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環境負荷が少ない分散台帳とは|ヘデラ技術活用企業が調査

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

環境に低負荷なブロックチェーンとは

分散型台帳技術の開発と普及を目指すヘデラ・ハッシュグラフ(以下、ヘデラ)がサポートしている、スマートエナジー事業などを展開するPower Transitionは、ブロックチェーン技術が消費する電力量などについてまとめた報告書「Can a Blockchain be green?」を公開した。

この報告書では、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ヘデラ(HBAR)について、それぞれの運用に必要な電力量などに着目、ヘデラが最も持続可能な分散型台帳技術だと結論づけている。

本記事では主に、家庭での電力消費量、カード決済ネットワークに求められる電力量や処理する取引量、ネットワーク運用の分散性について解説する。

1回の決済に必要な電力量を比較

この報告書によると、ブロックチェーン技術の普及は今後も進み、年に67%ずつ採用数が増えていく見込みだそうだ。それに伴い、必要な電力量も増加していき、2023年には英国全体、2028年には米国と同等のエネルギー消費量となるという。

先端技術に関する調査を手がけるDIGICONOMIST社によると、ビットコインの購入や転送をするたびに、平均的なアメリカ人世帯が31日間に消費する電力が必要になるという。イーサリアムの場合は、2日分にあたるそうだ。ビットコインとイーサリアムがこれほどまでの電力を消費する背景には、執筆時点ではどちらもコンセンサスアルゴリズムでプルーフ・オブ・ワークを使用していることだという。

アメリカ最大手の決済企業Visaが発行したレポートの数字を基に、VISAクレジットカード、ビットコイン、イーサリアム、ヘデラの4つについて、決済に必要な電力量を計測、比較してみたという。それぞれの技術で1取引処理が環境に与える影響を車のCO2排出量に換算すると、ビットコインは2500km走行時のCO2排出量になる。イーサリアムは300km、VISAカードでの決済は4m、ヘデラだと走行距離50cmの排出量にも満たないという。

ヘデラでの取引処理の消費電力が少ない要因として、技術の構造的要素の違いや、イーサリアムのようにスマートコントラクトを使用しない取引が大多数ということが挙げられてる。また、ビットコインやイーサリアムと比べて稼働しているノード数が20(21年5月現在)と少ないのも一因だが、その代わり2019年のローンチ以降すでに取引処理総数はどちらをも凌いでいるという。

NFTでカーボンオフセット実現を目指すDOVU

仮想通貨業界では、SDGsの観点から、環境に与える負荷を減らすための試みや議論が活発になりつつある。ヘデラでも、持続可能なネットワーク運営のために技術開発を進めている。そのヘデラの技術を採用しているプロジェクトのひとつが、ブロックチェーン技術を活用したカーボンオフセットの実現を目指すDOVUだ。

DOVUは、ヘデラが開発したヘデラ・コンセンサス・サービス(HCS)を採用し、トークン発行や取引に必要な消費電力量を低く抑えている。そのため、ビットコインやイーサリアムと比べ、環境への負荷を大幅に軽減できるだけではなく、手数料や取引完了までにかかる時間についても、他のブロックチェーンと比較して安価かつ短時間ですむそうだ。

関連:へデラハッシュグラフとIBMが提携強化、プライベート&パブリックチェーンの相互運用性向上へ

へデラのガバナンス組織、運営審議会とは

ヘデラでは、ネットワークの持続的な発展と分散化を促すため、ガバナンスとコンセンサス形成プロセスが切り離されている。ガバナンスの部分を担うのが、多様な組織および企業から構成されている「運営審議会(Governing Council)」だ。

初期のヘデラネットワークでは、運営審議会の参加組織がノードとして機能する。また、戦略やソフトウェア開発の指針を決める際も、運営審議会が決定を行う。運営審議会のメンバーの中には、自社の消費電力を抑える試みを積極的に推進している企業も含まれる。その一つがフランス電力だ。

フランス電力は二酸化炭素や温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指し、気候変動問題に取り組んでいる電力会社。2050年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量および吸収量をプラスマイナスゼロにすること)を実現できるよう、炭素使用量を抑えた発電の実現を目指している。

運営審議会には、LG、IBM、Google、ボーイングおよび韓国大手銀行の新韓銀行など、多くの著名組織が参加。日本からは野村ホールディングスが加盟している。

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ブロックチェーンが環境に与える負荷への懸念

ブロックチェーンが大量の電気を使うことが、環境に大きな負荷となることを心配する声は絶えない。21年4月には、オランダの経済学者Alex de Vries氏がビットコインの年間消費電力を試算、78TWhにものぼると報告した。この数値は、南米チリの年間消費電力の約4倍にもなる。

関連:ビットコイン高騰でマイニング(採掘)の環境問題が再浮上、今後の課題は?

このような懸念を示しているのは学界だけではない。5月13日、電気自動車メーカー、テスラの最高責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、ビットコインが環境に与える負荷が大きすぎることから、ビットコイン決済の中止を発表した。その理由として、ビットコインの採掘やトランザクションにより大量の電位が消費され、化石燃料の消費が現在よりも大きくなる点を挙げている。

ただし、恒久的な停止ではなく、ビットコインのマイニングが持続可能な仕組みになれば、トランザクションでの利用を再開する意向であるとも述べた。

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