CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨ビットコインキャッシュのハードフォーク、投資をする際の「4つの注意点」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインキャッシュのハッシュ戦争
ビットコインキャッシュはABC派とSV派で対立する状況が続いており、ハッシュパワーで覇権を争う「ハッシュ戦争」も状況は定まっていない。 本記事では、現在の状況と投資家の注意点をまとめた。

ビットコインキャッシュハードフォーク「4つの注意点」

日本時間11月16日1時40分頃に控える、ビットコインキャッシュのハードフォークにおいて、対立する「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」の2チェーンに分裂する可能性が生じている。

新通貨の付与といったプラス面ばかりが取り沙汰されがちだが、ここまで大規模な敵対的ハードフォークは仮想通貨史上でも類を見ないことから、不測の事態を招く可能性もあり、マイナス面にも留意したい。

そこで今回、ビットコインキャッシュのハードフォークにおいて、投資家が注意すべき「4つの注意点」をまとめた。

注意点1:ハッシュ戦争の行方

ビットコインキャッシュは、現在「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」、2つのプロトコルに分岐しているが、その後BCHがどのように推移していくのかは、定かではない。

ハードフォークをすることで、単純に2つの異なる通貨が存在すると考えられがちだが、今回のBCHハードフォークでは、分岐したチェーンを別々のものとしてはっきり区別することを可能にする「リプレイプロテクション」が双方のブロックチェーンには実装されていないため、一つのチェーンが勝ち残るための戦いに発展している。

このような戦いは「Hash War(ハッシュ戦争)」と呼ばれ、自身が支持するプロトコルのブロックにハッシュを集め、ブロックをより長く推し進めたチェーンが生き残り、メインチェーンとして認識される戦いであり、「この戦争の勝者となった方が、既存のビットコインキャッシュとして存続し、敗者となった方が消滅する」とされている。

ハッシュ戦争によるハッシュの集中化は、ビットコインのハッシュを集める事に繋がるため、双方のコミュニティは収益率がマイナスになっている状況での消耗戦に発展する可能性もある。

しかし、双方がハッシュ戦争を行なった場合も、各プロトコルのOPコードを含んだTXをマイニングし、他方のブロックを無効なブロックとして認識することで、分裂は免れないとの見方もあり、状況としては実際にその時になって見ないとわからないのが現状だ。

また、下の2点も双方のチェーンが継続して続く可能性がある例として挙がっている。

ハッシュ戦争が継続:ビットコインキャッシュは、マイニングの難易度調整アルゴリズム(DAA)を実装したため、ハッシュが大きく集中した状況だとしても、収益率への影響が軽減され、双方のブロックチェーンが継続して維持される可能性も指摘されている。

リプレイプロテクション実装:状況の悪化を懸念する動きとして、リプレイプロテクションを実装する緊急ハードフォークを行い互換性を伴わないブロックチェーンになり、双方のブロックチェーンが共に成り立つ可能性もあるだろう。

このように、状況こそ見定める必要がある状況で、本記事では、私たちが注意しておくべき点をまとめた。

BCH SVによる攻撃の可能性

その中でも、注目されているのが、Bitcoin Cash SVのアップデート内容である「32MBから128MB」へのブロック容量の拡張である。

「ビットコイン研究所ブログ」を運営する大石哲之氏は、今後、最大容量128MBのブロックに相当する規模の大量のスパム取引情報が流れた場合、BCH ABC側のノードは、その取引量を対処しきれずクラッシュしてしまう可能性があり、結果的にブロック容量が多く、その取引量を対処可能なBTC SVが生き残る攻撃も考えられると示唆した。

現状どちらが優勢なのか?

実際現在のハッシュレートの比率を見ていくと、BitcoinSV派のハッシュレートが重要点となる50%を上回っている状況にあることがデータサイトなどの情報から明らかになっている。

しかし、BitcoinとBitcoinCashは、共にアルゴリズム(SHA-256)を採用する通貨で、マイニング企業側は、収益に応じた採掘通貨の選択(スイッチ)が可能であるため、ジハン率いるbitmainやそのプールの状況を加味すると、直前まではわからないといっていいだろう。

Ayreグループを創業したCalvin Ayre氏も、自身のTwitter(@CalvinAyre)上で、BCH SVの方が、BCH ABCよりもハッシュパワーで優位性を持っていると記述するなど、SVのハッシュレート上昇は分裂通貨の先物取引価格にも影響する形で推移しているが、状況は最後まで見定める必要はある。

注意点2:当面の間は送金不能の可能性も

今回、「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」に分岐する可能性が取り沙汰されているが、双方に「リプレイプロテクション」が付いていないということは、分岐したチェーンを別物だと認識させる仕組みがないということであり、敵対的ハードフォークで強制的に分岐した場合、両方のチェーンがネットワーク上に混在することになる。

つまり、この問題が解消してからでないと、送金したコインが消滅するリスクや、BCHのティッカーシンボルがどちらに付くのかなどの問題で市場に混乱が生じるため、ビットコインキャッシュのハードフォーク後は価格が乱高下する可能性が高いものの、しばらくの間、送受信を行えないものと思われる。

また、ブロックチェーン上で稼働するわけではないため、直接的な対応ではないが、ABCノードに対応する取引所は状況を見定めるまで、多くは取引も停止する場合もある。(各取引所の対応方針参照)

特にBitcoin SVが優勢にある時は注意が必要であり、取引所やウォレットが現状BitcoinABCのクライアントを利用しているため、業界全体を通して混乱を招く可能性もあるだろう。

注意点3:日本特有の問題

根本的に日本の取引所は、「改正資金決済法」など法律上の問題で、金融庁のホワイトリストに登録されていない新規コインをすぐに上場させて取り扱うことができないという問題があるため、根本的に取引や取扱自体ができない可能性はあるだろう。

海外取引所のバイナンスでは、ハードフォークの対応を発表しているが、取引自体が行われたとしても、リプレイプロテクション実施までは、外部に動かすことができない点には注意が必要となりそうだ。

BCH(ビットコインキャッシュ)ハードフォーク:新通貨付与に関する「仮想通貨取引所」対応一覧表
11月16日未明に決行した仮想通貨ビットコインキャッシュのハードフォークでBitcoin ABCとBitcoin SV、2つのチェーンに分裂が生じた。国内外の取引所とウォレットサービスの対応方針を一覧表にまとめた。(随時更新予定)

また、仮想通貨ウォレットなどで新通貨が付与された場合も同じで、「残高の表示やコインの送受信」に関しては、新通貨専用で対応サービスを企業が発表した後でないと行うことが出来ない点には注意が必要であるため、単純に取引もできないウォレットでは、対応を待つ期間の資産が一定期間凍結する可能性もある。

例えば、仮想通貨ウォレットのYenomでは、ハードフォーク後の新通貨の開発状況(リプレイプロテクションの実装、独自のアドレスフォーマットの実装等)や、マイニング状況、価格状況を加味し、方針を決定するとしている。

このような観点からすると、新通貨付与と売買が目的がある場合、サポートが明確化されているバイナンスなどの海外取引所に預けておくか、ハードフォーク前に保有するBCHのポジションを解除して、状況を見極める動きも無難な選択肢だと言えるかもしれない。

そのほか、過去のブロックチェーンの全データを同期する大容量の「フルノードウォレット」を利用することも選択肢としてあるが、専門的なやり方(企業が提供するウォレットサービスではない)が必要なため、一般的にはおすすめできないだろう。

注意点4:BCH先物取引に関する当局の判断

ここ数週間にわたり、仮想通貨界隈を賑わせているビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォーク問題であるが、「Bitcoin Cash ABC」派と「Bitcoin Cash SV」派の論争は収束していない。

先日、Coinpostでも報道した通り、11月8日に仮想通貨取引所Poloniexは、今後予想されるBCHのハードフォークに伴って、Bitcoin Cash ABCおよびBitcoin Cash SVの事前フォーク先物取引を開始することを明らかにしていた。

仮想通貨取引所Poloniexがビットコインキャッシュ分裂通貨2種類の先物取引を公開|最新情報まとめ
仮想通貨取引所Poloniexが、日本時間16日未明に実施されるハードフォークに先駆け、BCHABCとBCHSVの先物取引を開始した。ハードフォークに関する最新情報もまとめて掲載。

そんな中、Bitcoin Cash SV派の中心人物であるCraig Wright氏(以下、CSW氏)が、自身のTwitter(@ProfFaustus)にて、以下のように主張した。

仮想通貨取引所Poloniexは、「ネイキッド・ショート」がアメリカで犯罪行為に当たると理解しているのか。

悲惨な結末を迎えてしまったら、弁護士と共に遺骨を拾ってあげよう。

ネイキッド・ショートとは
証券会社(取引所)から株(仮想通貨)を借りることなく、空売りをする手法。借り株を見つけ、貸し手と契約を締結したのちに実行する通常の空売りとは異なり、複数のトレーダーが価格操作等に利用される恐れから、日本では2008年10月より禁止になっている。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ネイキッドショートは、取引に裏付けられる「現物」が存在しておらず、確保されていないのにも関わらず行われる空売りのことを指しており、2008年の金融危機以降、アメリカ証券取引員会(SEC)によって禁止(日本の証券取引所でも2008年以降禁止)されている。

CSW氏は、Poloniexが開始した先物取引におけるフォーク前トークンは、ネイキッド・ショートに該当し、違法であると主張している。

CoinPostの関連記事

BCH(ビットコインキャッシュ)ハードフォーク:新通貨付与に関する「仮想通貨取引所」対応一覧表
11月16日未明に決行した仮想通貨ビットコインキャッシュのハードフォークでBitcoin ABCとBitcoin SV、2つのチェーンに分裂が生じた。国内外の取引所とウォレットサービスの対応方針を一覧表にまとめた。(随時更新予定)
仮想通貨取引所Poloniexがビットコインキャッシュ分裂通貨2種類の先物取引を公開|最新情報まとめ
仮想通貨取引所Poloniexが、日本時間16日未明に実施されるハードフォークに先駆け、BCHABCとBCHSVの先物取引を開始した。ハードフォークに関する最新情報もまとめて掲載。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア