LINE Blockchainとは
LINE Blockchainは、世界最大級のコミュニケーションアプリ「LINE」を運営するLINE株式会社の先導するブロックチェーンです。LINEトークンエコノミーとの連携により、LINEの経済圏を拡大することを目指しています。
ホワイトペーパーにおいて、LINE Blockchainは、現在の暗号資産の多くが初期の投資家へのリターンを大きくすることにより規模の拡大を後押ししていることへの懸念を表明しています。投機的な需要が実用性を上回ることになり、エコシステムの成長をそのような動機付けが妨げているとしており、またプラットフォームのトークンとレイヤー2のdAppのトークンの両方の存在によるエコシステムの断片化も現在の問題として挙げています。
3つの柱
LINE Blockchainはプラットフォームの理念として3つの柱を掲げており、それぞれユーザーにとって利用しやすいブロックチェーンプラットフォームの実現にとってなくてはならないものとなっています。
既存のLINEエコシステムとの連携
投機的でも実験的でもないサービスをブロックチェーン上で構築するにおいて、従来のブロックチェーンの送金スピードはネックとなりました。LINE BlockchainはERC-20トークンを利用していたサービスが高速化を図るにはうってつけのプラットフォームといえます。
また、技術的な利点だけでなく、LINEの既存ユーザーへのリーチも移行へのインセンティブです。アドレス、ウォレット等の専門的な概念が多いブロックチェーンを理解するユーザーは少数派で、理解がサービス上での送金をするにおいて必須となるのは初期のブロックチェーンサービスの欠点でした。
LINE BlockchainのLINEのサービスとの連携によってdAppは新たな登録をユーザーに求めることなくトークンを付与できます。システム、ユーザー両方からの利便性の向上がLINE Blockchainの発展を後押しすると言えるでしょう。
LINKの分配
独自トークンであるLINK(LN)は、暗号資産の偏った保有・初期の投資家による独占を抑止するために、ネットワーク上でのユーザーの活動によって分配されます。
LUCAS (LINK User Contribution Assessment System)により各ユーザーも貢献度(取引数量など)を基に割り当て量は決定され、これはネットワークの実際の活動量とLINKの供給量を一致させる目的もあるといえます。総発行数上限は10億LNで、そのうち8億がユーザーインセンティブとして上記のように発行され、残りの2割がLINEのグループ会社であるLINE TECH PLUS社により管理され、運営費用等となる予定です。
スケーラビリティ
LINE Blockchain ではRoot Chain・Leaf Chainに分けることで、スケーラビリティ問題を軽減しようとしています。一般的に言われるサイドチェーンの一種であり、dAppごとに分割することでリソースの奪い合いを防ぐ目的があります。
dAppの実装
LINE BlockchainではdAppを構築でき、エコシステムにおいて重要なものと位置づけられています。
- Reward dApps
- General dApps
のふたつに分けられます。前者は動機付けとしてユーザーにLINKを付与することで、流通を加速させる目的で開発されたdAppsの総称で、後者は通常のdAppsを指します。
活用事例・ユースケース
LINE Blockchainは様々なdAppを支えるプラットフォームです。日常的なユースケースが見込まれるSNSや、契約の作成を助けるものまで、幅広い分野のサービスが存在します。さらには新たなブロックチェーンゲームを開発する動きもあり、国内外の企業との提携を今後注視することになりそうです。
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BITMAX
LINE BITMAXは、日本人のLINEユーザーを対象とする暗号資産取引サービスで、スマートフォンのLINEアプリ上から利用できます。「LINE Pay」などのLINEの他のサービスとの連携で日本円の入出金を高速で行え、1,000円以下からの少額取引も可能です。 現状国内でLINKを取引できるのはLINE BITMAXのみですが、他の取引所への新規上場も検討されています。
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LINE Score
LINEスコアは個人のスコアを算出し、それに応じてキャンペーンやリワードがもらえるサービスです。LINE Blockchainにおいて、LINKはこのようにサービスに参加した対価として、エコシステムの発展の一環として支払われます。
THETA .tv for LINE Blockchain
THETAは動画ストリーミングにおける構造的な問題を解決するために構築された分散型の動画配信ネットワークです。動画コンテンツをストリーミングする際、余った帯域幅を他のユーザーと共有することで、集めたHEARTの保有量に応じてLINKと交換可能なLINKリワードが付与されます。
今後の展望
現状開発中であり、多数の機能がまだ未実施のLINE Blockchainですが、2021年のプロジェクトの計画が4月30日に発表されました。今後見直される可能性があるとしながらも、その内容は取引所への新規上場や決済への利用など、意欲的なスタンスが伺えます。
- 新規上場
- 決済事業者との連携
- NFT関連サービスの拡張
- dApps拡大
LINKの新規上場
取引所の詳細は明かされていないものの、流動性と規制対応、運営能力を基準にLINE TECH PLUS社が取引所を選定するとしています。LINKの流動性と保有者を拡大することを狙いとしており、エコシステムの確立への一歩と言えるでしょう。
決済事業者との連携
実世界での決済でLINKを利用可能にすることでLINKの経済循環が促されることを目指しています。 LINE Payとの明確な提携等はないですが、キャッシュレス決済とのシナジーはあると考えられます。
NFT関連サービスの拡張
現在NFTの話題性は第二のブロックチェーンブームと言えるほどです。LINE Blockchainでは2020年8月よりNFTの発行が可能となり、企業は独自のトークンだけでなく、ユニークなものをブロックチェーン上で作成できるようになります。トークンの取引に応じてLINKの取引の促進も見込まれ、コミュニティの拡張が期待できます。
dApps拡大
執筆時点ではユースケースが少ないLINE Blockchain上のdAppですが、今後ゲームに限らず、フィンテックやコンテンツ等との提携を拡大をするとしています。
まだ発展途上のLINE Blockchainですが、今後は規模の拡大がキーポイントと言え、NFT発行や決済提携の実施が注目されます。