ブロックチェーン業界を牽引する中国
昨今、中国政府のブロックチェーンに関する発言に注目が集まっております。今回は中国情勢について中華圏ベースの海外取引所KuCoinの共同創業者であるジョニー氏に話を伺いました。
中国政府もさらにブロックチェーン技術を生かした政策を始めています。現状の中国情勢について教えて頂けますでしょうか?
ジョニー:
2018~2019年に遡ると、中国はこの業界へのイノベーション貢献が最も大きかった国と言えるでしょう。中国は仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーン業界の始祖である欧米とは異なる形で発展してきました。BTCが発明された当時、ブロックチェーンはテクノロジーを中心に研究されてきました。欧米から世界中に広まり技術者達は様々な研究をしましたが、ビジネスへの応用は見られませんでした。
一方、中国ではこの二年間で技術をビジネスや生活に取り入れるよう努力をしてきました。
現在、世界でキャッシュレスペイメントが多く使われているが国が中国です。WeChat PayとAliPayはみなさん知っているかと思います。
ブロックチェーンが用いられる安全な送金方法は、中国で最も早く発展し、広く普及すると考えています。実際に中国の習主席がブロックチェーン技術を積極的に発展させていくと発言した翌日、DCEPというステーブルコインが国家中央銀行によって発行されました。今後のDCEPは世界的に注目されると思います。
中国を中心にビジネスモデルが多様化
既存のビジネスモデルからどのような変化がございましたか?
ジョニー氏:
ビジネスモデルの進化について、どのようなイノベーションが起きたかご説明します。 まず、資金調達に関してです。初期の段階で、代表的な資金調達方法はICOです。当時は多くのプロジェクトが人気を集めていました。特にETHには最も人気・注目が集まりました。 その後IEOなどの様々な資金調達方法へと発展しています。
トークンの経済モデルについて言えば、最初のチームリザーブという形から、後のコミュニティトークンのようなリザーブをしない形へと変わっていきました。またトークンバーンやステーキングなどのコンセプトも出てきて、トークンに対する見方もどんどん進化しています。
市場全体に関して言えば、市場全体、慎重になり、リスクマネジメントが厳しく見られるようになりました。ブロックチェーン業界は、今や中国で最も変化が起き、中国が最も進んでいると感じています。ビジネスモデルの進化においても、企業のニーズや変化を捉え、世界をリードしていると言えるでしょう。
トークン開発に政府との関わりが必要不可欠
取引所として中国政府の方々とお話はされますか?
ジョニー氏:
はい、我々取引所は中国のみならず、各国の政府の方々とお話しをします。
業界の法整備を整えていただき、法整備ができている国の企業と話し合い、ビジネスを生み出したいと考えているからです。世界中でこの業界の法律が完備される日がいつか必ず来ると思っています。その流れの中で、中国政府がブロックチェーン技術を受け入れる日が早期に来たと捉えています。我々もこの良い流れを更に加速させるために政府と話し合い、積極的に協力していきます。
デジタル人民元が世界経済に与える今後の影響は?
デジタル人民元DCEPが使われることによる、この業界に与える影響は?
ジョニー氏:
DCEPの発行は必ずこのマーケットに良い影響を与えると思います。ブロックチェーン技術が国の経済的コアの部分に運用されているからです。
「アメリカがこのままリブラを認めなければ、中国に追いつかれる」とFaceBookのMark Zuckerbergが発言していましたが、中国は世間に発表していなかっただけで、ずっと以前からブロックチェーンの開発に着手していました。
DCEPとリブラの類似点
リブラであったり、FaceBook Payに対して、中国政府はどう見ているとお考えですか?
ジョニー氏:
DCEPのコンセプトはリブラと近いと考えています。国一つで仮想通貨の価格をコントロールするのではなく、数多くの国でステーブルコインのシステムを形成していきます。
先進的な考え方を持っていれば、結局同じような所にたどり着くのではないでしょうか。ただし、経済安全を守るため、どのように監査が入るとか、各国それぞれの違いはあるかと思います。