韓国大手銀行がヘデラに参加
韓国の大手商業銀行、新韓銀行が、エンタープライズ向けの分散型台帳技術開発プロジェクト、へデラ・ハッシュグラフ(Hedera Hashgraph、以下ヘデラ)のガバナンス担当組織、「運営審議会(Governing Council)」に加盟したことを発表した。
2月のスタンダード銀行グループ(南ア)、3月のフランス電力に続き、20番目の参加組織となった。新韓銀行以外にも韓国からは、大手電子機器メーカーLGエレクトロニクスが既に運営審議会へ加盟している。
DLT活用に注目する新韓銀行
世界20カ国に2,000万人の顧客を抱える韓国の大手金融機関である新韓銀行は、金融イノベーションを目的に、分散型台帳技術(DLT; Distributed Ledger Technology)分野に注力している。この動きは21年に入って加速しており、1月には、韓国国内におけるデジタル資産カストディ(管理)サービス企業のコンソーシアム、Korea Digital Asset Custody(KDAC)に投資。3月には、同じくヘデラの運営審議会加盟組織であるLGグループの子会社、LG CNSと共に、CBDC(中央銀行デジタル通貨)用プラットフォームのデモンストレーションを行った。
また新韓銀行は、以前からブロックチェーン技術を自身のサービスのインフラとして活用。17年以降、契約者貸付サービス、年金基金および金利スワップ等のサービスを、Linux財団が開発しIBMが後援しているプライベートチェーン、ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)上に構築してきた。
ヘデラの運営審議会に参加し、ヘデラのネットワークをインフラとして活用することにより、業務プロセスの効率化を新韓銀行は図っている。また、多くのフィンテック企業が分散型台帳上でオペレーションを開始し、ヘデラの分散型台帳に構築されるサービス数が増えるにつれ、銀行サービスにおけるイノベーションが、継続的に加速していくことに期待しているという。
運営審議会加盟およびデジタル化への移行について、新韓銀行は以下のコメントを出している。
金融システムの効率性および安全性が向上するというデジタル化移行の利点に、興味を持つ顧客やパートナーが増えてきている。ヘデラのパブリック分散型台帳技術は特に、広く利用されているフィンテックサービスのニーズに応えるのに適しており、高速、公平かつ安全でありながら、サービス提供者が必要とするコントロールおよび可視化を可能にしている。ヘデラの運営審議会に参加し、様々な業界を牽引するグローバルな組織と共に、次世代の金融を支えるソリューション開発に今後も取り組んでいきたい。
既存金融機関でのDLT実用化に取り組むヘデラ
新たに運営審議会への加盟を発表した新韓銀行の他、前述のスタンダード銀行や、同じく審議会メンバーである豪決済インフラ提供企業eftposなどを初めとした既存金融機関において、CBDCやステーブルコインなど、価値のトークン化への需要が拡大していることを理由に、ヘデラはDLTの実用化を目指し、運営審議会加盟組織であるIBMとの連携を強化。プライベートチェーンおよびパブリックチェーンの相互運用性強化へ向けた取り組みの成果として、「Tech Preview」を21年3月末にローンチした。
Tech Previewでは、プライベートチェーンであるハイパーレジャー・ファブリックを土台にしたIBMのブロックチェーンプラットフォームに、ヘデラの分散型コンセンサス・サービスを組み合わせることによりもたらされる利点を、既存金融機関などで、実用的なユースケースに適用することを目指している。
金融機関のDLT活用および新韓銀行の運営審議会参加について、ヘデラのCEO、Mance Harmon氏は、以下のように述べた。
DLT基盤の金融サービスへ関心を持つ金融機関および政府が、世界中で増えてきている。大規模決済システムおよび小売決済システムの安全性や効率性向上、年中無休のグローバル決済円滑化から、プライベートな電子マネーよりも信頼できるシステムの構築や、銀行口座を持たない人々の金融包括に至るまで、その理由は様々だ。新韓銀行がヘデラの運営審議会に参加し嬉しく思う。共に金融の未来を切り拓いていけることを楽しみにしている。
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