- 財務省が第2回「納税環境整備に関する専門家会合」を開催
- 財務省は第2回専門家会合で、仮想通貨の納税手続き簡略化のため、取引所が源泉徴収を行う仕組み等について意見交換を行なった。情報照会制度や特定条件時に法定調書を義務付ける案も出された。
財務省が第2回「納税環境整備に関する専門家会合」を開催
内閣府の政府税制調査会は29日、第2回「納税環境整備に関する専門家会合」を開催した。
国税庁が主催する「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」では、仮想通貨取引に係る申告の利便性向上に向けた方策を協議中で、第2回会合では、納税義務のある仮想通貨投資家が、どのようなプロセスを辿って納税すれば良いかを図解している。
イメージ資料よると、「専用アプリに取引データを取り込み、仮想通貨取引による利益を自動計算」との文言を確認できる。
金融庁認定の自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」による、「納税環境整備に関する専門家会合」関連資料では、以下のように記載している。
• 2018年分の確定申告より、国税庁は、個人の納税者に対して“仮想通貨の計算書”を提供する予定
• 仮想通貨交換業者各社は、顧客(納税者)が“仮想通貨の計算書”を簡易に作成できるよう、“年間報告書”の提供を行う方針
(顧客から求めがあった場合には、取引履歴のデータも提供)
• 上記の仮想通貨交換業者の対応について、仮想通貨交換業者各社のウェブサイトにて公表する方針
納税環境の整備に当たっては、経済社会のICT化を踏まえ、電子データそのもののやり取りや、マイナンバーに紐付いた政府が運営するオンラインサービス「マイポータル」の活用なども視野に入れて検討するという。
納税手続きの簡略化は急務
仮想通貨取引について、納税者が自身の取引情報を簡易に把握できるような仕組みが構築できないか、というのは重要なテーマの一つだ。
財務省は24日、第1回「納税環境整備に関する専門家会合」における、『納税実務等を巡る近年の環境変化への対応について』と題する会議資料を公開。
などと指摘していた。
新しい資産クラスであり、発展途上にある「仮想通貨の納税」に関する仕組みは十分に整っておらず、複数の仮想通貨取引所における膨大な取引内容に関する煩雑な手続きが必要になることで、申告漏れの件数につながるなど問題視されている。
国税庁など監督官庁の対応窓口には限りがあるほか、専門知識を持った税理士の数も不足しており、飛躍的に高まる需要に対して、適切に対応できる人材不足を露呈している現状もある。
なお、2018年に確定申告(2017年1月-12月分)した人の中で、公的年⾦等以外の雑所得に係る収⼊⾦額が1億円以上ある人の内、仮想通貨取引による収⼊があると判別できたのは、速報値で331人となっている。
仮想通貨交換業者が源泉徴収を行う仕組み
そこで今回は、株式市場における証券会社(源泉徴収ありの特定口座)のように、仲介業者である「仮想通貨交換業者(取引所)」が源泉徴収を行う仕組みを検討してはどうかという議題に基づき、意見交換が行われ、専門家からヒアリングが行われた。
他にも、欧米を参考にした「情報照会制度」の提供や、特定の条件を満たした場合に「法定調書」を義務付ける案も出されている。
法定調書制度は、課税標準の的確な把握を行い適正な課税の確保に資するため、特定の者に対して支払の事実を内容とした調書を税務当局に提出するよう義務付けるものだ。
仮想通貨の税制に関しては、そもそも現在の分離課税(最高税率55%)が、税率約20%の株やFXなど他の金融商品や海外の仮想通貨税率と比較して本当に妥当なのか、日本の将来を担う成長産業の妨げになりかねないといった指摘もある。
このような議論が進み、仮想通貨関連の税金に関するスキームなどが整備され、業界が健全に発展していくことが望まれている。