進む仮想通貨決済導入とリスク
世界最大の動力・石油化学関連装置および製造機器等の検査・保険会社「HSB Group, Inc.(HSB)」は、米国内の仮想通貨の普及状況に関する調査を実施。米国にある中小企業のうち、1/3が仮想通貨決済を受け入れていたことがわかった。
HSBによる米国内での調査はZogby Analytics社により執り行われ、仮想通貨決済を受け入れている中小企業が全体の36%にのぼることが判明。また、全体の59%がそれ以外の目的で仮想通貨を購入していたことも分かっている。
それら中小企業のうちの47%は、創業から5年以内の会社で、20年以上運営されている企業は全体の21%に留まった。
同調査では、仮想通貨決済を利用することにより、手数料の削減や迅速な決済などが可能になるなどの利点に触れた上で、中小企業が仮想通貨決済を扱うことには警鐘を鳴らしている。
HSBのサイバーセキュリティに関する保険部署を担当するTimothy Zeilmanによれば、仮想通貨取引所をねらったハッキングや、普段使用するパソコンへの攻撃など、詐欺や窃盗被害へのリスクの高さは非常に高いという。
過去に取引所がハッキング被害に合う事例は多発しているが、そうした被害に中小企業が巻き込まれた場合、被害額に耐えられず廃業に追い込まれるケースも十分に考えられるとのことだ。
仮想通貨取引所は、既存の銀行システムをくぐり抜けることを可能にするだけでなく、規制も十分に行き届いておらず、仮想通貨は世界中で取引が可能となる。そのため世界中のハッカーは、その脆弱性に目を凝らしている状況にあるという。
そうした理由から攻撃手法も多く編み出され、攻撃手法もマルウェアの利用やフィッシング詐欺など多岐にわたり、セキュリティが甘い傾向にある中小企業が標的になるケースも少なくない。
Zeilman氏は、仮想通貨決済を導入する前に、十分なセキュリティ対策が講じられていることを確認するべきだと話し、金銭被害などを防ぐよう注意喚起を行なっている。