
規則改正について議論
中国政府が違法取引から押収した仮想通貨の処分方法をめぐり、規制整備の必要性が高まっている。弁護士らによると、中国本土で取引が禁止されているビットコイン(BTC)などの仮想通貨の処理に関する明確な規則の欠如が、地方政府による一貫性のない不透明な対応を生み出し、犯罪者を助長したり汚職を促進したりする懸念を招いているという。この状況を受け、裁判官や警察、弁護士らは押収された資産の扱いを変える規則改正について議論を進めている。
ロイター通信が入手した裁判所文書によれば、中国の地方政府は景気減速で圧迫された財政を補うため、民間企業を通じて押収した仮想通貨を換金している。中南財経政法大学の陳教授は「このような処分は中国の仮想通貨取引禁止と完全に一致しない応急措置だ」と指摘し、事件数と金額の膨張に伴い、より良い監督体制が急務だと述べている。また、深センを拠点とする弁護士は、中国人民銀行(中央銀行)が押収した仮想通貨を海外で売却するか、トランプ米大統領の計画のように準備金として保有すべきだとの見解を示した。
仮想通貨関連の犯罪は中国で急増しており、ブロックチェーンセキュリティ企業SAFEISによると、2023年の関連犯罪の資金規模は前年比10倍の約590億ドルに達したという。また、最高検察院のデータでは昨年、仮想通貨関連のマネーロンダリングで3,032人が起訴されている。
中国の地方政府に仮想通貨関連の助言を行う弁護士は、押収された仮想通貨が一部の都市で地方財政の主要な収入源となっていると指摘する。ロイターが入手した文書によれば、深センを拠点とする技術企業「加分享(Jiafenxiang)」は2018年の設立以来、江蘇省の徐州市、華安市、泰州市など中国東部の地方政府に代わり、30億元(580億円)以上の仮想通貨を海外市場で売却してきた。売却で得た米ドルは地元銀行を通じて人民元に交換され、地方財政局の口座に送金されている。
ビットコイン投資会社Riverによると、2024年末時点で中国の地方政府は推定15,000ビットコインを保有しており、これは世界第14位の保有規模に相当する。
さらに、ブロックチェーンサービスプロバイダーのBit Jungleは、安全性を確保し、認可された海外取引所を通じて売却し、資本管理規則を遵守する限り、民間企業が地方政府の仮想通貨処分を支援することは合法だとしている。上海のランディング法律事務所の弁護士は「非常に収益性の高いビジネスであり、参入者が増えている」と指摘し、中国政府は仮想通貨の財産属性を明確化し、処分のための機関やシステムを設立し、第三者企業を審査すべきだと提案している。
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