はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

純資産増加ペースが4年前のビットコイン半減期前に類似=Grayscale仮想通貨投資信託

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
https://coinpost.jp/wp-admin/options-permalink.php

Grayscaleの純資産増加ペースが過去の半減期前に類似

ビットコイン(BTC)は来月に半減期を控え、投資家の関心が急速に高まっている。

Google Trendsのデータからは、「Bitcoin halving(BTC半減期)」というワードの検索数が4月以降急増し、2016年の半減期前と似たような状況になっている。

2020年のBTC半減期後のBTC価格の行方については、過去2回の半減期後の歴史的な価格上昇の経験から上昇を期待する意見がある一方で、半減期の影響は、すでに価格に織り込まれているという見方もある。

いずれにせよ、2020年の半減期の影響を予想するためには、過去の半減期前後のBTCの投資環境の変化を様々な視点から振り返ることが重要だ。

今回は、仮想通貨投信大手のGrayscaleのレポートをもとに、2016年の半減期前後と現在の資金流入状況を比較する。

Grayscale仮想通貨投信の特徴

Grayscaleは米国を拠点とする大手仮想通貨資産運用会社だ。

同社が手がける仮想通貨関連の投資信託への流入額は、2020年第1四半期に5億370万ドル(約544億円)に達した。中でも1番人気が高いビットコイン投資信託(GBTC)への流入額は3億8890万ドル(約420億円)超に上った。

多様な投資戦略を駆使する機関投資家が顧客

Grayscale投資信託は機関投資家比率が高いことが特徴的だ。2020年第1四半期の機関投資家比率は88%と、過去1年間の平均値(79%)も上回る。

高水準の機関投資家比率について、同社取締役のMichael Sonnenshein氏は、「市場の傍観者と思われがちな従来のファンドや投資家が成長の大部分を牽引している」と説明する。

また、2020年第1四半期のGrayscaleの顧客のうち57%を米国外の投資家が占めており、近年同社の顧客層がグローバルに拡大していることがわかる。

さらに、同社顧客のうち仮想通貨ヘッジファンドの割合は約11%に過ぎず、伝統的なグローバルマクロ戦略に基づくファンドも一定数存在する。

これについてSonnenshein氏は、「機関投資家はデジタル資産が法定通貨の保管的な役割を担うと考えていたり、世界中の政治経済の混乱を全て考慮したうえでデジタル資産に注目している」と分析する。

したがって、Grayscaleの仮想通貨投資信託への資金流入を観察すれば、グローバル・多様な資産クラスを考慮する機関投資家の動向がうかがえる。

過去の半減期前後のBTC投信流入額の推移

過去の半減期前後でのGrayscale投信への資金流入額の増加ペースからは、特徴的な傾向が観察される。

以下のグラフは、Grayscale投信の年間の純資産増加額の推移を対数表示したものだ。グラフの傾きが横ばいの場合、純資産の増加額が一定であることを意味する。

2016年7月の半減期前年の2015年はこの純資産増加額のペースが伸び悩んだ年だった。この値は半減期約14か月前の2015年5月に底を打ち、上昇に転じた。2016年の半減期後には投信への資金流入とBTC価格の高騰が相まって、純資産の増加ペースが加速した。BTC価格は半減期後1年で約3倍に上昇した。

今回の半減期でも、Grayscale投信の純資産増加ペースは過去の半減期と似たような傾向を示している。

Grayscale投信の純資産増加ペースが逓減した2019年の状況は2015年と似ている。今後大きな価格下落や資金流出がなければ、純資産増加ペースの伸びは半減期約14か月前の2019年初旬に底打ちしたことになる。

2016年の半減期と同様に、2020年の半減期後にもGrayscale投信への資金流入ペースが加速するかどうかが今後注目すべき点だ。

過去の半減期との投資環境の違い

一方、過去の半減期と2020年の半減期とでは、投資環境に違いがあることも留意しなければならない。Grayscaleは以下の3点について言及している:

●規制の整備

2016年の半減期後には、BTCの先物・オプション市場が拡大した。2017年12月にはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)やシカゴ・オプション取引所(CBOE)がBTC先物を開始。BTCへの投資手段を広げた。最近では、伝統的な金融機関の参入も目立ってきている。

●投資家の認知度

ブロックチェーン企業Crypt.comが2020年2月に行った調査では、調査回答者のうち「半減期を知っている」と回答した人の割合が72%に上った。

実際に、Grayscaleの過去のレポートでは、2016年の半減期以前に開設されたウォレットが保有するBTCは全体の32%未満であり、大半のユーザーが過去の半減期を経験していないことが指摘されている。

投資家の認知度が高ければ、投資家は半減期の影響をすでに織り込んでいる可能性がある。その場合、2020年の半減期がBTC価格に与える影響は限定的だ。

参考:世界の仮想通貨投資家、実際「ビットコイン半減期」を材料視しているのか?

●コロナウイルス

コロナウイルス感染拡大による相場環境の変化は、BTCにとって追い風にも向かい風にもなる。

相場の暴落によって株式や債券などの伝統的な資産クラスの価値が毀損すれば、投資家は仮想通貨などの資産クラスから資金を引き揚げるかもしれない。

一方で、BTCと株式には歴史的に負の相関がある。BTCが金(ゴールド)と同じように安全資産として認識されれば、相場暴落時に伝統的な資産クラスからさらなる資金流入が期待できる。

まとめ

Grayscaleの仮想通貨投資信託の主な顧客は、ヘッジファンドなどの機関投資家だ。これらの機関投資家はグローバル・多様な資産クラスに投資をするため、同投資信託の純資産額の推移は、あらゆる資産クラスにおける仮想通貨のポジションを確認するための指標として有効だ。

直近のGrayscale仮想通貨投資信託の純資産額の増加ペースは、2016年の半減期前の状況に類似している。2016年の半減期後には同投資信託への資金流入ペースが加速すると同時にBTC価格が1年で約3倍に上昇した。したがって、2020年の半減期後にも同様の現象が観察されるかが今後注目される。

ただし、2016年と現在とでは半減期の認知度、規制の整備度合い、相場環境などが異なっており、2020年の半減期の影響を予測するうえで単純に比較できない点があるということにも留意しなければならない。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/26 水曜日
15:35
ロビンフッド、予測市場向けデリバティブ取引所を新設 2026年運営開始
ロビンフッドがサスケハナと提携し、CFTC認可の先物取引所を買収。予測市場事業を強化し、2026年の独自取引所運営を目指す。市場規模は2035年までに955億ドルに達する見込み。
14:50
日本の暗号資産規制、具体的な方向性は?──金融審議会WG
金融審議会WGが暗号資産規制の報告書案を取りまとめ。資金決済法から金商法へ移管し、インサイダー取引規制や課徴金制度を新設する。銀行子会社の参入も解禁。座長は「お墨付きを与えるものではない」と強調した。
14:12
仮想通貨企業のベンチャー投資、価格上昇でも活動は低調=レポート
仮想通貨金融大手ギャラクシーデジタルは、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
13:35
F・テンプルトン、ソラナETFの最終上場手続きを完了 まもなく取引開始へ
運用資産255兆円を誇るフランクリン・テンプルトンがソラナETFのForm 8-Aを提出。取引開始が目前に迫る中、既存のソラナETFは20日連続で純流入を記録し、累計858億円の資金が流入している。
13:10
米CFTC、民間企業CEOにイノベーション評議会への参加を呼びかけ 仮想通貨にも対処 
米CFTCのファム代理委員長が「CEOイノベーション・カウンシル」参加者の候補者推薦を呼びかけた。仮想通貨や予測市場の規制策定に向け、業界リーダーを募集している。
11:15
VanEck、BNB現物ETFのステーキング計画を撤回 方針転換に
VanEckが米SECに提出したBNB現物ETFの修正届出書で、当初予定していたステーキング機能を撤回。BNBの有価証券分類をめぐる規制リスクが背景にあるとみられる。
11:05
米上場のリライアンス社、デジタル資産トレジャリーをジーキャッシュ(ZEC)に一本化
ナスダック上場のリライアンス・グローバル・グループがデジタル資産トレジャリーを仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)に統合した。プライバシー機能を持つ仮想通貨への需要が高まる中、サイファーパンク・テクノロジーズも追加購入を発表している。
10:25
予測市場ポリマーケット、CFTC承認受け米国市場に正式復帰
予測市場大手ポリマーケットが米CFTCの承認を受け、3年ぶりに米国市場に正式復帰。2022年の罰金処分後、QCX買収とICEからの投資を経て、完全規制下での事業再開へ。
10:10
スタンダードチャータード銀行、21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定
スタンダードチャータード銀行が21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定された。機関投資家の需要に対応し安全な保管サービスを提供。様々な仮想通貨企業とも提携を進めている。
10:05
「仮想通貨交換業者の販売所誘導に懸念の声」金融庁の作業部会
金融庁は、仮想通貨制度に関する作業部会の報告書案を公開。報告書案には、仮想通貨交換業者の販売所誘導に対する懸念が指摘されているとも記載されている。
07:35
仮想通貨支持派のホワイトハウス経済顧問ハセット氏、次期FRB議長の最有力候補に浮上
ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット委員長が次期FRB議長の最有力候補として浮上。トランプ大統領の信頼が厚く金利引き下げ方針に賛同する人物で、デジタル資産市場作業部会で中心的役割を果たしコインベース株も保有。
06:58
米銀大手USバンコープ、ステラで独自ステーブルコインをテスト
米国第5位の銀行USバンコープがステラブロックチェーン上で独自のステーブルコインをテストしている。資産凍結機能などのセキュリティを評価し、バンク・オブ・アメリカやシティに続いてデジタル資産への取り組みを拡大。
06:40
メタプラネット、ビットコイン担保に約200億円を借入れ
メタプラネットは、約203億円の借入れを行ったことを発表。調達した資金は、ビットコインの追加取得やビットコインインカム事業、市場環境に応じては自己株式の取得に充当する予定だと説明した。
06:30
ビットワイズのドージコインETFも承認、水曜日にも取引開始見込み
ニューヨーク証券取引所がビットワイズのドージコインETFの上場を承認した。水曜日にも取引が開始される見込みで、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
06:15
JPモルガン、高リスクのビットコインETF連動仕組債を提案
JPモルガンがブラックロックのビットコインETFに連動する仕組債を提案した。1年後に16%の固定リターンを保証し、2028年には投資額の1.5倍を上限なく受け取れる設計だが、30%超の下落時は損失を全額負担する高リスク商品となる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧