仮想通貨市場とビットコイン
4日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は、前日比+2.1%の344万円(33,470ドル)と高値圏で推移する。
年初から過去最高値の3万ドルを超えて高騰し、一時34,500ドルを付けるも、その後乱高下した。
投資銀行出身でCoinCollege∛のsatogram(@satogram12)氏が指摘するように、1月限の権利行使価格(ストライク・プライス)で、36,000ドルと52,000ドルの玉が膨らんでおり、市場に意識されている可能性もある。
1月に行使期日が到来するビットコインのオプション足一覧表です。既に話題になっている36000ドル足に加えて、52000ドル足も巨大化している点に注目です。単日で10000BTCを超える建玉なんて未だかつて見たことが無いです。 pic.twitter.com/922l7jw97y
— CoinCollege∛ 🌼 (@CoinCollegeTK) January 1, 2021
イーサリアムが高騰
ビットコイン(BTC)高騰を受け、時価総額最大のアルトコインであるイーサリアム(ETH)が高騰し、一時1000ドル(108,000円)を記録した。
イーサリアムの過去最高値は、18年1月に記録した1,450ドル(約15万円)。ビットコインは、20年12月に過去最高値の20,000ドルを更新して一時34,000ドルまで高騰しており、比較すると出遅れていた。
イーサリアムの次世代チェーンとして期待されるETH2.0は、ビットコイン同様のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)から、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ合意形成アルゴリズムの変更が行われる大規模なアップグレードを伴う。
DeFi(分散型金融)市場が急拡大する中で、必要不可欠となるネットワーク処理速度、及びスケーラビリティ問題を大きく改善する可能性があるとして期待されており、今後数年間にわたって行われることから投資家に材料視されている。
イーサリアム2.0の最初期フェーズにあたるビーコンチェーンは、現行イーサリアム(PoW)と並行するブロックチェーンとして稼働し、PoSのバリデータノードを管理する役割を担うものだ。
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浮動数の減少と需給良化
仮想通貨のオンチェーンデータ分析サイトTheBlockのデータによれば、ETH2.0のデポジットコントラクトには、すでに約20億ドル(2000億円)相当の217万ETHが預け入れられている。
デポジットコントラクトとは、イーサリアムの次世代チェーン「ETH2.0」の最初期フェーズで稼働したビーコンチェーン上で、ステーキングを行うための契約機能だ。コンセンサスアルゴリズムPoSにおけるステーキングとは、PoWにおけるビットコインのマイニング(採掘)の代替手段とも言われるもの。
「32ETH(約300万円)」を預け入れ、バリデータノードを運用することで報酬を得ることができる仕組みは、株式配当や不動産収入のように、資産を保有することで安定的・継続的に「インカムゲイン(income gain)」を受け取ることができるため、銘柄の長期保有インセンティブが働きやすい。
さらに、DeFi(分散型金融)市場の恩恵も、投資家が推し量る「需給」の良さに拍車をかける。
DeFi Pulseのデータによれば、DeFiに預け入れられた仮想通貨の総価値を示す「TVL」は右肩上がりの成長を遂げており、174億ドル(1.8兆円)規模にまで膨らんだ。
このようにして、市場に出回るイーサリアムの供給量(浮動数)が絞られやすい市場構造も需給面を良化させていると言えそうだ。最大発行枚数が定まり、「半減期」の度に供給量が大幅に減少するビットコイン同様、供給数を需要が大きく上回る状態が続けば、株式市場でも顕著な金融緩和マネー流入、及び機関投資家や上場企業の参入を経て、必然的に価格を押し上げることになる。
イーサリアム価格は、テクニカル的な長期的節目であった800ドルのレジスタンスラインをブレイクして勢いづいたほか、世界最大手デリバティブ取引所であるCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)にて、「イーサリアム先物」取引が控える点も、関心度上昇理由として挙げられる。
グレイスケールの投資信託イーサリアムトラスト(ETHE)が、SEC(米証券取引委員会)の報告会社「Reporting Company」に正式登録されたことを含め、当局の認可を得た透明性のある金融商品の1つとして、潤沢な資金力を有する機関投資家のゲートウェイとなることが期待されるからだ。
アルトシーズンの予兆も
ビットコイン高騰一服後の循環物色により、ミドル〜スモールキャップアルトを含め仮想通貨市場が全面高となった。
BTC建て(ETH/BTC)の値動きなどから、ビットコインより資金が流れる形でイーサリアムやライトコインなどメジャーアルトが大幅上昇したとみられ、草コインの先行指標と呼ばれるドージコイン(DOGE)高騰も「アルトシーズン」の再来を予感させる。
2017年の仮想通貨バブルでは、ビットコイン高騰・一服後にアルトコインが循環物色され、XRP(リップル)やETH(イーサリアム)などが十倍以上に高騰するなど、過去の強気相場で同じようなサイクルを繰り返してきた。
ドージコインは、前週比130%高、前月比220%高を記録した。34,000ドルまで高騰したビットコインは前週比40%高、前月比75%高。イーサリアムは、前週比40%高、前月比70%高であることからもその急騰度合いがうかがい知れる。フォロワー130万人を超える海外インフルエンサーが2日、ドージコインの長期保有に言及したことも価格を後押ししたか。
一方、米証券取引委員会(SEC)が「有価証券問題」でリップル社を提訴したことを受け、時価総額上位のXRP価格は芳しくない。他の銘柄も同様の問題で燻るなか、すでにSECから「有価証券ではない」との判断が下されているビットコインやイーサリアムに資金流入が集中したものと思われる。
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