環境への影響を査定する法案
米ニューヨーク州議会で、暗号資産(仮想通貨)マイニングセンターによる環境への影響を評価できるようになるまで、その運営を停止する法案が提出された。
このニューヨーク上院法案はKevin Parker州上院議員他一人が起草し、5月3日に上院の環境保護委員会に送られたところだ。まだ採否投票などの段階ではない。
法案は、仮想通貨マイニング事業について3年間、一時停止できる期間を設け、州がマイニングセンターの温室効果ガス排出の影響、水質、大気質、野生生物への影響などについて、徹底的に査定を実施することを提案している。
環境への影響を評価する報告書については、120日間のパブリックコメント期間を設け、ニューヨーク州各地域で少なくとも1回の公聴会を開催することにも触れた。
法案は、環境に与える影響の包括的な査定が完了し、ニューヨーク州の温室効果ガス削減目標に悪影響を与えないことが判明した後にのみ、仮想通貨マイニングセンターの運営が許可されるとしている。
ニューヨーク州の温室効果ガス削減目標
ニューヨークでは、2019年に「気候リーダーシップ・地域保護法(Climate Act)」が成立しており、2040年までに、温室効果ガスを排出しない方法で供給される電力を100%にすること、また2050年までに炭素排出量を1990年比で85%以上削減することを目標に掲げている。
今回の法案は、このClimate Actを参照し、排出削減目標の妨げになるようなマイニング事業については営業を許可しないとする格好だ。
法案は「仮想通貨マイニングセンターはニューヨーク州で拡大している産業だが、多くの場合、使われなくなっていた、あるいは改修された化石燃料発電所に設置される」としており、次のように主張する。
仮想通貨マイニングセンターの継続や事業拡大は、ニューヨーク州のエネルギー使用量を大幅に増加させ、それに伴う温室効果ガスの排出が「気候リーダーシップ・地域保護法」の遵守に回復不能な損害を与えると考えるのが妥当だ。
国際的に問題意識高まる
米国でもテキサス州などは、風力発電が盛んで、マイニング企業Argo Blockchainが同州に建設中の施設では、電力の大部分が再生可能エネルギーによって供給される見込みだ。
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一方で、特に石炭エネルギーなどを用いる地域での仮想通貨マイニングは、温室効果ガス排出の面が課題とされる。
最近中国の研究者も、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨マイニングは中国の炭素排出量削減目標に対する障壁になり得るとして論文を発表。水力発電が豊富な地域へとマイニング企業を移転させることを有効な政策として挙げた。
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また首都北京でも、当局がマイニング事業に電力消費量の報告を要請するなど、政府が削減目標との兼ね合いで仮想通貨マイニングを注視し始めている動きがみられる。
こうした中、国際的にも2040年までに仮想通貨業界全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す業界連合「Crypto Climate Accord(クリプト気候協定)」が立ち上がった。
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温暖化対策は、仮想通貨業界も直面していかなければならない課題の一つである。