CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムのステーキングは高利回り?株式配当と比較したリスク・リターンを独自考察

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

高利回り・高リスクのETHステーキング

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)では現在、コンセンサスアルゴリズムをPoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)に移行するための検証作業が進められている。

PoSでは、一定量のトークンをステークさせる(掛け金を拠出する)ことでトランザクションの検証を行う。承認のために高度な処理能力を有する専用のマシンを必要としないため、一定のETHを保有している個人がトランザクション承認によって利益を獲得することが期待されている。

PoS移行後のステーキング報酬については、年間数%の利回りが得られるような報酬設計が提案されている。これによって、ETH保有者は株式の配当(優待)のようなインカムゲインを得ることができるようになる。

しかしながら、ETHステーキングには特有リスクも存在する。そこでこの記事では、ETHステーキングの利回りとリスクを確認し、株式のそれと比較する。

ETHステーキングの利回り

現在提案されているETHステーキングの報酬設計では、ユーザーは最低32ETH(1ETH=25,000円換算で80万円相当)をロックアップすることでステーキングに参加できる。ステーキングされているETHの総量やオンラインでトランザクションを処理しているユーザーの割合に応じて変化する。

暗号資産データ分析会社のArcane Researchの調査によると、6月時点で32ETH以上を保有するETHウォレットの数は、約12万に上る。

さらに、ConsenSysが5月に実施した調査では、約66%のETH保有者がPoS実装後にステーキングをする予定だと回答している。

これらのデータからステーキングされるETHの総量を概算し、これを今年4月にリリースされたETHステーキングの計算機に代入してETHステーキング報酬を算出すると、以下のようになった。

  
ステーク量 ETH報酬(日本円表記)累積リターン(%)
0 32.00 (¥817,199)
1 35.01 (¥894,321) 3.0199 (¥77,122) 9.44%
2 38.32 (¥978,721) 3.3049 (¥84,400) 19.77%
3 41.94 (¥1,071,085) 3.6168 (¥92,365) 31.07%
4 45.89 (¥1,172,167) 3.9581 (¥101,082) 43.44%
5 50.23 (¥1,282,788) 4.3317 (¥110,621) 56.97%

(ステーキングされているETH総量=32ETH×120,000×66%=2,560,000ETH、ETH価格=¥25537.48で計算)

ETHステーキングのリスク

現在提案されているETHのステーキング報酬の下では、年間9.4%と株式配当利回りに比べて高い利回りが得られる計算だ。しかしながら、ETHステーキングの際には、特有のリスクも考慮する必要がある。

ETH価格変動

ETHステーキングのリスクの大半は、ETHの価格変動だ。

ETH価格が現時点の水準で推移した場合、初期投資額の32ETHを回収するのには約10年かかる。これに対して、ETH価格が3月の年初来安値の水準(約8550円)まで下落すると、その回収期間は約30年に増加することになる。一方、2018年1月の史上最高値の水準まで価格が高騰すれば、2年足らずで投資分を回収できる。

ステーキング参加者の増加

現在提案されているステーキング制度では、ステーキング参加者数に応じてその報酬が変化する。

暗号資産データ分析会社のArcane Researchの調査によると、ステーキングに必要な最低額である32ETH以上を保有するウォレット数は近年、年率13%のペースで増加している。

32ETH以上を保有する潜在的なステーキングノードが増加すれば、期待されるステーキング利回りは悪化することになる。

もしETHステーキングが実装されるまでに潜在的なステーキングノードがさらに13%増加した場合、期待されるステーキング利回りは現在の9.44%から8.3%まで低下する。

ただし、ステーキング参加者数の増加は、ETH価格の変動に比べると、影響力が小さいリスク要因だ。ステーキング参加者数が現在仮定している水準よりも50%増加した場合であっても、ステーキング利回りは年率6.3%となる。

株式とETHステーキングのリスク・リターン

現在提案されているステーキング報酬に基づいて計算すると、ETHステーキングの利回りは、高配当株の配当利回りを大きく上回っている。

例えば、(1489)日経高配当株50ETFの6月時点の配当利回りは、約4.7%とETHステーキング利回りの半分の水準にすぎない。

一方で、ETHステーキングには特有のリスクが存在する。

第一に、ETHステーキングの収益性はETHの価格変動に大きく依存している。過去3年間のETH価格は最安値から最高値まで約17倍の開きがあり、これによって初期投資額の回収期間に2〜30年という非常に大きな幅ができる。それに対して、(1489)日経高配当株50ETFの基準価格は最安値水準から最高値水準まで約1.8倍と変動幅が小さい。

また、ステーキング参加者数の増加という特有のリスクも存在する。近年の傾向が続くならば、ETHのステーキング参加者数は年間約13%増加し、ステーキング報酬が約10%減少すると予想される。それに対して、(1489)日経高配当株50ETFの配当額は、過去3年間で年率5%ほど増加している。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
14:40
バイナンスのWeb3起業家コンテスト、「zkPass」が優勝
大手仮想通貨取引所バイナンスは、メタバースで開催したWeb3起業家コンテスト「Build The Block」の優勝者を発表。ゼロ知識証明を開発する「zkPass」が助成金を勝ち取った。
12:39
露大手銀行ロスバンク、仮想通貨を利用したクロスボーダー決済サービスの提供開始=報道
ロシアの大手銀行ロスバンクは、同国の主要銀行として初めて、仮想通貨を利用したクロスボーダー決済システムの運用を開始した。同行はすでに企業及び個人の顧客との取引を試験的に行なっているという。ロシアのビジネス紙「Vedomosti」が報道した。
12:01
三菱UFJ信託銀行ら3社、ステーブルコインのクロスチェーン基盤構築へ
三菱UFJ信託銀行は2日、DatachainおよびTOKIと提携して、ステーブルコインのクロスチェーンインフラを構築していくと発表した。「Progmat Coin」を利用するトークンを対象とする。
11:58
ビットコインのボラティリティ、30日間変動率が過去最低水準に
米債務上限問題をめぐるデフォルト回避や利上げ停止観測で米株指数や日経平均株価が上昇する中、ビットコイン価格は今ひとつ冴えない。ボラティリティの30日間変動率は過去最低水準まで低下した。
06/04 日曜日
11:30
センチメント悪化でビットコイン下落、米ファンダ背景とした下げ止まりに期待|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリストが、センチメント悪化で370万円付近まで下落した今週のビットコイン相場を解説。米ファンダメンタルズ好転で来週シナリオに楽観的な見方も。ビットコインチャートを図解し今後の展望を読み解く。ビットコイン・オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊ニュース|JPモルガンのBTC価格分析に注目集まる
今週は、JPモルガンのアナリストによるビットコイン価格分析について書いた記事が最も多く読まれた。このほか、国内仮想通貨取引所のトラベルルール対応など、一週間分の情報をお届けする。
06/03 土曜日
17:00
サンドウィッチ攻撃とMEVとは?
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム基盤の分散型取引所ユニスワップなどで猛威を振るい手数料高騰の要因となっているMEV。サンドウィッチ攻撃など、分散型取引市場の脅威について詳しく解説する
14:00
Uniswapの手数料分配案、合意に至らず
分散型取引所(DEX)Uniswapで、一定以上の取引量を処理する流動性プールに対し、手数料収益の分配先を変更し、コミュニティ全体に還元するという提案についての投票が終了した。
13:00
米Marathon、採掘ビットコイン量が前月比77%増加
ナスダック上場の米仮想通貨マイニング企業マラソン・デジタル・ホールディングスは最新の事業報告を発表。5月のビットコイン生産量はOrdinalsの台頭も背景に増加した。
12:00
米下院議員ら、仮想通貨規制を明確化する法案を発表
米下院の共和党幹部らは、ビットコインなど仮想通貨の規制に関する法律草案を発表した。証券とコモディティの区別など、仮想通貨規制の明確化を図る法案となる。
10:50
米コインベースデリバティブ、機関投資家向けにビットコイン等の先物取引を提供
米国のコインベースデリバティブエクスチェンジは、仮想通貨ビットコインとイーサリアムの先物取引を機関投資家向けに提供する計画を発表した。CMEによれば、22年は仮想通貨の先物・オプション取引の約33%が米国外で行われていたが、2023年には35%に上昇する傾向にある。
10:05
イーサリアム仮想マシン「Kakarot」、資金調達を完了
仮想通貨イーサリアムの仮想マシンKakarotを開発するプロジェクトは、プレシードラウンドの資金調達を完了。ヴィタリック・ブテリン氏や、L2プロジェクトStarkWareらが出資した。
08:40
米債務上限停止法案が大統領署名へ 米国株続伸
本日のNYダウは+701ドルと大幅に続伸。ナスダックも+139.7高で取引を終えた。米債務上限問題は法案が上院で可決されたことや強い雇用統計が好感された模様だ。
06/02 金曜日
15:59
札幌開催のWeb3カンファレンス「B Dash Crypto」、ピッチコンテストの結果は
Web3特化型カンファレンス「B Dash Crypto」が札幌で開催された。ピッチイベント「Crypto Arena」で優勝に輝いたのは、高速ブロックチェーンAptosとSuiで分散型取引所(DEX)アグリケーターとして機能する「Umi Protocol」だ。
13:13
オリーブオイル生産業者、DeFiプラットフォームでステーブルコイン建債券を発行
オリーブオイル生産業者ラマ・オリーブオイルは、分散型金融プラットフォーム「Obligate」を利用して、オンチェーン債券を発行した。この社債は、ユーロ連動のステーブルコイン「 EUROe」建で発行された。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧