イエレン氏を起用へ
米大統領選で勝利を確実にしている民主党ジョー・バイデン前副大統領が、次期財務長官にジャネット・イエレン米連邦準備理事会(FRB)前議長を任命すると報じられた。24日にも正式に発表するとみられる。
初の女性財務長官となるイエレン氏による、暗号資産(仮想通貨)へのスタンスは不明確だが、過去の発言ではビットコイン(BTC)に対して否定的な見方を示している。
イエレン氏は2018年、ビットコインを支持しない理由として、「価格変動の大きさ」「ハッキングによる不正流出懸念」など、投資家のリスクを挙げている。また決済手段として利用するには処理速度が遅いこと、マイニングで大量の電力を消費していることを指摘するなど、ビットコンなど仮想通貨の仕組みについて調査し、一定の知識があることを伺わせる。
同氏は、中銀発行のデジタル通貨(CBDC)についても、金融の安定性に悪影響を及ぼしかねないと懸念を表明しており、「テロ資金供与やマネーロンダリング、銀行秘密法への影響といった課題が再び巨大化することを意味する」と語るなど難色氏示している。
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財務長官に任命されれば、仮想通貨に関する規制も指揮していくことになることになる。米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、米通貨監督庁(OCC)、米内国歳入庁(IRS)らの機関が米財務省の管轄で、OCCは最近特に、仮想通貨業界に肯定的なルールを策定している。
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イエレン氏について
イエレン氏が米中銀のFRBで議長を務めたのは、2014年から2018年までの4年間。国内外の金融業界だけでなく、政界でも豊富な経験を持つという。
上院で起用が承認されれば、これからコロナ禍で経済のかじ取りを担うことになる。米議会の下院は民主党が多数党だが、上院は共和党が多数派を維持するとみられており、ねじれの状態が新議会でも続けば、予算でも財務長官は調整役を務めなくてはならない。
先月19日には『ブルームバーグテレビジョン』で、「コロナのパンデミックが依然として経済に重大な影響を及ぼしている間は、異例の財政支援を継続する必要があるが、それ以降も必要になると私は考えている」と語っている。
イエレン氏は政府による追加の緊急支出を支持していると伝えられていることから、今回の起用が報じられた後、S&P500種株価指数は1%弱上昇した。