可能性があると指摘した。

新たな規制の発効

欧州では今年段階的に、仮想通貨に関する包括的な規制案「MiCA」が施行される。12月30日にはすべてが発効し、仮想通貨サービスプロバイダーによるプライバシーコインの取り扱いが規制の対象となるため、取引所はプライバシーコインの上場廃止を促されている状況だ。

仮想通貨ミキサーについては、世界の法執行機関から圧力を受けており、トルネードキャッシュの開発者であるアレクセイ・ペルツェフ氏は、今年5月、オランダの裁判所から、12億ドル相当の違法な資金洗浄を助長したとして、懲役5年4ヶ月の刑を言い渡された。

米国連邦検察は4月、ビットコインミキサー「Samourai Wallet」の創設者キオン・ロドリゲス氏とウイリアム・ヒル氏を、「違法なダークウェブ市場から1億ドル以上のマネロン取引を促進した」として、マネーロンダリング共謀の罪で起訴した。

関連「SECは仮想通貨業界を破滅させようとしている」コインベース、明確な規制整備を改めて要請

関連Web3の社会実装と社会受容を推進へ──経産省、実証事業者の公募を開始

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。
16:59
バイナンス、5種類の仮想通貨取引ペアを11月22日に取扱い中止
大手取引所バイナンスが、THETA/ETHやRARE/BRLなど5種類の仮想通貨取引ペアの取扱い中止を発表。11月22日12時より取引停止へ。各トークンは他の取引ペアで継続取引可能で、価格への影響も限定的。スポット取引ボットサービスも同時終了。
15:27
ビットコイン1500万円突破 ETFオプション解禁で資金流入加速
ビットコインが史上初めて1500万円を突破した。米国でETFオプション取引が解禁され、機関投資家の参入が加速。IBITへの1日1000億円規模の資金流入が継続する中、トランプ政権への期待も相場を押し上げる。バーンスタインは3100万円到達の強気予想を見立てている。
13:10
ソラナPhantomウォレット、米AppStoreの無料ユーティリティアプリ部門でトップに
ソラナ基盤のPhantomウォレットが米AppStoreで無料ユーティリティアプリ部門1位を獲得。無料アプリの総合部門でも5位に躍進した。
11:25
半導体大手エヌビディア決算報告 過去最高の売上高
エヌビディアが8~10月期決算を発表。売上高は再び過去最高を記録した。AI需要拡大で業績好調も、成長率の鈍化予想で株価は下落している。
11:05
米SEC、仮想通貨指数ETFの上場判断を延期
ゲンスラー率いる米国証券取引委員会は、米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンの仮想通貨指数ETF「EZPZ」の承認判断を延期した。
09:40
「仮想通貨は申告分離課税で20%に」国民民主党の玉木代表が与党に要望
国民民主党の玉木代表が仮想通貨税制改正を与党に要望した。雑所得から申告分離課税にすることを提案している。
07:50
テザーUSDTが3000億円分新規発行、市場に流動性注入
今週仮想通貨ビットコインの上昇に際し、ステーブルコインのテザー(USDT)が大量に発行されたことが明らかになった。
06:50
米上場のバイオ企業、ビットコイン財務戦略を採用
米上場のバイオ医薬品企業のHoth Therapeuticsは、最大100万ドル相当の仮想通貨ビットコイン購入を取締役会で承認した。
06:40
トランプ次期政権、史上初の仮想通貨特命官ポストを検討
トランプ次期大統領の移行チームは仮想通貨政策に特化した史上初の常勤のホワイトハウスポジションの設置を積極的に検討しているようだ。
06:20
マイクロストラテジー時価総額が米国トップ100に、ビットコイン史上最高値更新受け
仮想通貨ビットコイン続伸を受け、BTCを大量に保有する米マイクロストラテジー社の株価も続伸し、史上最高値となる504.7ドルに到達し米国で時価総額トップ100にランクインした。
11/20 水曜日
17:03
韓国の仮想通貨課税、2025年1月から導入見込み
韓国政府が2025年初頭から実施予定の仮想通貨課税について解説。免税限度額を250万ウォンから5000万ウォンへ大幅引き上げで、年間利益560万円未満は非課税に。取得価格不明時の代替計算方法導入など、投資家に配慮した新制度の詳細を紹介。11月下旬の法案可決を目指す。
14:00
BONK急騰、アップビットでウォンペア提供開始
韓国最大の仮想通貨取引所Upbitは20日にソラナ基盤の犬系ミームコイン「BONK」の新規上場を実施し、韓国ウォンの通貨ペアを新たに提供し始めた。
13:57
Ledger Stax・Flex完全ガイド|仮想通貨の高性能ハードウェアウォレットを徹底比較
10周年を迎えたLedgerの次世代ハードウェアウォレット「Stax」と「Flex」を詳しく解説。大画面タッチパネル搭載の最新モデルの特徴から、定番のNanoシリーズとの違いまで完全網羅。セキュリティと使いやすさを兼ね備えたウォレットの全貌を紹介しています。
13:20
マイクロストラテジー会長、マイクロソフト株主総会でビットコイン投資を提案へ
米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長が、マイクロソフト株主総会で3分間のビットコイン投資プレゼンを実施すると発表。ビットコイン投資は株主にとっても、株価を左右する重要な議題であり、総会で議論されるべきだと述べた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧