CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨法規制、州派と連邦機関派の専門家が議論|マサチューセッツ工科大学イベント発表

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨法規制、州派と連邦機関派の専門家が議論
米国マサチューセッツ工科大学のBusiness Of Blockchainイベントにて、3人の仮想通貨専門家が米国のデジタル資産に対する法規制について、州と連邦機関どちらの管轄であるべきかなのか、熱く議論を繰り広げた。

仮想通貨法規制、州派と連邦機関派の専門家が議論

米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のBusiness Of Blockchainイベントでは、様々な視点からビジネスとブロックチェーンの交わりについて意見が交わされた。その中でも3人の仮想通貨専門家が、米国でのデジタル資産に対する法規制について、登壇し意見を発表した。

ワイオミング州ブロックチェーン連合の理事長であるCaitlin Long氏は、2012年から22年に渡り金融機関に従事したウォールストリートのベテランで、特にビットコインとブロックチェーンの領域で活躍している。2018年と2019年にワイオミング州ワイオミング州が13のブロックチェーンに関する規制法案を制定するのを手助けし、米国内のブロックチェーン関連企業にとって、ワイオミング州を理想的な場所にするための活動を行ってきた。

始めにCaitlin Long氏は、米国はブロックチェーン技術を迎い入れる準備、特に法的な環境が全く整っていないと指摘。また、デジタル資産は財産であるため、州レベルで規制されるべきであるというアプローチをとっていると説明した。

州は財産法を管理する。商法もまた、州が管理する。連邦機関が管理するのは、証券取引法だ。

同氏はさらに、これらの法は仮想通貨に適用される重要な事実として、それぞれの明確に再定義したワイオミング州を称賛。法規制はブロックチェーンの様な革新的なテクノロジーの成長を抑制するのではなく、助長するために存在できるのであると改めて再認識を促した。

連邦機関による派

一方、仮想通貨に対して異なる法規制のアプローチを取る専門家も、もちろん多く存在する。仮想通貨調査NPO団体のCoinCenterのリサーチディレクターであるPeter Van Valkenburgh氏は、州レベルでの規制に反対の考えを持っているという。

同氏は、州レベルの規制が企業や消費者にとって不便だと考えている。いくつかの州は過小保護である間、他の州では過保護であるなど、格差が生まれるからだ。

•発表内では実例を挙げて、

アラバマ州では5000ドルの国債を購入しないと、送金ライセンスを取得することができない。[…] 企業はアラバマ州の顧客のために、数百万ドルを処理することができ、またこの5000ドルの債券が管理上の最低限のリスクヘッジ手段となっている。

と、既に規制のアプローチに地域差が出ている状況を指摘した。実際に、州レベルの規制を求めるCaitlin Long氏の故郷でもあるワイオミング州は、伝統的に低税、低規制の法律を採用している。仮想通貨やブロックチェーンに友好的なのは、昔からの州の特色が反映されているからだと言える。

米国商品先物取引委員会(CFTC)の元会長で、現在はMITの講師であるGary Gensler氏も、特に仮想通貨取引所への規制を強調して、連邦機関による管理を支持している。

1つは、我々は仮想通貨取引所において、投資家を保護する必要がある。そして2つは、マネーロンダリング対策目的で、現在米国内の仮想通貨取引所は、各州の最小限度額を超えて送金している場合、すべての州で金融機関として登録することを要求されている。それは50以上の異なる管轄区域で、手続きをする必要があるということだ。

と、その理由を説明した。連邦機関による法規制を求める派は、全米で統一されたルールを求めることによって、業界の規制を簡略化させたいようだ。多大な可能性を秘めたブロックチェーン技術の抑制をするべき、という考えではない様子である。

実際に、既存のPaypalなどの米国内大手送金事業は、法規制に対し抵抗がない。この事実を指摘された際にCaitlin Long氏は、

仮想通貨取引所は、ドルが相手ではない。

と、従来の送金企業は比較対象にならないと断言し、州の特性を出した法規制の有効性を推進した。

仮想通貨が州レベルで規制されるべきか、または連邦機関の管理下にあるべきかという問いには、仮想通貨及びデジタル資産を「有価証券」として定義するのか、という点を考慮して答えなければいけない。

先日、仮想通貨を有価証券ではなく「デジタルトークン」として位置付ける法案「トークン分類法」が米議会に再提出された。これが実現すれば、米連邦機関が厳守する従来の証券取引法が完全には適用されないため、緩和された法規制が施されることになるだろう。一方で、今度は「デジタルトークン」の定義が曖昧なため、どのような法規制を適用させるべきか、更に判断が難しくなっている現実もある。日本では、今年3月に仮想通貨に関して「金融商品取引法」と「資金決済法」の改正案が決定され、ICOの一部や仮想通貨を使った金融派生商品(デリバティブ)については、金商法で規制する方針となった。しかし、施行の予定は今年の6月あたりとなっており、実際の効力は未だ明確ではない。米国でこそ、活発に法規制について議論されているが、日本もまた仮想通貨に対する規制について、多くの課題が残っているのである。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

米ワイオミング州、仮想通貨を分類する法案が法律へ|3月1日より実施
米ワイオミング州は、仮想通貨・ブロックチェーン関連技術を積極的に推進していることで注目を浴びている中、先日提出されたデジタル・アセットの法的定義・分類を明文化する法案が、議会による投票で可決され正式に法律となり、3月1日より有効となる。
仮想通貨ADAの技術開発機関「IOHK社」、香港から米ワイオミング州に移転|新知事もブロックチェーン技術を歓迎
カルダノ機関のIOHK社 ワイオミング州に移転。新知事もブロックチェーン技術を歓迎 ...
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者10,000名突破。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/23 火曜日
19:00
メゾンマルジェラ MetaTABI NFT発売
メゾンマルジェラがMetaTABI NFTを一般販売開始。デジタル専用設計のタビシューズはThe Fabricantとのコラボで、限定版タビブーツとレザーウォレットが付属。今後のWeb3ブランドイベントにも参加可能。
18:00
ライフカードVプリカ 仮想通貨で購入可能に
ライフカードが暗号資産(仮想通貨)決済サービス事業者Slash Fintechと提携。2024年5月15日から「Slash Vプリカ SHOP」でステーブルコイン等を使ったVプリカギフトの販売を開始する。インターネットショッピングやオンラインゲーム等、デジタルサービスでのプリペイド決済が拡大する見込み。
14:00
ベネズエラ、石油取引で仮想通貨使用を加速か
ベネズエラの国営石油会社PDVSAは原油と燃料の輸出において、暗号資産(仮想通貨)の利用を増やす計画だ。背景には米国による制裁再発動がある。
13:00
SEC弁護士2名が辞任、「重大な権力乱用」と非難受け 
米仮想通貨企業Debt Boxに対する訴訟において、連邦地裁が「重大な権力乱用」を理由に米国証券取引委員会に制裁を課したことを受け、同委員会の担当弁護士2名が辞任したことがわかった。
12:00
「スイス中銀はビットコインを準備資産に持つべき」2B4CHが提唱
スイスの仮想通貨擁護団体「2B4CH」は、スイス国立銀行がビットコインを準備金として持つことを提唱している。国民投票を目指す計画だ。
11:00
米大統領候補ケネディJr氏、ブロックチェーンによる国家予算監督を提唱
米大統領選候補のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は21日、米国の国家予算をブロックチェーンに記録して透明性を高めるという考えを披露した。
10:12
NY証券取引所、取引時間の延伸を検討か
仮想通貨と同様に株式等を24時間取引できるようにすることのメリットなどを、ニューヨーク証券取引所が市場参加者に調査していることがわかった。調査の概要が明らかになっている。
09:25
Xverseウォレット、ビットコインRunes機能対応
XverseはOKXのOrdinalsマーケットプレイスや、Magic EdenのビットコインNFT電子市場で利用可能だ。ライバルの仮想通貨ビットコイン専用ウォレット「UniSat」もRunesに対応済み。
08:00
FTX、ロックされたソラナを個人投資家参加のオークションに
FTXは4月上旬ロックされたSOLを清算するために、高割引として、2,500万~3,000万の仮想通貨SOLを約19億ドル相当で売却。これは、1トークン=64ドルの安値だったが、当時の価格は約175ドルだった。
07:15
スクエニ「シンビオジェネシス」、世界展開をアニモカJPが支援
スクエニのNFTコレクティブルアートプロジェクト「シンビオジェネシス」の世界展開を支援するとアニモカブランズジャパンが発表。400社超のWeb3企業に投資するアニモカブランズのネットワークも活用する。
06:45
Magic Eden、ビットコインのミームコイン規格Runesに対応
Runesはビットコインの4度目の半減期が発動した4月20日にローンチされたビットコインメインネット上で代替可能な新規ミームコインを発行するプロトコルで、既存のBRC20トークン規格の改善版に当たる。
05:55
コインベース、AI・ゲーミング仮想通貨銘柄新規上場
KARRATプロトコルは、仮想通貨KARRATによってサポートされた分散型ゲームインフラストラクチャレイヤーで、ゲーム、エンターテインメント、AI主導の体験進化を加速させることを目的としている。
04/22 月曜日
14:47
ビットコインの新規格「Runes」、半減期後の需要殺到でBTC取引手数料が急騰
半減期直後の仮想通貨ビットコインにおいて、新規格「Runes(ルーン)」の影響が大きな反響を呼んだ。Ordinals(オーディナル)」開発者であるCasey Rodarmor氏が生み出したものであり、そのメリットに焦点が当たっている。
14:16
米ブロック社支援のマイニング企業Gridless、ケニアで再生エネルギーの利用促進
仮想通貨マイニング企業Gridlessは、アフリカ各国で太陽光や地熱を利用してBTCマイニングを行っている。地域の電力網にも貢献する仕組みだ。
12:20
マウントゴックス弁済巡る思惑強まる、公式サイトで日本円などの支払いオプション提示か
破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスは、債権者への仮想通貨弁済について詳細を記した表を更新した.。返還金の売り圧も懸念されているところだ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧