はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX

オードリー・タンと安野たかひろが語るデジタル戦略と社会課題の解決策|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「今、日本が取り組むべきデジタル戦略」

CoinPost株式会社が企画・運営し、一般社団法人WebX実行委員会が主催する国際Web3カンファレンス「WebX」において29日、元台湾IT大臣のオードリー・タン氏と、東京都知事選挙に立候補し、AIを活用した政策解説システムで注目を集めた安野たかひろ氏が対談を行った。対談の中で、両者は日本のデジタル戦略や、社会課題の解決に向けた取り組みについて意見を交わした。

オードリー・タン氏は、2016年に35歳で台湾初のデジタル担当大臣として史上最年少で政務委員(デジタル担当)に就任し、その後、2022年に新設された数位発展部の初代部長を務め、2024年5月までその役割を全うした。天才プログラマーとしても知られ、デジタル分野で多くの革新を推進してきた人物。

安野氏は、「テクノロジーで誰も取り残さない」というビジョンを掲げ、AIを活用した誹謗中傷の監視やマニフェストの普及に注力して注目を集めた。同氏のマニフェストは、合意形成を重視し、「未来へのビジョン」と「論理の積み上げ」を基軸に構築されており、Web3の理念である分散型の意思決定プロセスや透明性にも結びつく。

日本と台湾のデジタル戦略の共通点

オードリー・タン氏は、2020年の新型コロナウイルス感染症対策として、日本と共同で技術ソリューションを開発。アフターコロナ期には、それらを公共インフラに組み込むことで、社会課題に対応してきた。

こうした経緯を踏まえ、安野氏からの「日本のデジタル戦略の現状をどう見るか?」という質問に対し、オードリー氏は「台湾ではデジタルインフラがすべての人にサービスを提供し、誰も取り残さないことを重視している。これは日本のデジタル戦略とも共通する価値だ」と応えた。

さらに、タン氏は「暗号資産の投機性を重視する国もあるが、日本ではコミュニティのための技術活用、ユースケースが重視されており、目的志向である」と特徴づけた。

プログラミングとソフトウェア開発の課題

安野氏は、官庁におけるソフトウェア開発の難しさについて、「政府のプロセスはウォーターフォール型(計画を最初に完璧に立てる方式)であり、アジャイル(柔軟で反復的な開発手法)ではないため、機会を失うリスクがある。もっとモジュール化し、アジャイルな方法に変える必要がある」と見解を述べた。

これに対して、オードリー・タン氏は「台湾では、ソフトウェアプロジェクトの成熟度に応じた複数の資金調達手段を持つ。初期段階では、概念実証(Proof of Concept)を行い、大統領主催のハッカソンを通じて二次式ファンディング(quadratic funding round)で資金を調達する。このアプローチは地域の人々にアイデアを育てる機会を提供し、地域の課題に実際に取り組むものであれば、さらに支援を受けることができる」と説明した。

この構造化されたアプローチは、デジタル社会の構築においても重要であると述べ、安野氏もこれに同意した。

地域社会とデジタル化の取り組み

オードリー・タン氏は、安野氏が都知事選挙でAIエージェント技術を「誰も取り残さない」方法で成功した事例として関心を示した。タン氏はまた、安野氏の最新小説「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」で、AIエージェントを使ったスタートアップ企業を扱ったことも挙げて、「あなたのキャンペーンは、デジタル民主主義を実現し、民間の戦略を融合させたプラットフォームを構築するスタートアップのようなものか?」と問いかけ、その背景にある考えを深掘りした

安野氏は、スタートアップ業界での経験を持ち、そのスピード感を政治の場にも持ち込んだと語った。選挙キャンペーンでは、AI駆動のYouTube動画や電話対応を通じて市民が政策について自由に質問できるAIエージェントを活用し、大きな反響を呼んだ。わずか17日間で8,000件以上の質問が寄せられ、AIと市民の関係性の将来に、良好な兆しが示されたと加えた。

Web3の未来への展望

オードリー・タン氏は、最近取り組んでいるプロジェクトとして、分散型ソーシャルメディアのキュレーションエンジンを紹介した。このプロジェクトは、従来のソーシャルメディアプラットフォームの制約を超え、推奨エンジンを活用して多様なコンテンツを集約することを目的としている。

分散型プラットフォームであるFarcasterやMastodonといった、各コミュニティに特化したプラットフォームをカバーし、ユーザーが効率的にコンテンツをキュレーションできる環境を提供。ユーザーは時間を浪費することなく、過度な依存を防ぐことが可能になるという。

これらのアイデアは、2024年に出版されたオードリー・タン氏の著書「Plurality: The Future of Collaborative Technology and Democracy」のメディアに関する章でも言及されている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08:00
S&Pグローバル、チェーンリンク経由でステーブルコイン評価を提供開始
S&Pグローバルがチェーンリンクと提携し、ステーブルコイン安定性評価をブロックチェーン上で提供すると発表した。格付け機関の評価がスマートコントラクトで直接利用可能になるのは業界初となる。
07:10
メタプラネットの企業価値、初めて保有ビットコインの価値を下回る
仮想通貨ビットコインの財務戦略企業メタプラネットは、mNAVが一時的に初めて1を下回った。これは、市場がメタプラネットを保有するビットコインの価値よりも低く評価していることを意味する。
07:00
ブータンが国民IDシステムをイーサリアムに導入、世界初の事例に
ブータンが国民デジタルIDプラットフォームをイーサリアムに統合し、人口規模のID管理システムを公開ブロックチェーンに接続した初の国となった。2026年第1四半期までに完全移行を予定している。
06:35
シティグループ、2026年に仮想通貨カストディサービス開始へ
米金融大手シティグループが2026年に仮想通貨カストディサービスを開始する計画。過去2~3年間開発を進め今後数四半期以内に市場投入する見込みだ。
06:15
金融庁、仮想通貨のインサイダー取引規制を導入へ=報道
金融庁が仮想通貨のインサイダー取引を禁じる規制を導入と日経が報道。未公開情報をもとにした売買を禁止し違反者に課徴金を課す金商法改正案を2026年国会に提出。
06:05
米下院議員、401k退職金制度への仮想通貨投資解禁法案を提出
米下院議員が401k退職金制度での仮想通貨投資を可能にする法案を提出と報じられた。トランプ大統領の大統領令を法制化し恒久的な措置を目的とする。
05:50
バイナンス、大規模ロスカットのユーザーに455億円相当救済金を配布
バイナンスが総額4億ドルの業界支援プログラム「Together Initiative」を開始。トランプ関税発表後の市場急落で清算被害を受けたユーザーに3億ドルを配布する。
05:35
米政府、2.1兆円相当ビットコインを押収申請
米司法省が過去最大となる127,271BTC(約2.1兆円相当)の民事没収訴訟を申し立て。米政府のビットコイン準備金は現在の価格で5.4兆円を超えた。
10/14 火曜日
18:47
Hyperliquidの大口投資家、トランプ一族との関与を否定 再びビットコインを大規模ショート
トランプ関税発表直前にビットコイン7億ドルをショートし約2億ドルの利益を得た大口投資家が、再び3億4千万ドル規模のBTCショートポジションを構築。インサイダー取引疑惑が浮上するも本人は否定。市場では1.3兆円規模の強制清算が発生し史上最大級の暴落に。
18:24
JPモルガンがビットコイン取引サービス参入へ カストディは外部委託で対応
JPモルガンのデジタル資産部門責任者が、顧客向けビットコイン取引サービスの提供を正式に確認した。カストディ業務は外部委託を検討し、コインベースとの提携も強化。大手金融機関の暗号資産市場参入が本格化する中、JPモルガンの戦略的アプローチとは。
18:04
シティバンク、2026年に仮想通貨カストディ事業参入へ
米大手金融機関シティバンクが2026年に暗号資産のカストディサービスを開始する計画を発表。ビットコインやイーサリアムなどを機関投資家向けに保管する。トランプ政権下での規制整備を背景に、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカとともにステーブルコイン事業への参入も本格検討中。ウォール街の暗号資産市場への本格進出が加速している。
18:00
「Bitcoin Core v30.0」リリース、データ制限の引き上げでコミュニティの意見が対立
ビットコインソフトのアップデートであるBitcoin Core v30.0が2025年10月12日にリリースされた。OP_RETURNの上限が80バイトから10万バイトへ大幅に引き上げられ、コミュニティで賛否が分かれている。ビットコイン本来の目的との整合性やノード運営リスクが議論されている。
17:26
欧州最大手アムンディ、ビットコインETN市場参入を準備
欧州最大の資産運用会社アムンディ(運用資産2.3兆ユーロ)が2026年初頭にビットコインETNを発行予定。MiCA施行で規制環境が整備される中、機関投資家の暗号資産投資が本格化。米国ブラックロックのIBIT(971億ドル)に続く動きとして注目される。
17:22
ハイパーリキッド、HIP-3実装で永久先物市場の自由構築が可能に
ハイパーリキッドがHIP-3を実装し、開発者が許可なしで独自の永久先物市場を構築することを可能にする。仮想通貨HYPEを一定以上ステーキングすることなどが条件だ。
16:56
コインチェックでIEO「Fanpla(FPL)」10月21日開始 音楽事務所10社以上が協力
音楽ファンクラブ大手Fanplus協業のIEO「Fanpla(FPL)」詳細。10月21日申込開始、11月11日上場予定。700超のファンクラブと400万人基盤という既存インフラを持つ点で過去IEO案件と一線を画す。コインチェック過去実績は抽選倍率24倍・最高23倍に急騰。投資判断に必要な情報を網羅。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧