
ソラナの高速化へ
Jump Cryptoで暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)のバリデータ・クライアント「ファイアダンサー」の開発を担当するチームは、ソラナブロックチェーンの速度をさらに速める提案(SIMD-0370)を行なった。
具体的には、ブロックごとに使用できる計算リソース(CU)の固定上限を撤廃し、より速く処理できるノードがより大きなブロックを生成できるようにすることで、ネットワークの処理能力を向上させるという提案。なお、この提案が承認された場合、実際に導入されるのは大型アップグレード「アルペングロー(Alpenglow)」の実施後になるとした。
Jump Cryptoのチームが今回の提案を作成したのは今月24日。その後、アルペングローの提案を行なったAnzaが内容をXで解説したり、海外メディアが報じたりして、現在注目を集めている。
提案の背景にあるのは、ソラナブロックチェーンの能力が現在、ネットワークのハードウェア能力ではなくCUの上限によって決定していること。ハードウェアの能力に関わらず現在は同じCUでブロックが生成されており、この制限を撤廃することで処理能力を高めるというのが今回の提案だ。
アルペングローの後に行う必要がある理由は、アルペングローによって、バリデータが一定時間内(スロットタイム)に実行できないブロックに対しスキップ投票(SkipVote)を行うようになるため。これでブロック生成者が可能な限り多くのトランザクションをブロックに含められるようになり、CUの上限を撤廃することが合理的になる。
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この提案についてAnzaは、パフォーマンスのフライホイール(弾み車)を作り出すと評価。ブロック生成者はより多くのトランザクションをブロックに入れて、より多くの手数料収入を獲得できるようになるとした。
そして、ブロックをスキップするバリデータは報酬が減少することになるとも指摘し、ハードウェアをアップグレードしたり、コードを最適化したりする必要が生じると述べている。
なお、提案における議論では、ネットワークの集権化が進む可能性があることを懸念する声も上がった。ハードウェアをアップグレードできないバリデータが強制的にネットワークを退出せざるをえなくなるのではないかとの指摘があるため、今後も議論が行われていくとみられる。
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